2026年11月3日時点の公表値です。申請額が予算に達した時点で受付は終了します。
- お風呂をリフォームすると、補助金はいくら出るの?
- お風呂を新しくするだけで、国の補助金はもらえる?
- 業者に「高断熱浴槽にすれば補助が出ます」と言われたけれど、本当?
- 浴室乾燥機や手すりも補助の対象になる?
- 補助の額を全部合わせて、申請できる下限に届く?
- 親のために浴室に手すりを付けたい。介護保険は使える?
- 国の補助金と市の補助金は一緒に使えるの?
- 申請は誰がするの?今年度の受付に間に合う?
上記のような悩みに答えます。
お風呂のリフォームで使える補助は、国のみらいエコ住宅2026事業、介護保険の住宅改修、市区町村の助成の3つで、目的も申請する人も別々です。検索すると、補助金の一覧や上限額を大きく掲げたページが並びますが、お風呂の工事だけでは国の事業に申請できない理由や、手すり・段差・出入口の幅の工事を全部足しても申請の下限に届かない計算、浴槽やシャワー水栓を自分で買うと対象から外れることは、一覧の形ではなかなか見えてきません。そこで、3つの制度の入口という基本を押さえたうえで、お風呂の工事ごとに国のどの区分に入り、額がどう決まるのか、合計が下限に届くのかまで、国土交通省の事業の要件書と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。
お風呂の工事だけでは、国のみらいエコ住宅2026事業には申請できません。浴室は要件書で居室と認められず、居室の窓の断熱改修を中心とした要件化工事を一緒にする場合に限って、高断熱浴槽・節湯水栓・浴室乾燥機・手すり・段差解消・出入口の幅の拡張が補助の対象になります。申請する補助額の合計は5万円以上(窓リノベなど他の構成事業の交付決定がある場合は2万円以上)が必要で、手すり・段差解消・出入口の幅の拡張の3種を全部合わせても5万円に届きません。窓などの要件化工事もみらいエコで申請するなら、その工事の補助額も同じ申請の合計に数えられるので、設備の補助の額を要件書の表で足して、合計が下限に届くかを確かめることになります。要介護・要支援の認定を受けた家族の住まいなら、介護保険の住宅改修を、工事の前に自治体の介護保険の窓口へ申請するのが先です。
窓の工事を一緒にする場合に、窓の補助でいくら戻るかは、補助金の計算ツールで確かめられます。

2026年度の制度・2026年10月時点で確かめています
出典:みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」/みらいエコ住宅2026事業 公式サイト/環境省「先進的窓リノベ2026事業の詳細」/先進的窓リノベ2026事業 公式サイト/厚生労働省「介護保険における住宅改修」/国税庁タックスアンサー No.1220
お風呂の工事だけでは国の補助が出ない

お風呂をリフォームするだけでは、国のみらいエコ住宅2026事業の補助は受けられません。補助の対象になる住宅かどうかを決める入口の工事が、浴室ではなく「居室の窓などの断熱改修」だからです。
要件書では、リフォームの補助は「要件化工事」と「補助対象工事」の2段になっています。外皮に面した窓がある居室のうち任意の1つ(トリガールーム)で断熱改修の要件化工事をすると、その居室を含む住宅が補助の対象になり、そのうえで実施した補助対象工事の額が合計されます。浴室、シャワールーム、脱衣室、洗面所、トイレは、くつろいで長時間とどまる空間ではないため居室と認められず、トリガールームには選べません。
みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」2026年8月17日版(2026年10月23日に確認)。p.26:トリガールームとは、外皮に面する開口部が1つ以上ある居室であり、壁または建具により仕切られている居室。居室と認められない室に、玄関・廊下・階段・浴室・シャワールーム・脱衣室・洗面所・トイレ・パウダールームなどが挙げられている。p.14:以下①を実施した住宅に実施する②に該当するリフォーム工事等(申請する補助額合計が5万円以上)を補助対象とする。①平成28年以前に新築された住宅に要件化工事を実施。②カテゴリーa)〜i)に該当するリフォーム工事等。
つまり、浴室の設備は入口の工事をした住宅で「補助が付く側」で、窓の断熱改修は「補助を受けるための入口」という関係です。入口の窓の工事も、みらいエコで申請すれば補助対象工事として額に数えられますが、窓リノベで申請した窓は数えられません。住宅の条件も2つあります。平成28年12月31日以前に新築された住宅であること、そして2025年11月28日以降に、トリガールームの外皮に面したすべての開口部を改修することです。1か所だけの窓交換では要件化工事になりません。要件化工事は、住宅の新築年と窓の性能区分に応じて、壁・天井・床の断熱改修まで必要になる組み合わせと、窓だけで足りる組み合わせがあり、その組み合わせは国の事業の入口の記事に整理しています。

たとえば、築年数の古い戸建てで、浴室だけを新しいユニットバスに替える計画なら、国の補助は前提にできません。同じ家で、リビングの外皮に面したすべての窓を断熱改修する計画があり、住宅の新築年と窓の性能区分の組み合わせが要件を満たすなら、その窓の工事を入口にして、浴室の設備を補助対象工事として申請する道が開けます。反対に、浴室の窓(浴室の外皮に面した窓)を替えても、浴室が居室でないため、それだけでは要件化工事になりません。
マンションの場合も考え方は同じで、外皮に面した窓がある居室の窓が入口になります。ただし、共用部分にあたる窓の交換には管理規約の制約があるので、扱いはマンションの補助金の記事で確かめてください。

まず「窓の工事を一緒にする予定があるか」を決めると、浴室の補助の見通しが立ちます。予定が無いなら、国の補助は無いものとして見積を比べ、予定があるなら、次の節で、浴室まわりのどの工事が対象で、いくらになるかを確かめます。
国の補助が付くお風呂まわりの工事
要件化工事をした住宅で、お風呂まわりの補助対象になる工事は、高断熱浴槽、節湯水栓、浴室乾燥機、手すりの設置、段差解消、出入口の幅の拡張の6種類です。それぞれ、要件書の中の区分も、額の決まり方も違います。
| 工事 | 要件書の区分 | 額の決まり方 | この記事で書く額 |
|---|---|---|---|
| 高断熱浴槽 | エコ住宅設備の設置 | 設置台数によらず種類に応じた額(1戸につき) | 要件書 p.54 の表で確かめる |
| 節湯水栓 | エコ住宅設備の設置 | 種類に応じた額に設置台数を掛ける | 要件書 p.54 の表で確かめる |
| 浴室乾燥機 | 子育て対応改修(家事負担の軽減) | 設置台数によらず種類に応じた額 | 要件書 p.56 の表で確かめる |
| 手すりの設置 | バリアフリー改修 | 箇所数によらず種類に応じた額 | 7,200円/戸 |
| 段差解消 | バリアフリー改修 | 箇所数によらず種類に応じた額 | 8,400円/戸 |
| 出入口の幅の拡張 | バリアフリー改修 | 箇所数によらず種類に応じた額 | 33,600円/戸 |
上の表で、額を書いていない3行は、要件書の表には載っていますが、編集部が確認済みの制度ファクト表に行がないため、この記事では数字を書きません。見積の段階で、事業者に要件書の表の額をそのまま示してもらい、品番と台数を掛けた計算を書面にしてもらうのが確かです。浴室乾燥機の区分が「子育て対応改修」と書かれていても、要件書の概要には「子育て世帯に限らず、幅広いリフォーム工事に補助」とあり、世帯の条件は付いていません。
みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」(2026年10月23日に確認)。p.54:高断熱浴槽は、JIS A5532:2011に規定する「高断熱浴槽」と同等以上の性能を有すること。節湯水栓は、JIS B2061:2023に規定する「節湯形」の水栓と同等以上の機能を有すること。「高断熱浴槽」の補助額は設置台数によらず設備の種類に応じた補助額、「節湯水栓」は設備の種類に応じた補助額に設置台数を乗じた額。本キャンペーンに予め「対象製品」として登録された製品を使用した工事のみ補助対象。p.56:浴室乾燥機は、乾燥運転時に温風で浴室内や浴室内に干された衣類の乾燥を行うもの(浴室内の天井または壁に設置されたものに限る)。p.59:手すりの設置7,200円/戸、段差解消8,400円/戸、廊下幅等の拡張33,600円/戸。補助額は箇所数によらず、改修を行った補助対象工事の種類に応じた額。
要件書では、高断熱浴槽はJIS A5532:2011に規定する「高断熱浴槽」と同等以上の性能を有することが条件です。どういう浴槽が当たるのかは、浴槽の交換の記事で整理しています。

たとえば、ユニットバスを新しくして、高断熱浴槽と節湯水栓のシャワーを選び、浴室に暖房乾燥機を付ける家なら、3種類の設備がそれぞれ補助対象工事の候補になります。ただし、どの品番が事務局に登録された対象製品か、浴槽は性能証明書が出せるメーカーの製品か、という確認が先です。登録されていない品番を選ぶと、工事をしても補助額に数えられません。
お風呂の補助は「どの設備が、どの区分で、どの額か」を種類ごとに分けて見ると、営業の「お風呂で最大いくら」という言い方を、設備1つずつの積み上げに直して読み返せるようになります。
手すり・段差・出入口を重ねても5万円に届かない
浴室まわりのバリアフリー改修は、手すり、段差解消、出入口の幅の拡張の3種類を全部やっても、補助額の合計は上の図の足し算のとおりで、申請の下限の5万円に届きません。この3つは、箇所数によらず、種類ごとに決まった額だからです。
要件書では、手すりを浴室に3本付けても、脱衣室とトイレに追加しても、手すりの設置は「1種類」で7,200円です。段差解消も同じで、浴室の出入口の段差を小さくする工事を含みますが、額は8,400円のまま変わりません。出入口の幅の拡張は、車いすで容易に移動するために幅を広げる工事で、工事後の浴室の出入口がおおむね600mm以上あることが条件です。ドアを取り替えるだけで、幅を広げない工事は含まれません。
みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」p.59(2026年10月23日に確認):手すりの設置=転倒予防もしくは移動または移乗動作に資することを目的として手すりを取り付けるもの。手すりの取付けに当たって工事(ネジ等で取り付ける簡易なものを含む)を伴わない手すりの取付けは含まれない。段差解消=敷居を低くしたり、廊下のかさ上げや固定式スロープの設置等を行う工事。取付けに当たって工事を伴わない踏み台、段差解消板、スロープ等の据え置き等は含まれない(浴室の出入口にあっては、段差を小さくする工事を含む)。廊下幅等の拡張=通路または出入口の幅を拡張する工事であって、工事後の通路等の幅が、おおむね750mm以上(浴室の出入口にあってはおおむね600mm以上)。通路等の幅の拡張を伴わない単なるドアの取り替えは含まない。計算:7,200円+8,400円+33,600円=49,200円(制度ファクト表 UCHI-0761・0762・0763 の足し算)。
この計算から言えることは3つあります。1つめは、手すりと段差だけなら、5万円はもちろん、他の構成事業の交付決定があるときの下限の2万円にも届かない、という点です。2つめは、出入口の幅の拡張を入れても、バリアフリー改修だけでは5万円に届かない、という点です(下限が2万円になる場合は、出入口の幅の拡張を含めれば2万円を超えます)。3つめは、高断熱浴槽・節湯水栓・浴室乾燥機の額(要件書の表)や、みらいエコで申請する窓などの要件化工事の額を足して、はじめて下限に届くかどうかが決まる、という点です。
たとえば、親の安全のために浴室の出入口の段差を小さくして手すりを付ける家なら、バリアフリー改修の補助は2種類の合計になり、2万円に届きません。ここに高断熱浴槽の額(要件書の表の額)を足せば、下限の2万円を超えるかどうかが決まり、5万円に届くかは、その表の額しだいです。足りない場合は、窓の工事で他の事業の交付決定を受けて下限を下げるか、補助を前提にしないか、どちらかになります。
下限の判定に使う額は、みらいエコの1つの交付申請で申請する補助額の合計です。窓をみらいエコ側で申請すれば窓の額も合計に入りますが、窓リノベで受ける窓の補助は窓リノベ側の額で、みらいエコの合計には入りません。次の節で、その関係を整理します。
窓の工事と組むと下限が2万円になる
お風呂の設備の補助額が5万円に届かなくても、窓の工事を窓リノベで申請して交付決定を受けていれば、みらいエコ住宅2026事業の下限は2万円に下がります。要件書に、同じ発注者の同じ住宅で他の構成事業の交付決定を受けている場合の特例として書かれています。
下限の例外になる事業は、先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業、賃貸集合給湯省エネ2026事業です。窓リノベへ申請した窓の工事は、みらいエコの要件化工事のa)開口部の断熱改修を実施したものとして扱えます(それぞれの事業への申請が必要で、新築年と性能区分によっては躯体の断熱改修も要ります)。ただし、その窓の工事は、みらいエコの補助対象工事としては申請できません。同じ箇所の同じ工事を、複数の事業に重ねて申請できないからです。

たとえば、リビングの窓を内窓にして窓リノベの交付決定を受け、同じ時期にお風呂を高断熱浴槽と節湯水栓のシャワーに替える家なら、みらいエコの申請の合計が2万円を超えれば申請できます。下限が5万円のままなら届かなかった額でも、窓リノベの交付決定があるおかげで申請の道が開く場合がある、ということです。
窓リノベにも、1回の申請で合計5万円以上という下限があるので、窓の額も確かめます。窓の額の読み方は、窓リノベの記事にまとめています。

国の受付は、みらいエコ住宅2026事業のリフォームが2026年6月30日から予算の上限に達するまで、遅くとも2026年12月31日までです。工事は令和7年11月28日以降に着手したものが対象で、申請するのは施主ではなく、施主と契約した事業者です。国の4事業の併用の全体像は、併用の記事を見てください。

2事業を同時に使うなら、事業者が2本の申請を受け持てるかが前提です。「窓は窓リノベ、お風呂の設備はみらいエコと、2本に分けて申請できるか」を契約の前に聞き、書面で返事をもらっておくと、あとで下限に届かないと分かって慌てずに済みます。
高断熱浴槽や浴室乾燥機が対象外になる頼み方
補助の条件を満たす設備を選んでも、頼み方によっては補助の対象から外れます。要件書が補助対象にならない工事として挙げているものの中で、お風呂のリフォームで起こりやすいのは、施主支給、中古品、リース設備の3つです。
最も起こりやすいのは施主支給です。住宅の所有者がネット通販などで浴槽やシャワー水栓、浴室乾燥機を買い、取り付けだけを事業者に頼む形は、要件書で「いわゆる施主支給や材工分離工事」として対象外とされています。補助の額に数えられるのは、事業者が登録された対象製品を仕入れて取り付けた工事だけです。
みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」p.27(2026年10月23日に確認):補助対象とならない工事=リース設備の設置工事、中古品を用いた工事、住宅の所有者等が住宅設備を購入し、その取付を補助事業者に依頼する工事(いわゆる施主支給や材工分離工事)。p.82・84・88:高断熱浴槽は建材メーカーが発行する性能証明書を提出する。節湯水栓・浴室乾燥機は、設備を施工業者に納品した販売店等が発行した納品書の写しを提出する。
次に、書類の問題があります。高断熱浴槽は、建材メーカーが発行する性能証明書が要ります。節湯水栓と浴室乾燥機は、販売店などが施工業者に宛てて出した納品書の写しに、品番と台数が書かれている必要があります。手すり、段差解消、出入口の幅の拡張は証明書類の提出が不要ですが、工事の前と後の写真が必要で、着工前の写真を撮り忘れると取り返せません。
もう1つは製品です。補助の対象になる浴槽・水栓・浴室乾燥機は、事務局に登録された品番に限られます。同じメーカーの同じシリーズでも、色やサイズの違いで品番が登録されていないことがあります。「高断熱浴槽の仕様です」という説明だけでは足りず、登録された品番かどうかを、見積に品番を書いてもらって確かめます。
たとえば、浴室の工事を請け負うA社が「高断熱浴槽は対象だから補助が付く」と言い、見積には品番が無く、浴槽はお客さんが選んで届ける形になっていたとします。この場合、品番が登録製品かどうかも、施主支給にならないかも分かりません。B社の見積は、浴槽と水栓の品番が書かれ、仕入れも事業者が行う形になっていました。補助の前提が整っているのはB社のほうです。
ここまでを整理すると、設備の仕入れを事業者に任せ、品番を見積に書いてもらうだけで、対象外になる典型的な形はほぼ避けられます。
介護保険は手すりと段差から使える
要介護・要支援の認定を受けた人が住む家なら、お風呂の手すりや段差の工事は、国の補助より先に、介護保険の住宅改修を考えます。国の補助は窓の工事が前提ですが、介護保険は窓の工事が要らず、認定を受けた人の住まいの工事に使えるからです。
介護保険の住宅改修の支給限度基準額は、生涯20万円です。保険給付の割合は、原則9割(上限18万円)で、所得に応じて8割(上限16万円)・7割(上限14万円)になります。対象になる工事は、手すりの取付け、段差の解消、滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替え、それに付帯して必要となる住宅改修です。
進め方で大事なのは、工事の前に申請することです。住宅改修が必要な理由書などを添えて、事前に市町村へ申請書を提出し、工事の完成後に領収書などを出して保険給付を受けます。着工してから申請する流れは、やむを得ない事情がある場合を除いて想定されていません。理由書は、ケアマネジャーなどが作ります。
浴槽の取替えが対象になる条件や、浴室での介護の工事の細目は、この記事では扱いません。介護保険と所得税の控除をあわせた全体像は、バリアフリーの記事にまとめています。

税の側にも道があります。50歳以上の人などが浴室の改良を含むバリアフリー改修をしたとき、補助金等を受ける場合はその額を引いた標準的な費用の額が50万円を超えれば、所得税の控除の対象になることがあります。浴室の改良は、対象工事の種類の中に入っています。補助とは申告先も期限も違うので、条件はバリアフリーの記事で確かめてください。
たとえば、要介護の親が暮らす家で、浴室の出入口の段差を小さくして手すりを付ける場合、国の補助の合計が足りなくても、介護保険が使えます。この場合は、ケアマネジャーに相談し、理由書と見積を用意して、着工の前に市町村へ申請します。
介護保険の手すり・段差と、国の補助の手すり・段差を、同じ工事に重ねて使えるかは、編集部が確かめた要件書と厚生労働省の資料には書かれていません。重ねられる前提で計画せず、どの工事をどちらの制度で申請するかを、市町村の介護保険の窓口と申請する事業者の両方に先に確かめてください。
市区町村の助成と国の補助の併用
市区町村には、お風呂の工事が対象になる助成を用意している場合があり、その有無・額・条件は、住んでいる市区町村の要綱で決まります。この記事では、自治体名と自治体の金額は書きません。探し方の手順は、市区町村の補助金の記事にまとめています。

国の補助との併用は、市区町村の助成の財源と、補助の対象が重なるかどうかで決まります。要件書は、補助対象が重複する国費が充当された補助との併用はできないとし、その例として、国土交通省の社会資本整備総合交付金などを活用して地方公共団体が実施している補助事業を挙げています。一方で、地方自治体が独自に上乗せや併用を前提として用意している補助は併用できます。どちらに当たるかは、市区町村の要綱か窓口で確かめるしかありません。
みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」p.19 1-18(2026年10月23日に確認):趣旨の要約(引用ではない):対象が重なる国費入りの補助との併用は不可で、例示に国土交通省の社会資本整備総合交付金等を活用した地方公共団体の補助事業がある。地方自治体が独自に上乗せや併用を前提に設けた補助は併用可。窓口が地方公共団体の補助の併用可否は、その窓口に確認する。
順番の考え方は、「工事の前に申請が要る制度を先に済ませる」です。介護保険は着工前、市区町村の助成は要綱しだいで、契約の前や着工の前に申請が必要なことがあります。国の事業は、事業者が工事の進み具合に合わせて申請します。要綱を読む前に契約してしまうと、助成の対象から外れることがあるので、市区町村の要綱は契約の前に読んでおきます。
たとえば、親の浴室の手すりを介護保険で付け、同じ時期に自宅のリビングの窓を内窓にして窓リノベを使い、浴室の高断熱浴槽をみらいエコで申請する家なら、工事ごとに申請先が分かれます。このとき、市区町村に浴室の工事の助成があれば、その要綱が国の補助や介護保険との関係をどう定めているかを読み、どの工事をどこへ申請するかを決めます。
迷ったら、市区町村の窓口に「国のみらいエコ住宅2026事業と併用できるか」を、制度名で聞くのが近道です。国の事業の名前を出せば、窓口は財源の話から確かめてくれます。
見積で補助金の対象を確かめる行

補助を使うお風呂リフォームの見積では、補助の対象になる工事と、ならない工事が、制度ごとに行を分けて書かれているかを確かめます。「補助金適用 ▲◯円」の1行だけでは、その額がどの制度の、どの工事から来ているのかが分からず、施主の側で確かめようがないからです。
補助の額は、品番、設置の台数、窓の工事の組み方のどれか1つが違うだけで変わります。行が分かれていれば、事業者の当てはめが合っているかを施主も検算でき、介護保険の申請に出す見積としても使えます。お風呂の見積の読み方そのものは、費用の記事にまとめているので、ここでは補助に関わる行だけを挙げます。
- 高断熱浴槽・節湯水栓・浴室乾燥機の品番と、事務局に登録された製品かどうか
- 浴槽や水栓を事業者が仕入れる見積になっているか(施主支給になっていないか)
- 節湯水栓の台数と、浴室乾燥機が浴室内の天井か壁への設置になっているか
- 手すりと段差の工事が、取付けの工事を伴う内容で書かれているか
- 介護保険で申請する工事と、国の事業で申請する工事と、自費の工事の行が分かれているか
- 窓の工事を窓リノベとみらいエコのどちらで申請するか、浴室まわりをどの申請に入れるか
- 事業者が住宅省エネ2026キャンペーンに事業者登録をしているか
- 工事の前の写真を撮る段取りが決まっているか
とくに抜けやすいのが5と8です。ユニットバスの交換一式に、介護保険の対象になる手すり、国の補助の設備、補助の無い内装が1つにまとまっていると、市町村に出す見積としても使いにくく、どの工事をどの制度で申請するかもあいまいになります。写真は、国の事業でも工事の前後で出すもので、着工の日に撮り忘れると取り返せません。

たとえば、A社の見積はユニットバス一式の中に、浴槽と水栓の品番、手すりの工事、窓の申請の組み方が行ごとに書かれ、B社は「お風呂リフォーム一式(補助金適用)」の1行だったとします。B社が安く見えても、補助がどの制度で、どの前提で引かれているのかが分からないなら、同じ条件で比べられていません。B社にもA社と同じ行で書き直してもらってから比べます。同じ条件で複数の会社に頼む方法は、見積の取り方の記事にまとめています。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
いま相談している会社が登録事業者で、上の8つを行に分けて書いてくれるなら、ほかを探す必要はありません。それでも、浴槽や水栓の品番、手すりの工事、窓の申請の分け方まで見積に書いてくれる会社が見つからず、1社の説明だけでは補助の当てはめが合っているか確かめようがない、という場合は、同じ条件で複数の会社から見積をもらって照らし合わせるのが近道です。リフォーム会社を紹介してもらえるハピすむなら、申し込むときに「住宅省エネ2026キャンペーンの登録事業者か」と「窓とお風呂を分けて申請できるか」を条件として伝えてから比べてください。
補助金を使わない・急がないほうがいい場合
お風呂の補助は、工事を安くするための手段で、工事の目的ではありません。次のような場合は、補助金を使わない、あるいは急がない判断も選択肢になります。
- お風呂の補助のためだけに、予定に無かった居室の窓の工事を足そうとしている場合
- 補助の対象の品番に合わせるため、家族の使い方に合わない浴槽や浴室乾燥機を選ぼうとしている場合
- 介護保険の申請の結果を待たずに、着工を急かされている場合
- 受付の終わりを理由に、見積を比べる時間もなく契約を迫られている場合
- 補助の額より、浴槽や水栓を施主支給で安く買う差のほうがはっきり大きい場合
窓の工事を足せばお風呂まわりにも補助が付きますが、窓の工事費が補助の増え方より大きければ、手元に残るお金はかえって減ります。高断熱浴槽や浴室乾燥機は、標準の仕様と比べた差額を、補助の額と見比べると、補助のために買う設備なのかどうかが見えてきます。国の事業の受付は予算の上限に達するまでなので、残りの具合はページ上部の帯と予算残のページで確かめ、補助を受けられなかった場合でも納得できる総額かを、補助なしの金額で一度確かめておくと安心です。
反対に、急いだほうがいいのは、浴室の床や壁が傷んで水が漏れている、給湯器や浴槽の故障で今すぐ入浴できない、という場合です。水漏れは下地を傷めるので、補助の段取りより点検と修理を先にします。介護の必要が急に高まり、浴室の手すりが今すぐ要る場合も同じで、介護保険の手続きはやむを得ない事情があれば工事の後でも申請できる扱いがあるので、ケアマネジャーと市町村に事情を伝えて進め方を相談してください。
判断の軸は1つで、補助がゼロの見積でも、お風呂の工事は今やる価値があるかどうかです。ある、と言えるなら補助は上乗せとして探し、見つからなくても困りません。補助が出るならやる、という場合は、足した窓の工事まで含めた総額と、実際に手元から出ていく額で決めます。
よくある質問
お風呂リフォームの補助金はいくらですか?
使う制度で変わります。国のみらいエコ住宅2026事業なら、居室の窓などの要件化工事をしたうえで、手すりの設置が1戸7,200円、段差解消が8,400円、出入口の幅の拡張が33,600円です。高断熱浴槽・節湯水栓・浴室乾燥機は、要件書の表の額(節湯水栓は台数を掛けた額)になります。介護保険の住宅改修なら、生涯20万円の支給限度基準額の範囲で原則9割(上限18万円)が戻ります。市区町村の助成は要綱で決まります。
お風呂を新しくするだけで、国の補助はもらえますか?
もらえません。浴室は居室と認められず、トリガールームにならないので、お風呂の工事だけでは補助を受けられる住宅になりません。居室の窓などの要件化工事を一緒にして、申請する補助額の合計が5万円以上(他の構成事業の交付決定がある場合は2万円以上)になるときに限って対象になります。
高断熱浴槽にすれば補助が出ますか?
高断熱浴槽は補助対象工事の1つですが、単独では出ません。窓などの要件化工事が前提で、事務局に登録された対象製品を使い、建材メーカーの性能証明書を出す必要があります。浴槽を自分で買って取り付けだけを頼む形は対象外です。
手すりや段差の工事だけで申請できますか?
下限が5万円のままなら、できません。手すり7,200円、段差解消8,400円、出入口の幅の拡張33,600円の3種を全部合わせても、5万円に届きません。他の構成事業の交付決定があって下限が2万円になるときは、手すりと段差の2種類だけでは届きませんが、出入口の幅の拡張を含めれば2万円を超えます。どちらの場合も、居室の窓などの要件化工事が前提です。
介護保険と国の補助金は両方使えますか?
手すりは介護保険、窓は窓リノベのように工事を分ける形は考えられますが、介護保険と国の補助の併用の可否そのものは、編集部が確かめた要件書にも厚生労働省の資料にも書かれていません。同じ手すりや同じ段差に重ねるのはもちろん、工事を分ける場合も、市町村と申請する事業者に先に確かめてください。
2026年度のお風呂の補助はいつまでですか?
国のみらいエコ住宅2026事業のリフォームは、交付申請の受付が2026年6月30日から予算の上限に達するまで、遅くとも2026年12月31日までです。工事は令和7年11月28日以降に着手したものが対象です。予算の残りはページ上部の帯で確かめ、介護保険や市区町村の助成は、それぞれの申請の時期を別に確かめます。
見積を見る前のおさらい
- お風呂の補助は、国のみらいエコ住宅2026事業・介護保険の住宅改修・市区町村の助成の3つ。認定の有無・窓の予定・住所で入口が決まる
- 国の事業はお風呂だけでは申請できない。浴室は居室と認められず、居室の窓などの要件化工事が入口になる
- 補助対象になるお風呂まわりの工事は、高断熱浴槽・節湯水栓・浴室乾燥機・手すり・段差解消・出入口の幅の拡張の6種類。手すりは7,200円/戸、段差解消は8,400円/戸、出入口の幅の拡張は33,600円/戸(箇所数によらない)
- バリアフリー3種を全部合わせても、下限の5万円に届かない。窓リノベなどの交付決定があれば下限は2万円
- 浴槽や水栓の施主支給・中古品・リースは対象外。高断熱浴槽は建材メーカーの性能証明書、節湯水栓と浴室乾燥機は納品書の写しが要り、品番は登録製品に限る
- 介護保険は生涯20万円・原則9割(上限18万円)。工事の前に自治体の介護保険の窓口へ申請する
- 補助の対象が重なり、国費が充当された自治体の補助とは併用できない。介護保険との重ねがけの可否は事前に確かめる
- 見積は制度ごとに行を分けてもらい、品番・仕入れ・申請の組み方・事業者登録・工事前の写真を確かめる
お風呂に「補助金」と1つの名前で呼べる制度はなく、入口は家ごとに違います。認定を受けた家族がいれば介護保険、居室の窓を直す予定があれば国の事業、そのどちらでもなければ住所の要綱です。入口を取り違えなければ、営業の「お風呂なら補助が出ます」という一言にも、どの制度のどの条件の話かを聞き返せ、見積の数字を冷静に比べられます。


