2026年11月3日時点の公表値です。申請額が予算に達した時点で受付は終了します。
- 親が家の中でつまずくようになった。バリアフリーリフォームは、どこから手を付ければいいの?
- 玄関、トイレ、お風呂、廊下。全部やるといくらかかるの?
- 介護保険で住宅改修の費用が戻ると聞いた。いくら戻るの?
- 要介護の認定を受けていなくても、使える制度はある?
- 工事を先に頼んでしまった。今から申請しても間に合う?
- お風呂やトイレのバリアフリーは、どこまでやればいいの?
- 減税や固定資産税の減額もあるらしい。確定申告が要るの?
- 業者に「全部、補助の対象になります」と言われた。本当?
上記のような悩みに答えます。
バリアフリーリフォームは、手すり・段差の解消・床材・扉・便器などを替えて、家の中で転ばずに動けるようにする工事です。迷いやすいのは、工事の範囲がいくらでも広げられることと、費用の一部が戻る制度が介護保険・所得税・固定資産税・国の補助事業の4つに分かれていて、それぞれ対象の人も工事も手続きの時期も違うことです。リフォーム会社やメーカーの解説は施工例こそ詳しいものの、「うちの場合、どの制度でいくら戻り、どの順番で手続きするか」までは書かれていません。そこで、場所ごとの優先順位を押さえたうえで、制度ごとに戻る額と手続きの順番、制度どうしで対象の工事がずれるところまで、厚生労働省・国税庁・国土交通省の資料で確かめながら整理しました。工事の相場の金額は、家の造りと工事の範囲で大きく変わるため、数字では書きません。
バリアフリーリフォームは、転びやすい場所・毎日通る動線・介護保険の対象工事に入るか、の3つで順番を決めます。要介護・要支援の認定を受けた人が住む家なら、介護保険の住宅改修(支給限度基準額20万円・原則9割の給付)を工事の前に申請するのが最初の一手です。補助金等を引いて50万円を超える工事なら、所得税の控除と固定資産税の減額も確かめます。国のみらいエコ住宅2026事業は、窓などの断熱改修(要件化工事)とセットでなければ、バリアフリー改修だけでは申請できません。
窓の断熱とあわせて工事する場合に国の事業でいくら戻るかは、計算ツールで確かめられます。

2026年度の制度・2026年10月時点で確かめています
どこから直すかは3つの物差しで決める

バリアフリーリフォームの順番は、「転びやすい場所か」「毎日通る動線か」「介護保険の対象工事に入るか」の3つで決めると、家族の意見が割れても話がまとまります。工事の候補は家じゅうにあり、使えるお金と工事の日数には限りがあるからです。
1つめの物差しは転びやすさです。段差がある、床が濡れる、立ったり座ったりする、という場所は、つまずきや滑りが起きやすい場所です。玄関の上がり框、浴室の出入口と洗い場、トイレ、階段がこれに当たります。2つめは動線で、寝室からトイレ、居間から浴室のように1日に何度も通る道筋は、1か所の段差でも危ない場面が積み重なります。3つめは制度で、介護保険の住宅改修が対象にする工事は種類が決まっているので、対象に入る工事から手を付けると、同じ手元のお金でできる範囲が広がります。
| 物差し | 見るところ | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 転びやすさ | 段差・濡れる床・立ち座りの動作 | 本人や家族がつまずいた場所、ヒヤッとした場所を書き出す |
| 毎日の動線 | 寝室からトイレ、居間から浴室、玄関から道路 | 夜中にトイレへ行く道筋を、家族が一緒に歩いてみる |
| 制度の対象 | 介護保険の対象工事に入るか | 下の「介護保険の住宅改修で戻る額」の6種類と照らす |
たとえば、親が夜中に何度もトイレに起きる家なら、寝室からトイレまでの廊下の段差と、トイレの手すりが最初の候補です。浴室も全面改装は後に回し、出入口の段差と洗い場の手すりだけを先にする分け方ができます。反対に、外出が減って玄関をほとんど使わない時期なら、玄関の工事は急がなくてよいかもしれません。
編集部の整理では、「どこから」を決める前に、本人がどこで、どんな動作で困っているかを家族で1枚の紙に書き出すのが先です。「家じゅうをバリアフリーにしたい」という相談から始めると、見積の範囲が広がりすぎて比べられなくなります。困っている場所と動作が書けていれば、ケアマネジャーにも業者にも同じ紙で説明できます。
場所別のバリアフリー工事と制度の対象

場所ごとに見ると、玄関・廊下・トイレ・浴室は転びやすさと動線の両方に当たりやすく、優先度が高くなります。洗面所とキッチンは、毎日の使い勝手を整える工事が中心です。この記事では、手すり・段差の解消・床材・扉の4つを基本の工事として見ていきます。
場所によって優先度が変わるのは、そこで起きる動作が違うからです。玄関では靴の脱ぎ履きと段差の上り下り、浴室では濡れた床とまたぐ動作、トイレでは立ち座り、廊下では歩行器や車椅子が通れる幅が問題になります。もう1つ大事なのは、同じ「バリアフリー」でも、介護保険と所得税の控除とで、対象として名前が挙がっている工事が少しずつ違うことです。介護保険は6種類、所得税の控除は8種類で、通路の幅を広げる工事や浴室の改良は、所得税の控除の種類には名前がありますが、介護保険の6種類には名前がありません。
| 場所 | 困りやすい動作 | 主な工事 | 介護保険の6種類にある工事 | 所得税の控除の8種類にある工事 |
|---|---|---|---|---|
| 玄関 | 段差の上り下り・靴の脱ぎ履き | 手すり、上がり框の段差の解消、引き戸 | 手すり・段差の解消・引き戸等への扉の取替え | 手すり・床の段差解消・出入口の戸の改良 |
| 廊下・階段 | 歩く・車椅子で動く | 手すり、段差の解消、床材、幅の拡張、階段の勾配 | 手すり・段差の解消・床材の変更 | 通路の幅の拡張・階段の勾配緩和・手すり・段差解消・床材 |
| トイレ | 立ち座り | 手すり、和式から洋式への便器の取替え、引き戸 | 手すり・洋式便器等への取替え・扉の取替え | 便所の改良・手すり・出入口の戸の改良 |
| 浴室 | またぐ・濡れた床 | 手すり、出入口の段差の解消、滑りにくい床、引き戸 | 手すり・段差の解消・床材の変更・扉の取替え | 浴室の改良・手すり・段差解消・床材・戸の改良 |
| 洗面所 | 脱衣・立ち作業 | 手すり、滑りにくい床、引き戸 | 手すり・床材の変更・扉の取替え | 手すり・床材・出入口の戸の改良 |
| キッチン | 長い立ち作業 | 手すり、滑りにくい床、段差の解消 | 手すり・床材の変更・段差の解消(台所での対象になるかは市区町村に確かめる) | 手すり・床材・段差解消 |
たとえば、浴室を「ユニットバスごと入れ替える」見積の中には、出入口の段差の解消や手すりのように介護保険の種類に名前がある工事と、浴槽や設備の交換のように名前が無い工事が混ざります。キッチンや洗面所も同じで、手すりや床材は種類に名前がありますが、作業台の高さを変える、設備を入れ替える、といった工事は種類に名前がありません。名前が無い工事が対象になるかどうかは、工事の中身を見て市区町村が判断するので、表は「まず確かめる場所」の目安として使ってください。
場所の優先順位は「玄関・廊下・トイレ・浴室」を先に、「洗面所・キッチン」を後にするのが基本線です。ただし、本人が台所に立つ時間が長い、洗面所で着替えるときにふらつく、といった事情があれば順番は入れ替わります。
介護保険の住宅改修で戻る額
要介護・要支援の認定を受けた人が住む家なら、介護保険の住宅改修費の支給限度基準額は20万円で、原則その9割(上限18万円)が保険から給付されます。所得に応じて、8割(上限16万円)または7割(上限14万円)になります。
20万円は、要支援・要介護の区分にかかわらず同じ額で、生涯の上限として決まっています。ただし、要介護状態区分が重くなって3段階上がったときと、転居したときは、もう一度20万円までの支給限度基準額が設定されます。限度額の範囲内であれば、複数回に分けて申請することもできます。
対象になる工事は、厚生労働省の資料で次の6種類と決められています。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
計算の例:工事費が30万円で、そのすべてが6種類の工事だった場合、給付の計算に使えるのは限度額の20万円までです。原則の9割なら給付は18万円で、残りの12万円は自分で払います。8割の人なら給付は16万円、7割の人なら14万円です。
たとえば、地方で一人暮らしをしていた親が、子の家に移り住んで同居を始める場合は「転居」にあたるので、新しい家でもう一度20万円までの枠が設定されます。親の元の家で手すりを付けていたとしても、移った先の家で改めて使えるということです。どの時点で認定の区分が何段階上がったと数えるかは、市区町村の介護保険の窓口で確かめてください。
20万円の枠は家じゅうを直すには足りない額です。だからこそ、最初の物差しで選んだ「転びやすく、毎日通る場所」の工事に枠を使い、枠に入らない工事は自分で払う前提で考え、そのうえで下の所得税の控除や固定資産税の減額で戻る分を確かめる、という順に組み立てると、家族への説明が通りやすくなります。
介護保険は工事の前に申請する
介護保険の住宅改修は、工事の前に市区町村へ申請するのが原則です。工事が終わってから領収書などを出して給付を受ける流れなので、申請の前に着工しないことが一番の注意点です。
厚生労働省の資料では、住宅改修を行う際は、住宅改修が必要な理由書などを添えて事前に市町村へ申請書を出し、工事が完成したあとに領収書等を出すことで保険給付される、とされています。やむを得ない事情がある場合には工事が終わってからの申請もできると書かれていますが、それは例外の扱いです。先に工事を始めると、やむを得ない事情にあたるかどうかを市区町村が判断することになり、給付が受けられない場合があります。
- 1ケアマネジャーに相談する困っている場所と動作を伝える
- 2理由書を作ってもらう住宅改修が必要な理由をまとめる
- 3見積を取る複数の事業所の見積が促されている
- 4市区町村に事前に申請する申請書・見積・理由書・完成予定が分かるもの
- 5工事をして領収書等を出す工事が完成したあとに出して給付を受ける
事前の申請で出すのは、支給申請書、工事費の見積書、住宅改修が必要な理由書、工事後の完成予定の状態が分かるもの(日付入りの写真や住宅の間取り図など)の4つです。見積書については、資料に「複数事業所からの見積もり提出を促進」と書かれています。理由書を作れるのは、介護支援専門員(ケアマネジャー)、地域包括支援センターの担当職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上の資格などを持つ人とされています。
相談には、介護保険の被保険者証、困っている場所と動作を書いた紙、間取りが分かるもの、その場所の写真を持っていきます。聞くことは「この工事は住宅改修の対象になるか」「申請してから着工できるまで、どれくらいかかるか」「支払いはいったん全額を払う形か」の3つです。担当のケアマネジャーがいない場合は、住んでいる地域の地域包括支援センターに連絡します。
たとえば、親がまだ要介護・要支援の認定を受けていない場合は、介護保険の住宅改修は使えません。まず地域包括支援センターか市区町村の介護保険の窓口で、認定の申請について相談するのが順番です。認定を待つ間に工事を急ぐ事情があるなら、介護保険を使わない前提で、下の所得税の控除や固定資産税の減額に当たるかを先に確かめます。
介護保険を使う工事は「ケアマネジャーへの相談が先、業者への発注が後」です。業者から先に話が進んでいる場合も、契約書にサインする前にケアマネジャーに見積を見せ、事前申請が済んでから着工する日程にしてもらうよう業者に伝えてください。
所得税の控除で戻る額
対象になる人がバリアフリー改修をして、その工事の標準的な費用の額(補助金等を受けた場合はその額を引いた額)が50万円を超えると、その年の所得税額から控除を受けられます。国税庁の名前では「住宅特定改修特別税額控除」で、住宅ローンを使っていなくても使える控除です。
控除の額は、標準的な費用の額(補助金等を引いた額)をAとして、控除対象限度額の200万円までのAに10%をかけ、さらにB(標準的な費用の額のうち限度額を超えた部分と、バリアフリー改修と併せて行う増築・改築などの費用の合計。標準的な費用の額が上限で、1,000万円からAを引いた金額まで)に5%をかけて足します。「標準的な費用の額」は実際に払った工事費そのものではなく、増改築等工事証明書で確かめる額なので、業者の見積の合計と同じとは限りません。
計算の例:Aが控除対象限度額の200万円に届く場合、Aの部分の控除は200万円 × 10% = 20万円です。これにBの部分の5%が足されます。実際に戻る額は、その年に納める所得税の額などで変わるので、税務署で確かめてください。
対象になる人は、50歳以上の人、要介護または要支援の認定を受けている人、所得税法上の障害者である人、高齢者等(65歳以上の人など)である親族と同居を常況としている人のいずれかです。50歳・65歳・同居の判定は、住み始めた年の12月31日の現況で見ます。そのほかの主な要件は次のとおりです。
- 平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に住み始めていること
- 工事の日から6か月以内に住み始めていること
- 床面積50㎡以上で、床面積の2分の1以上を専ら自分の居住用にしていて、合計所得金額2,000万円以下(40㎡以上50㎡未満も同じ居住用の条件で、1,000万円以下・令和8年1月1日以後に住み始めた分から)
- 工事費用の2分の1以上が自分の住む部分の工事であること
- 通路の幅の拡張、階段の勾配緩和、浴室の改良、便所の改良、手すりの取付け、床の段差解消、出入口の戸の改良、滑りにくい床材への取替えの8種類のどれかを含むこと
たとえば、要介護の認定を受けていない70代の親と同居している50代の子が、自分名義の家で浴室とトイレを改修する場合は、子が50歳以上であることと、65歳以上の親族と同居していることの両方で対象者に当たります。反対に、介護保険の給付や自治体の補助を受けた場合は、それが「補助金等」として差し引く額に入るかどうかで、50万円を超えるかの判定が変わることがあります。工事の前に、増改築等工事証明書を出す建築士や税務署に「この給付は差し引く額に入るか」を確かめておくと安心です。
申告は確定申告で行い、計算明細書、建築士等が発行した増改築等工事証明書、床面積が分かる登記事項証明書等、要介護・要支援の認定を受けている場合は介護保険の被保険者証の写しを添えます。住宅ローン控除の要件も満たすときは、どちらか1つを選んで使います。また、前年以前3年内の各年分で同じ家にこの控除を使っていると、原則として使えません。
所得税の控除を使うかどうかは、契約の前に決めておくのが確かです。業者に「増改築等工事証明書を建築士に出してもらえるか」を聞き、出せない場合は控除をあきらめるか、出せる業者で見積を取り直すかを判断します。
出典:国税庁 No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
固定資産税の減額は3か月以内に申告
新築から10年以上たった家でバリアフリー改修をして、工事費から補助金等を引いた額が50万円(税込)を超えると、翌年度分の固定資産税が3分の1減額されます(減額の対象になる床面積の範囲は、市区町村に確かめてください)。申告の期限は工事完了日から3か月以内で、提出先は家がある自治体の窓口です。
所得税の控除と同じくバリアフリー改修を後押しする仕組みですが、対象の人の判定日も、手続きの窓口も違います。所得税の控除は住み始めた年の12月31日の現況で見て、確定申告で税務署に出します。固定資産税の減額は、65歳以上かどうかを工事が完了した翌年の1月1日時点で見て、市区町村の窓口に出します。期限が3か月と短いので、工事の終わりが見えた時点で書類をそろえ始める必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 対象の人 | 65歳以上(工事が完了した翌年の1月1日時点)、要介護・要支援の認定を受けている人、障がいを持っている人のいずれか |
| 家屋 | 新築から10年以上たった家。賃貸住宅ではないこと |
| 工事費 | 補助金等を引いた額が50万円(税込)を超えること |
| 床面積 | 改修後の床面積が登記簿の表示で40㎡以上240㎡以下 |
| 期限 | 改修工事を令和13年3月31日までに行うこと |
| 申告 | 工事完了日から3か月以内に、家がある市区町村の窓口へ |
申告で出すのは、固定資産税減額申告書、介護保険の被保険者証の写し等、バリアフリー改修の費用が確認できる書類、補助金等の金額が分かる書類です。国土交通省の資料には、必要な書類は自治体によって異なる場合があると書かれているので、提出先の市区町村の資産税の担当に、工事の前に確かめておきます。
たとえば、親の家を改修する場合でも、その家を人に貸していれば、この減額の対象になりません。また、店舗と住まいを兼ねた家は、床面積の2分の1以上が住まいであることが条件です。新築から10年たっていない家も対象外なので、家の新築の時期を登記の証明書で確かめておきます。
固定資産税の減額は「工事が終わってからの3か月」が勝負です。工事の契約のときに業者へ、工事費の内訳と、介護保険の給付や補助金の額が分かる書類を、完了後すぐに出してほしいと頼んでおくと、期限に間に合わせやすくなります。
出典:国土交通省「バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置」
国の補助はバリアフリーだけでは出ない
国のみらいエコ住宅2026事業には、バリアフリー改修の補助がありますが、窓などの断熱改修(要件化工事)をした家に行う工事だけが対象です。バリアフリー改修だけを申請することはできず、申請する補助額の合計が5万円以上であることも条件です。
みらいエコ住宅2026事業は、住宅の省エネ化を目的にした国土交通省の事業で、バリアフリー改修はその中の追加の工事という位置づけです。要件化工事は、1つの居室(トリガールーム)の外に面したすべての窓などの断熱改修を含む組み合わせで決まっています。手すりや段差の解消だけの工事は、この組み合わせに当たりません。補助額は、手すりを何か所付けても、段差をいくつ解消しても、箇所数によらず工事の種類ごとの額です。
| 工事の種類 | 補助額 | 条件 |
|---|---|---|
| 手すりの設置 | 7,200円/戸 | 工事を伴わない取付けは含まれない |
| 段差解消 | 8,400円/戸 | 据え置きの踏み台・段差解消板・スロープ等は含まれない |
| 廊下幅等の拡張 | 33,600円/戸 | 工事後の幅がおおむね750mm以上(浴室の出入口はおおむね600mm以上)。単なるドアの取替えは含まない |
| 衝撃緩和畳の設置 | 25,200円/戸 | 4.5畳以上設置する場合で、事務局に登録された対象製品のみ |
計算の例:手すり7,200円と段差解消8,400円の2つだけでは、合計15,600円で5万円に届きません。窓などの断熱改修の補助額と合わせて、申請する補助額の合計が5万円以上になるかで判定します。
たとえば、冬の寒さで内窓を付ける計画がある家なら、同じ工事の中で手すりや段差解消を足すと、その分の補助を上乗せできる可能性があります。一方で、窓の工事の予定がない家が、この補助のために窓の工事を足すのは順番が逆です。補助の上限は家の新築の時期と要件化工事の組み合わせで決まり、バリアフリー改修だけの上限額は、資料の補助額の表には載っていません。申請するのは施主ではなく、登録された事業者です。窓の断熱改修の補助には、環境省の先進的窓リノベ2026事業もあります。窓の工事でいくら戻るかは、こちらにまとめています。

みらいエコ住宅2026事業のバリアフリー改修は「窓の工事をするなら、ついでに確かめるもの」です。業者に「バリアフリーでも国の補助が出ます」と言われたら、要件化工事に何を入れる計画なのかを聞き返してください。
出典:みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」/住宅省エネ2026キャンペーン公式
マンションと戸建てで確かめる先
マンションでは管理規約と管理会社、戸建てでは市区町村の制度、賃貸では大家さんか管理会社に、工事の前に確かめるのが先です。同じ手すりや段差の解消でも、建物の決まりや持ち主の判断がかかわるかどうかが違うからです。
マンションでは、床材を替える工事に遮音の決まりを管理規約で設けている場合があります。手すりや段差の解消も、工事の届け出が要るかを管理規約で確かめます。玄関ドアや窓は、管理規約で共用部分とされているかどうかで、そもそも替えられるかが変わります。
- マンション:床材を替える前に、管理規約に遮音の決まりがあるか、工事の届け出が要るかを確かめる
- マンション:玄関ドアや窓を替えたいときは、共用部分の扱いを管理会社に聞く
- 戸建て:市区町村がバリアフリーの改修に独自の助成を出していないか、住所で探して要綱を見る
- 賃貸:工事の前に大家さんか管理会社に相談し、費用を誰が持つかを決める
たとえば、分譲マンションに住む親の浴室の出入口の段差をなくしたい場合、工事自体は住戸の中で完結しても、工事の時間帯や騒音の届け出を管理規約で決めていることがあります。介護保険の事前申請と、管理会社への届け出の両方の日程を見込んで、着工日を決めます。マンションの管理規約と補助の関係は、別の記事で詳しく扱っています。

市区町村によっては、バリアフリーの改修に独自の助成を出しているところもありますが、対象の人・工事・申し込みの時期は要綱で決まります。住所で探して要綱で確かめる手順は、こちらにまとめています。

確かめる順番は「建物の決まり(管理規約・大家さん)」「介護保険」「税と市区町村の制度」です。建物の決まりで工事ができないと分かれば、ほかの制度を調べた時間がむだになるので、いちばん先に確かめます。
見積は制度の対象ごとに分けてもらう

バリアフリーリフォームの見積は、「介護保険の6種類に当たる工事」「所得税の控除の8種類に当たる工事」「それ以外の工事」に分けて書いてもらうと、どの制度でいくら戻るかを家族で確かめられます。合計の1行だけの見積では、どの工事がどの制度に当たるかが読めないからです。
制度ごとに対象の工事がずれているので、見積の中で線を引いておかないと、介護保険の申請、増改築等工事証明書、固定資産税の申告のたびに、同じ見積を読み直すことになります。介護保険の資料が複数事業所からの見積を促しているのも、同じ工事の中身を比べて確かめるためです。
- 工事の場所と種類が、手すり・段差の解消・床材・扉・便器のように分けて書かれている
- 手すりは、取り付ける場所と、壁の下地の補強が入っているかが書かれている
- 段差の解消は、床をかさ上げするのか、敷居を取るのか、方法が書かれている
- 介護保険の対象として申請する工事と、それ以外の工事が分かれている
- 増改築等工事証明書を建築士に出してもらえるか、その費用が書かれている
- 工事の日程が、介護保険の事前申請のあとになっている
たとえば、2社の見積がどちらも「浴室バリアフリー工事一式」の1行だったら、手すりの数、段差の解消の方法、床材の種類を行に分けて出し直してもらいます。見積の頼み方と比べ方の基本は、こちらにまとめています。

業者に「全部、補助の対象になります」と言われたら、「どの制度の、どの種類の工事に当たるか」を行ごとに書いてもらうのが一番の確かめ方です。書けない業者は、制度の中身を確かめていない可能性があります。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
介護保険・所得税の控除・固定資産税の減額は、それぞれ対象になる工事の範囲が違うので、見積を制度ごとに分けて書いてもらえる会社でないと戻る額を確かめられません。同じ分け方で書いてもらうよう頼んで、複数の会社の見積を並べてください。介護保険を使うなら、工事の前にケアマネジャーへの相談と申請が先です。
補助金を使わない・急がないほうがいい場合
バリアフリーリフォームでは、制度を使うことにこだわると、かえって工事が遅れたり膨らんだりする場面があります。次のような場合は、制度を使わない、あるいは契約を急がない判断も選択肢です。
- 介護保険の事前申請の前に、「今すぐ始めないと間に合わない」と着工を急かされている場合
- みらいエコ住宅2026事業の補助を受けるためだけに、予定していなかった窓の工事を足そうとしている場合
- 所得税の控除や固定資産税の減額の50万円を超えるためだけに、要らない工事を足そうとしている場合
- 退院の直後など、本人がどこで、どんな動作で困るかがまだ定まっていない場合
- 本人の状態が変わりつつあり、介護保険の20万円の枠を一度に使い切ってしまいそうな場合
介護保険の枠は、設定し直されるまでは残りの額でやりくりするので、状態が落ち着く前に大きな工事をすると、本当に要る場所に枠が残らないことがあります。国の補助事業には予算があるので、状況はページ上部の帯で確かめ、補助が受けられなかったときにも納得できる工事かを、補助なしの金額で一度確かめておくと安心です。
反対に、急いだほうがいいのは、すでに転倒が起きている場所があるときです。その場合も、ケアマネジャーに急ぎであることを伝えて事前申請の段取りを早めてもらい、着工は申請のあとにする、という順番は崩さないのが安全です。
編集部の整理では、判断の順番は「本人が安全に動けるか」「工事が本人の動作に合っているか」「そのうえで制度が使えるか」です。制度は3番目で、1番目と2番目を曲げてまで合わせるものではありません。
よくある質問
バリアフリーにリフォームするには、いくらかかりますか?
工事の場所と範囲、家の造りで大きく変わるため、この記事では相場の金額を書いていません。困っている場所と動作を絞って見積を取ると、比べられる金額になります。要介護・要支援の認定を受けた人の家なら、介護保険の住宅改修で、20万円の限度額の原則9割まで給付を受けられます。
お風呂のバリアフリーリフォームは、どうしたらいいですか?
出入口の段差の解消、洗い場や浴槽の出入りのための手すり、滑りにくい床材、引き戸への扉の取替えが基本です。これらは介護保険の6種類に名前がある工事で、所得税の控除では浴室の改良も種類に入っています。浴槽の交換や全面改装は、対象になるかを見積の行ごとに確かめてください。
トイレのバリアフリーリフォームの費用は、どこまで戻りますか?
手すりの取付け、和式から洋式への便器の取替え、引き戸への扉の取替えは、介護保険の6種類に名前がある工事です。認定を受けた人の家なら、介護保険の限度額の範囲で給付を受けられます。所得税の控除では便所の改良が種類に入っているので、工事費が大きい場合は控除も確かめます。
要介護認定がなくても使える制度はありますか?
所得税の控除は、50歳以上の人や65歳以上の親族と同居している人も対象です。固定資産税の減額は、工事が完了した翌年の1月1日時点で65歳以上の人も対象です。みらいエコ住宅2026事業は年齢の条件ではなく、窓などの断熱改修とセットかどうかが条件です。
車椅子に備えて、廊下を広げておくべきですか?
通路の幅の拡張は、所得税の控除の種類に入り、みらいエコ住宅2026事業でも廊下幅等の拡張として補助の対象です(工事後の幅がおおむね750mm以上)。介護保険の6種類には名前がありません。車椅子をいつから使うかは本人の状態で変わるので、ケアマネジャーや作業療法士に、今の動作と見通しを相談してから決めてください。
介護保険と減税は一緒に使えますか?
所得税の控除と固定資産税の減額は、どちらも補助金等を引いた額で50万円を超えるかを判定します。介護保険の給付がこの「補助金等」に入るかは、税務署や、家がある自治体の資産税の担当に確かめてください。所得税の控除は、住宅ローン控除の要件も満たすときはどちらか1つを選びます。
見積を見る前のおさらい
- 順番は、転びやすさ・毎日の動線・介護保険の対象工事か、の3つで決める
- 玄関・廊下・トイレ・浴室を先に、洗面所・キッチンは本人の動作しだいで後に。制度ごとに対象の工事の名前がずれる
- 介護保険の住宅改修は限度額20万円で、原則9割(所得により8割・7割)。3段階上がったときと転居で設定し直される
- 介護保険は工事の前に市区町村へ申請する。ケアマネジャーへの相談が先、業者への発注が後
- 所得税の控除は、補助金等を引いて50万円超の工事で、限度額200万円の10%などを所得税額から控除。住宅ローン控除とはどちらか1つ
- 固定資産税の減額は、新築から10年以上の家で翌年度分が3分の1。工事完了日から3か月以内に市区町村へ
- みらいエコ住宅2026事業のバリアフリー改修は、窓などの断熱改修とセットで、補助額の合計5万円以上のときだけ
- マンションは管理規約、賃貸は大家さん、戸建ては市区町村の制度を工事の前に確かめる
- 見積は「介護保険の対象・税の対象・それ以外」に行を分けてもらう
バリアフリーリフォームは、家族の心配が先に立って「全部やっておこう」となりやすい工事です。けれど、本人が困っている場所と動作を書き出し、そこから順に手を付けるほうが、介護保険の枠も手元のお金も本当に要る工事に回せます。制度は工事を決めたあとに当てはめるもので、制度に合わせて工事を決めるものではない、という順番を家族で共有しておくのが、いちばん確かな進め方です。

