2026年11月3日時点の公表値です。申請額が予算に達した時点で受付は終了します。
- 耐震工事に、国の補助金は出るの?
- うちの市にも耐震の補助はある?どこで調べればいい?
- 築何年の家なら対象になるの?
- いくら出るの?上限はいくら?
- まず耐震診断を受けるの?診断だけでも補助は出る?
- 補助の申請は、契約や着工のあとでも間に合う?
- 窓や給湯器の国の補助金や、税金の控除と一緒に使える?
- 営業に「耐震なら補助金が出ますよ」と言われたけれど、本当?
上記のような悩みに答えます。
耐震補強の補助金は、国が家の持ち主に直接出すものではなく、市区町村が用意した制度を通じて出るものです。そのため、あるかどうかも、いくら出るかも、住んでいる市区町村の要綱で決まります。検索すると都道府県や市の公式ページと制度の一覧が並びますが、一覧を眺めても、自分の家が対象か、いまの段取りで間に合うのか、国の省エネ補助や減税とどう組むのかは分かりません。そこで、国の仕組みと市区町村の制度の関係、対象になりやすい家の条件、診断から着工までの順番を軸に、国の補助金との関係と減税の考え方まで、国土交通省と国税庁の資料で確かめながら整理しました。個別の市区町村の額は書きません。額を決める項目と、自分で確かめる道順を最後まで書きます。
耐震補強の補助金の額と条件は、住んでいる市区町村(県の制度が関わる地域もあります)の要綱で決まります。国は交付金で市区町村を支える間接補助にとどまり、持ち主は国に直接申し込めません。基本の線は昭和56年5月31日以前の家で、診断、補強設計、改修の順に進み、補助は着工前の申請が前提の制度もあるため、契約の前に要綱で確かめるのが安全です。
2026年度の制度・2026年10月時点で確かめています
国の住宅省エネ2026キャンペーンの補助額は補助金の計算ツールで出せます。ただし、ツールで計算できるのは国の省エネ4事業だけで、耐震の補助は計算できません。耐震の額は、この記事の手順で要綱を開いて確かめてください。

耐震補助金は市区町村の事業
耐震補強の補助は、市区町村が持ち主に出す補助が中心です。国の資料は「地方公共団体」と書いており、県が補助制度に関わる地域もあります。国は、その地方公共団体を交付金で支える立場にいます。
国土交通省の令和8年度の資料は、この事業について、民間事業者への直接補助ではなく、地方公共団体を通じた間接補助で、地方公共団体による補助制度の整備が必要だと書いています。原文は次のとおりです。
国土交通省「令和8年度当初予算 住宅・建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業) 拡充・延長」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001995259.pdf)より:「本事業は民間事業者への直接補助ではなく、地方公共団体を通じた間接補助(地方公共団体による補助制度の整備が必要)」。住宅の欄の支援メニューは「耐震診断」「補強設計等」「耐震改修等、建替え又は除却」。右上に「社会資本整備総合交付金等の内数」。
つまり、市区町村が制度を作っていなければ、国の事業はその地域の持ち主には届きません。制度を作るかどうか、診断だけを対象にするか改修まで対象にするか、どの家をどこまで支えるかは、市区町村が決めます。同じ県の隣の市で中身が違うのは、この仕組みのためです。
資料の支援メニューは、診断、補強設計、改修の3つに分かれています。どれを対象にするかは各制度の要綱で決まるため、診断は対象でも改修は対象外、という制度もありえます。この資料には、耐震性のない住宅を取り壊して駅やバス停の近くへ移る場合の支援を、令和8年度に新しく加えたことも書かれています。ただし、これも使えるかどうかは市区町村の制度の有無で決まります。
たとえば、営業に「国の耐震補助が出ます」と言われたときは、「国のどの事業を、どの市区町村の制度で受けるのか」と聞き返すと、話が具体的になります。国に直接申し込む窓口はなく、申し込み先は市区町村の担当課です。
編集部の整理では、耐震の補助を調べるときは、国の制度名を探すより、住所の市区町村の制度名を探すほうが近道です。国の資料は仕組みを知るために読み、額と条件は市区町村の要綱で読む、と役割を分けてください。市区町村の制度の探し方は、別の記事の市区町村のリフォーム補助金の探し方にまとめています。

耐震補助金の対象になりやすい家
対象の基本の線は、昭和56年5月31日以前に建てられた家です。ただし、その日付を使うかどうかも、市区町村の要綱で確かめます。

日付が昭和56年なのは、この年の建築基準法施行令の改正を境に、耐震基準が旧耐震と新耐震に分かれているからです。国土交通省四国地方整備局の資料は、昭和56年の改正を境に旧耐震基準と新耐震基準に大別されると説明しています。また、阪神・淡路大震災では、昭和56年以前に建てられた建物に被害が集中したことも書かれています。この資料は「案」の形の手引きで、書かれた時期が古い可能性があり、耐震診断を勧める目安の説明であって、補助の要件を定めたものではありません。税金の控除でも、国税庁が同じ日付で線を引いています。
国土交通省 四国地方整備局「住宅の耐震診断・耐震改修推進のための戸別訪問マニュアル(案)Q&A集」(https://www.skr.mlit.go.jp/kensei/sumaizukuri/06sumainoanzen/03qa.pdf)Q2:「過去の大震災を教訓に、建築基準法の耐震基準が数回改正されています。その中で、昭和56年の改正を境に、『旧耐震基準』と『新耐震基準』に大別されます。」Q6:「基本的にはS56年5月以前に着工された住宅が対象で、それらの住宅については、耐震診断が必要である旨を説明します。」
注意したいのは、「建築された日」と「着工した日」のどちらで数えるかが、制度によって書き方が違うことです。四国地方整備局の資料は「着工」と書き、国税庁の減税は「建築」と書いています。市区町村の要綱がどちらで書いているかで、昭和56年の春ごろに建てた家の扱いが変わる可能性があります。境目に近い家は、要綱の言葉と、手元の書類の日付を、窓口で一緒に確かめてもらってください。
自分の家がその日付より前かどうかは、書類で確かめられます。同じ資料は、確かめる手がかりとして、固定資産課税台帳、建築確認書、検査済証、登記簿謄本、建築主と施工業者の契約書、設計図の日付、古い住宅地図などを挙げています。建築確認書や検査済証が手元にあれば、すぐに分かります。
同資料 Q7:「建物の建築年数の確認は、固定資産課税台帳、建築確認書または検査済証、登記簿謄本、建築主と施工業者等の契約書、設計図の日付、撮影日が確認できる航空写真、古い住宅地図等で行います。」
日付のほかにも、要綱は対象の家にいくつかの条件を付けることがあります。持ち主が自分で住んでいること、木造の戸建てであること、市区町村の税を滞納していないこと、といった書き方が考えられます。マンションや賃貸住宅、店舗と一緒の家が対象かどうかも、要綱の「対象住宅」で決まります。国土交通省のポスターは、耐震改修等の欄ではマンションを含むすべての住宅を対象とし、パッケージ支援の欄ではマンションを除く住宅としていますが、これらは国の事業の話であって、市区町村の制度が同じ範囲とは限りません。
たとえば、昭和50年代に建てた木造の戸建てを相続して住んでいる場合は、持ち主の名義と住んでいるかどうかを、まず窓口で聞くのが近道です。名義が前の持ち主のままだと、申請の条件に合わないことがあります。
編集部の整理では、対象かどうかの確認は「年」「木造か」「住んでいるか」「名義」の4つの順に見ると漏れません。1つでも要綱の言葉と合わなければ、診断を申し込む前に窓口に聞いてください。
耐震補助金は診断から着工まで順番に
耐震の補助を使うときの順番は、診断、補強設計、改修、完了の報告です。補助は、工事に着手する前の申請が前提の制度があるため、順番を要綱で確かめることが額を守ることにつながります。

順番が決まっているのは、耐震診断の結果が補強の計画の土台になり、制度によっては補助の条件にも関わるからです。四国地方整備局の資料は、耐震診断を、大規模な地震に対してどの程度の安全性があるかを判定するものと説明し、専門家が地盤や基礎、壁の強さ、壁の配置、劣化度などを現地で調べ、上部構造の評価を数値(評点)で表すと書いています。耐震改修工事は、基礎や壁の補強、劣化している部分の取替えなどを行う工事です。住宅によって弱点が違うため、工事をする場所も家ごとに変わります。
- 1窓口に相談する対象の家か、今年度の受付、診断の補助の有無を聞く
- 2耐震診断を受ける専門家が現地を調べて評点を出す
- 3補強設計を作る診断の弱点に合わせた補強の計画
- 4補助を申請する着工の前が条件の制度がある。交付決定を待つ制度もある
- 5改修工事をする補強の計画どおりに施工する
- 6完了を報告する工事の写真や書類を窓口に出す
診断を行う人にも、市区町村や県が決めた条件があることがあります。同じ資料は、県の例として、講習を受けた建築士に診断を限ったり、講習を受けて登録された業者でなければ補助の対象にしなかったりする制度を紹介しています。ここで書いたのは県の例で、資料が古い可能性があり、すべての制度が同じとは限りません。診断を頼む相手を探す前に、窓口に「補助を受けるには、診断は誰に頼む決まりですか」と聞いてください。決まりのある制度で、決まりに外れた人に頼むと、診断の費用が補助の対象にならないことがあります。
また、診断の結果が悪くても、すべてを直す必要があるとは限りません。補強の計画は、弱点の場所と、どこまで上げるかを持ち主が決めて作ります。要綱が「一定の水準まで上げること」を補助の条件にしている制度では、その水準に届く計画かどうかが審査されます。水準の数字や、その計算は診断をした専門家が行うもので、この記事では数字を書きません。
たとえば、診断の結果、1階の壁が足りないと分かった場合は、壁の補強と、土台や柱の傷んだ部分の取替えが計画の中心になります。屋根が重いことが弱点とされた場合は、屋根を軽い材料にする工事が計画に入ることがあります。屋根の軽量化が補助の対象になるかは要綱しだいで、屋根の修理そのものを国や市の補助で直せるかは別の判定になります。
編集部の整理では、契約の前に、窓口で「申請の時期」を聞いておくのが一番大事です。診断の前に申請する制度、補強設計のあとに申請する制度、交付決定を受けてから着工する制度と、制度ごとに違い、着工したあとでは申請できない制度もあるためです。業者に「先に着工しましょう」と言われても、申請の前なら一度止めて、窓口に聞いてください。
耐震補助金の額を決める5項目
補助の額は、要綱の5つの項目で決まります。この記事は額を書きません。額の出し方を知っておけば、見積の補助金の欄が正しいかを、自分で検算できます。
額を書かないのは、国の資料に交付の率や限度額が載っていても、それは「国と地方で」補助する場合の数字で、個々の市区町村の要綱の率や限度額と同じとは限らないからです。持ち主が受け取る額は、市区町村の要綱で決まった率と限度額から出ます。
| 項目 | 要綱で探す言葉 | 確かめること |
|---|---|---|
| 対象になる費用 | 補助対象経費 | 診断、補強設計、改修のどれが対象か。工事費のうち対象になる部分の範囲 |
| 補助の形 | 補助率、補助金の額、定額 | 工事費の何割か、決まった額か。端数の扱い |
| 限度額 | 限度額、上限 | 診断、設計、改修で別に決まるか。加算がある条件は何か |
| 対象になる業者 | 施工者、登録 | 登録や講習が条件か。市区町村の中の業者に限るか |
| 受付 | 受付期間、先着、抽選 | いつからいつまでか。今年度の予算が残っているか |
この表のうち、見積と一番強くつながるのは「対象になる費用」です。耐震改修の見積には、補強の工事のほかに、足場、内装の復旧、仮住まいや、見た目を直す工事が入ることがあります。補助の対象は補強の工事の部分に限られる制度があり、見積全体に補助の率をかけて計算すると、実際の補助より多く見えます。見積書で「補助の対象になる行」と「ならない行」が分かれているかを、先に確かめてください。
- いくら出るか分からない
- 全体に率をかけた数字
- 着工してから申請するつもり
- 対象の費用と率、限度額が分かる
- 対象の行だけで検算した数字
- 申請の時期に工事の日程を合わせる
たとえば、見積の中の補強工事の部分だけが補助の対象になる制度で、見積の全体に補助の率をかけて「これだけ戻る」と説明されていた場合、実際に戻る額は、その説明より小さくなります。見積の補助金の欄が、どの行に、どの率をかけたものかを、業者に聞いてください。
受付は先着や抽選のことがあり、今年度の予算が尽きれば終わります。国の事業の予算に関する情報は国の事業の予算残のページで見られますが、市区町村の耐震補助の予算は、そこには載りません。窓口で直接聞くことになります。
編集部の整理では、額を知りたいときは、「率」「限度額」「対象の費用」の3つを窓口で聞き、見積の対象の行に自分で当てはめて計算するのが確かです。その計算を、診断をした専門家と、業者の両方に見てもらうと、食い違いに気づけます。
耐震補助金と国の省エネ補助は併用できるか
国の省エネ4事業と耐震の補助は別の制度で、一緒に使えるかは、制度ごとの決まりで確かめます。耐震補強の工事そのものは、確かめたみらいエコ住宅2026事業の要件資料には出てきません(ほかの3事業の資料では、この記事では耐震の有無を確かめていません)。
住宅省エネ2026キャンペーンは、みらいエコ住宅2026事業、給湯省エネ2026事業、先進的窓リノベ2026事業、賃貸集合給湯省エネ2026事業の4つです。編集部が、みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)の「交付申請等の要件について」という資料の全文を検索したところ、「耐震」という語は1か所も出てきませんでした。この資料は申請の要件を書いたもので、「耐震は対象外」と書いてあるわけではありません。補強の工事が、みらいエコ住宅のどの工事に当たるかは、この資料からは読み取れません。耐震と省エネを一緒にやる場合は、省エネの工事の部分だけを国の事業に申請する、と考えるのが安全です。
なお、国の事業は、施主ではなく、施主と契約した登録事業者が申請します。国の補助金を使う場合は、耐震の補強をする業者と、省エネの工事をする業者が同じかどうか、その業者が国の事業の登録を済ませているかも確かめてください。登録の確かめ方などは、国の補助金の入口の記事にまとめています。

一緒に使えるかで引っかかりやすいのは、市区町村の制度に国のお金が入っている場合です。先進的窓リノベ2026事業の資料は、他の補助制度との併用について、地方公共団体の補助制度は、国費が充当されているものを除き併用できると書いています。耐震の市区町村の制度は、先に見た国土交通省の交付金を財源にすることがあります。その場合に、窓リノベの資料のいう「国費が充当されているもの」に当たるかどうかは、この記事では決められません。窓口に「この制度には国費が充当されていますか」と聞いてください。
環境省「先進的窓リノベ2026事業の詳細」(https://www.env.go.jp/content/000382464.pdf)p.2 より:他の国庫補助金は補助対象に重複がない場合は併用可。地方公共団体の補助制度は、国費が充当されているものを除き併用可(※3:内閣府の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金(令和7年度補正予算成立分)」など別途併用を認めるとされたものが充当された場合は除く)。
たとえば、窓の断熱を窓リノベで申請し、同じ時期に市区町村の耐震補助も受けたい場合は、2つを確かめます。1つ目は、耐震の制度に国費が充当されているか。2つ目は、耐震の要綱が、他の補助金を受ける工事を対象外にしていないか。国の側と市区町村の側の両方の決まりを満たして、はじめて両方を受けられます。確かめた結果は、日付と担当の人の名前と一緒にメモして、業者にも伝えてください。
窓の額の出し方は先進的窓リノベ2026の補助額に、国と自治体の併用の全体は国と自治体の補助金の併用にあります。


編集部の整理では、耐震と省エネを同じ時期にやるなら、工事ごとに申請先を分け、「国の分」「市区町村の分」「減税の分」を別の行にして見積を作ってもらうのが、一番確かめやすい形です。
耐震補助金と減税は引き算で組む
耐震改修をすると、補助金とは別に、所得税の控除を受けられることがあります。国税庁の住宅耐震改修特別控除です。このとき、補助金を受けた分は、控除の計算から引かれます。

控除の要件は、国税庁のページに書かれています。家が昭和56年5月31日以前に建築されていて、自分の居住の用であること、耐震改修をした家が現行の耐震基準に適合していること、2つ以上の住宅を持っている場合は主として居住している住宅であること、の3つです。適合したことは、建築士などが出す増改築等工事証明書か、市町村が出す住宅耐震改修証明書で示します。確定申告のときは、この証明書と、昭和56年5月31日以前に建築されたと分かる登記事項証明書などを添えます。
国税庁 タックスアンサー No.1222「耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1222.htm)より:「個人が、平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に、自己の居住の用に供する家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります。)について住宅耐震改修をした場合には、一定の金額をその年分の所得税額から控除(住宅耐震改修特別控除)することができます。」適用要件:「1 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であって、自己の居住の用に供する家屋であること。」「2 耐震改修(…)をした家屋が、現行の耐震基準に適合するもの(注)であること。」「3 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。」控除額の計算:「A 住宅耐震改修に係る耐震工事の標準的な費用の額(工事の費用に関し補助金等の交付を受ける場合には、その補助金等の額を控除します。以下同じです。)(控除対象限度額を限度)」
補助金を引くのは、同じ工事の費用に、補助金と減税の両方で報いることを避けるためです。国税庁の控除は、工事の「標準的な費用の額」から補助金の額を引いた金額が計算の元になります。つまり、補助金が大きいほど、控除の元になる金額は小さくなります。補助金をもらったうえで減税も受けたいときは、控除の見込みは、補助金を引いたあとの金額で考える必要があります。
控除の額と限度額は、国税庁のページで確かめてください。ここでは書きません。税の判断は税務署か税理士の領分で、家の条件や、住宅ローン控除との選び方によって変わるためです。国税庁のページには、住宅ローン控除との関係として、条件によって両方を受けられる場合と、どちらか一方を選ぶ場合があることも書かれています。
たとえば、市区町村の補助を受けて耐震改修をし、翌年に確定申告で控除を受ける場合は、補助金の額が分かる書類と、増改築等工事証明書か住宅耐震改修証明書のどちらか(国税庁のページが挙げる提出書類)を、工事の時点で残しておくと安心です。工事が終わってから、書類の取り方を探すと手間がかかります。業者に、証明書を出せるかどうかを、契約の前に聞いてください。
編集部の整理では、耐震では、補助金は工事の費用を減らし、減税は払った税金を減らす、役割の違う2つです。補助金を先に確かめ、そのあとに減税を、補助金を引いた額で見る、の順に考えると、取り違えません。
見積と営業の言葉で確かめる行
耐震補強の見積では、補強の方法と、補助の対象になる行を確かめます。営業の「耐震なら補助金が出ます」は、要綱で確かめるまでは仮の話です。
見積の行を確かめるのは、耐震補強の工事内容が、診断の結果によって家ごとに違うからです。同じ広さの家でも、壁の足りない場所、基礎の状態、屋根の重さが違えば、必要な工事も変わります。診断の結果を見ないまま出された金額は、補助の対象になるかどうかも、補強として足りるかどうかも、判断できません。
見積書で確かめる行は、次のとおりです。
- 診断の結果と補強の計画が、見積に添えられているか
- 補強の方法(壁の追加、基礎の補強、金物での緊結、屋根の軽量化など)が、診断の弱点とつながっているか
- 補強のあとの評点が、診断士の計算として示されているか。業者が口頭で言う数字ではなく、診断をした専門家の書類で確かめます
- 補助の対象になる行と、ならない行が分かれているか
- 補助金の欄が、国、市区町村、減税のどれの分かが、行ごとに書かれているか
評点の数字は、この記事では書きません。家ごとに診断士が計算するもので、数字を作ると誤解のもとになるからです。「この工事で安全になります」という言葉だけで済ませず、診断士の書類で、補強の前と後の評点を見せてもらってください。
屋根を軽くする工事は、耐震の側で扱う場合があります。屋根が重いと家が揺れに弱くなるため、診断で屋根の重さが弱点とされれば、軽い材料に替える工事が補強の計画に入ります。ただし、これが補助の対象になるかは、要綱で決まります。屋根の修理や葺き替えに使える補助の判定は、屋根修理の記事の側の話で、この記事では判定しません。屋根の工事の費用の見方は屋根修理の費用の記事にあります。

たとえば、「古い家は耐震補強が必要です。補助金が出るので今日契約を」と言われた場合は、診断の結果と、要綱の申請の時期を見せてもらってから返事をすると決めておくと、慌てずに済みます。診断を受けていないのに金額が決まっているなら、その金額の根拠を聞いてください。戸建て全体をやり直す場合の費用の見方は、戸建てのフルリフォームの記事にまとめています。

編集部の整理では、見積を比べるときは、複数の業者に同じ診断の結果を見せて、補強の方法の違いを聞くのが確かです。金額の違いが、補強の範囲の違いなのか、補助の対象になる行の違いなのかが、分けて見えます。
補助金を使わない・急がないほうがいい場合
耐震の補助は、使えば必ず得になるわけではありません。条件に合わせるために、かえって損をすることもあります。
補助の制度には、受付の期間、業者の条件、着工前の申請があります。これらに合わせるために工事の時期を待ったり、選べる業者が狭まったりします。待つ間に家の状態が悪くなる、条件を満たす業者が少なくて見積を比べられない、といったことが、補助の額より大きな負担になるなら、補助を使わない判断のほうが手元に残ります。
- 床下や壁の中が傷んでいて、受付を待つ間に傷みが進む:腐朽や蟻害が進んでいる家は、受付を待つより先に直すほうがよいことがあります
- 対象の業者が少なく、相見積が取れない:条件を満たす業者が1社しか見つからない場合は、その1社の見積だけで決めず、条件を外れた業者の見積と並べて、補助の額の差を比べます
- 補助の対象にするために工事を足す:要綱の水準に届かせるために、予定していなかった工事を加えると、補助の額以上に工事費が増えることがあります
- 申請を待つと、ほかの工事の期限に間に合わない:国の省エネ補助の期限が迫るときは、どちらを優先するかを比べます
反対に、急がなくてよい場合もあります。受付に期間のある制度で、いまの受付が終わっていれば、次の受付を待つ判断になります。この場合は、診断だけ先に受けておくと、次の受付のときにすぐ動けます。診断が補助の対象かは、窓口で聞いてください。
たとえば、条件を満たす業者が1社しかなく、その見積が高いと感じる場合は、補助の額を引いたあとの金額と、補助を使わずに別の業者に頼んだときの金額を、並べて比べてください。補助を引いても高いなら、使わないほうが安く済みます。
使うか使わないかは、補助の額と、補助のために増える費用、待つ期間、狭まる選択肢を並べて決めます。変わるのは、家の傷み具合、条件を満たす業者の数、受付の時期の3つです。迷ったら、診断の結果と見積と要綱を並べて家族と相談し、窓口に受付の見通しを聞いたうえで決めてください。
よくある質問
耐震工事に、国の補助金はありますか?
国は、市区町村の耐震の補助を交付金で支えています。ただし、国が持ち主に直接出す補助ではなく、市区町村の制度を通じた間接補助です。受け取るには、住んでいる市区町村に制度があり、要綱の条件を満たす必要があります。
耐震診断だけでも補助は出ますか?
市区町村の制度によります。国の支援メニューには、診断、補強設計、改修が別々に分かれているため、診断だけを補助の対象にする市区町村もありえます。窓口で、診断が補助の対象か、診断をする人に決まりがあるかを聞いてください。
昭和56年6月以降に建てた家は対象になりませんか?
要綱で決まりますが、基本の線は昭和56年5月31日以前の家です。それより新しい家は、要綱の日付の線から外れる可能性があるため、窓口で確かめてください。減税も、同じ日付以前に建築された家が要件です。
すでに契約して着工した工事は、あとから申請できますか?
要綱の申請の時期で決まります。着工前の申請が前提の制度では、着工したあとの工事は対象にならない可能性があります。契約の日と着工の日を手元に置いて、窓口に聞いてください。
耐震リフォームを窓や給湯器の国の補助金と一緒にできますか?
同じ時期に進める場合は、工事ごとに申請先を分けたうえで、併用できるかを事業ごとの資料と要綱で確かめます。先進的窓リノベの資料では、地方公共団体の補助制度は国費が充当されているものを除き併用可とされているため、耐震の市区町村の制度に国費が充当されているかを窓口で確かめてください。給湯器など、ほかの事業の併用の決まりは、この記事では確かめていません。耐震補強の工事そのものは、みらいエコ住宅の要件資料には出てきません。
補助金をもらうと、減税はなくなりますか?
なくなりません。耐震改修の減税の計算では、補助金の額を引いた費用を元にします。補助金をもらった分、控除の元になる金額は小さくなります。控除の額は国税庁のページで確かめ、申告は税務署か税理士に相談してください。
マンションや賃貸でも使えますか?
要綱の対象住宅で決まります。国のポスターは、欄によってマンションを含む場合と除く場合があり、市区町村の制度は戸建てのみとする場合があります。賃貸の場合は、持ち主が申請する制度か、入居者の申請を認めない制度かを窓口で確かめてください。
見積を見る前のおさらい
- 耐震補強の補助は、市区町村の事業。国は交付金で支える間接補助で、国に直接は申し込めない
- 額・率・限度額・対象の家・業者の条件・受付は、市区町村の要綱で決まる。この記事は額を書かない
- 基本の線は昭和56年5月31日以前の家。着工か建築かの書き方と、手元の書類の日付を窓口で確かめる
- 順番は、窓口に相談、診断、補強設計、補助の申請、改修、完了の報告。着工前の申請が前提の制度がある
- 見積では、補強の方法と評点(診断士の書類)、補助の対象の行を確かめる
- 確かめたみらいエコ住宅2026事業の要件資料に、耐震は出てこない。市区町村の制度に国費が充当されているかは窓口に聞く
- 減税は、補助金を引いた費用で計算する。控除の額は国税庁で確かめる
- 傷みが進む家や、条件を満たす業者が少ない場合は、補助を使わない・急がない判断もある
営業の「耐震なら補助金が出ます」は、要綱と診断の結果に照らすまでは仮の話です。市区町村の窓口に聞くことは、対象の家か、診断は補助の対象か、申請はいつか、対象の業者に決まりはあるか、国費は入っているか、の5つです。この5つを聞いたうえで、診断を受け、診断の結果を持って見積を取れば、補助金の欄がどこから来た数字かが見え、家族にも同じ紙で説明できます。まずは、家の建築年が分かる書類を探し、住所の市区町村の耐震の制度名を調べるところから始めてください。


