2026年11月3日時点の公表値です。申請額が予算に達した時点で受付は終了します。
- 外壁塗装って、足場を組んでから何をどんな順番でするの?
- 何日くらいかかる?雨が続いたらどうなる?
- 下塗り・中塗り・上塗りって、何が違うの?
- 3回塗りじゃないと手抜きなの?
- 手抜きって、具体的にどこでされるもの?
- 塗っている途中で、素人に手抜きが分かる方法はある?
- 見積の「外壁塗装一式」で大丈夫?
- 突然来た業者に「今なら足場代が浮く」と言われた。乗っていいの?
上記のような悩みに答えます。
外壁塗装は、足場を組んで洗って塗るだけの工事に見えて、実際には塗る前の下地づくりと、塗り重ねる間の待ち時間で仕上がりが決まる工事です。ところが検索すると、「下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本」「工期の目安は◯日」「手抜きの手口◯選」という一般論が並び、最後は「信頼できる業者を選びましょう」で終わります。工事が始まってから、施主が何を頼めば手抜きの有無を確かめられるのか、国の改修工事の仕様書がどんな確認方法を決めているのか、塗料メーカーが公表している塗料の量と乾燥時間からどこまで逆算できるのかは、ほとんど書かれていません。そこで、工程の順番・塗り回数の数え方・工期という基本を押さえたうえで、手抜きが出やすい場所と施主にできる4つの確かめ方、見積書の工程欄の読み方まで、国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書と、日本ペイント・アステックペイントの公式資料で確かめながら整理しました。
外壁塗装は、足場と養生、洗浄と下地調整、下塗り・中塗り・上塗り、点検と足場の解体の順に進み、日本ペイントとアステックペイントは、製品ごとに塗る量と、次の層を塗るまでに待つ時間の目安を公表しています。手抜きは目に見えにくい塗料の量・待ち時間・下地調整に出やすいので、中塗りと上塗りの色を変えてもらう、工程ごとの写真をもらう、使った缶の数を確かめる、足場を外す前に点検する、の4つを契約の前に約束してもらってください。塗装だけの工事は、みらいエコ住宅2026事業の補助対象工事の一覧に項目がありません。
外壁の断熱改修と窓の断熱を組んだ場合に国の事業でいくら戻るかは、補助金の計算ツールで確かめられます。

この記事の数字は2026年度の制度と、2026年10月時点で確認した資料のものです。
外壁塗装は8つの工程で進む

外壁塗装の工事は、家を見てもらう診断から引き渡しまで、大きく8つの工程に分かれます。塗料を塗る作業はそのうちの1つで、その前後にある準備と確認の工程が、仕上がりと持ちを左右します。
日本ペイントは、戸建ての塗り替え工事の流れを、診断・打ち合わせ、見積り、契約、足場設置・養生、水洗い・下地調整・下地補修、塗装、点検・足場解体、引き渡しの8工程として説明しています。診断では施工店が家の素材や劣化の状況を調べ、その結果と打ち合わせをもとに材料と工法を選ぶ、とされています。つまり、どの塗料をどう塗るかは、最初の診断で決まる流れです。
- 1診断と見積・契約外壁の素材と傷みを調べ、材料と工法を決める
- 2足場と養生足場を組み、窓や車、植木をシートで覆う
- 3洗浄と下地調整汚れや弱った塗膜を落とし、ひびや目地を直す
- 4下塗り・中塗り・上塗り乾くのを待ちながら層を重ねる
- 5点検・足場解体・引き渡し塗り残しを直してから足場を外す
それぞれの工程の役割を、施主の目線で並べると次のようになります。
| 工程 | 何をするか | 施主が見ておくこと |
|---|---|---|
| 診断・打ち合わせ | 外壁材と傷みの調査、材料と工法の選定 | 外壁材の種類と傷みの説明を、写真つきで受けたか |
| 見積り・契約 | 仕様と金額の提案、契約 | 工程ごとに品名と回数が書かれているか |
| 足場設置・養生 | 足場と飛散防止のシート、窓や車の養生 | 窓が開けられない日、洗濯物が干せない日 |
| 水洗い・下地調整・下地補修 | 汚れや藻の洗浄、ひびや目地の補修 | どの方法で洗い、どこを補修したか |
| 塗装 | 下塗り・中塗り・上塗りを塗り重ねる | 層ごとの色と、塗った日付 |
| 点検・足場解体・引き渡し | 塗装面の点検と手直し、足場の解体、清掃 | 足場を外す前に一緒に見て回れるか |
この表で大事なのは、施主が口を出せるのは工事が始まる前と、足場を外す前の2か所に集まっていることです。足場が立ってしまうと、2階の壁の様子は下からは見えにくくなります。逆に言えば、見積と契約の段階で「どの工程で何を見せてもらうか」を決めておけば、工事中に業者を疑いながら過ごす必要はなくなります。
たとえば、見積の打ち合わせで「途中の写真をもらえますか」と聞いて、すぐに「工程ごとに撮って渡します」と答える業者と、言葉を濁す業者では、工事中のやり取りのしやすさが大きく違います。工程の名前を知っておくことは、業者と同じ言葉で話すための準備です。
塗り回数は下塗りと上塗りで数える
「外壁塗装は3回塗り」は、下塗り材を塗ったあと仕上げの塗料を2回重ねる組み合わせを指すことがあります。日本ペイントのカタログの標準仕様もこの組み合わせです。ただしアステックペイントの仕様書では、下塗りは1〜2回で下地の吸い込みが著しい場合は再塗布、上塗りもウールローラー施工や下地の状態で回数が増えることがあるとされていて、回数の数字だけで良し悪しは決まりません。
下塗りは、外壁と仕上げの塗料をくっつけ、外壁が塗料を吸い込みすぎないようにする層です。下の2社の仕様は、下塗りのあとの仕上げ用の塗料を「上塗り2回」と書いています。見積の「中塗り」と「上塗り」にあたる2回が同じ品名になることがありますが、2社のこの仕様では「中塗り」の欄を立てていないので、これは編集部の読み方です。同じ品名でも、書き間違いとは限りません。
日本ペイントとアステックペイントは、サイディングの外壁を塗り替える場合の標準の仕様を、次のように公表しています。
日本ペイント「パーフェクトトップSi」カタログ(2026年4月現在・2026年10月19日に確認)の標準塗装仕様(塗り替え・窯業系サイディングボード、ALCパネル面)。下地調整→下塗り(パーフェクトサーフ)1回・使用量0.20〜0.40kg/m²/回→上塗り(パーフェクトトップSi)2回・使用量0.11〜0.17kg/m²/回。アステックペイント「塗装仕様書」Ver.23.2(2026年10月19日に確認)の窯業系サイディング(既存塗膜:一般塗料)の塗装仕様の1つ。下塗(エポパワーシーラー)1〜2回・0.13〜0.20kg/㎡、下地の吸い込みが著しい場合には再塗布→上塗(ビルドテックフッ素REVO)2回・0.25〜0.35kg/㎡。注意事項に「ウールローラー施工の場合、上塗の塗回数が増えることがあります」「上記塗布量及び塗回数は、下地の材質・状態等で増える場合があります」とある。
どちらも1社の1製品の仕様ですが、共通しているのは、回数より先に「どの下塗り材を、どれだけの量で」が決まっていることです。アステックペイントの仕様書は、下塗りは下地の状態で塗る量が異なり、つやが少し出るまで十分に塗るよう求めています。傷みが進んで塗料をよく吸う壁なら、下塗りを重ねることがあり、その場合の回数は3回より多くなります。
| 見積の書き方 | 読み方 | 確かめること |
|---|---|---|
| 下塗り・中塗り・上塗り | 下塗り材の上に仕上げ塗料を2回 | 下塗り材と仕上げ塗料の品名 |
| 下塗り1回・上塗り2回 | 上と同じ組み合わせ | 同上 |
| 3回塗り(品名なし) | どの塗料を何回かが分からない | 層ごとの品名を書き足してもらう |
| 下塗り2回・上塗り2回 | 吸い込みの多い下地への対応のことがある | なぜ下塗りを増やすのかの理由 |
たとえば、2社の見積を比べて、片方は「下塗り・中塗り・上塗り」、もう片方は「下塗り2回・上塗り2回」だったとします。後者は工程が多い分だけ高く見えますが、外壁の傷みを見て下塗りを増やしているなら、手厚い見積とも言えます。理由を聞いて「診断で吸い込みが多かったから」と写真つきで説明されれば筋が通りますし、説明できないなら、回数を増やす根拠を聞き直してください。
出典:日本ペイント「パーフェクトトップSi」/アステックペイント「塗装仕様書」
塗る前の洗浄と下地調整が土台
外壁塗装の仕上がりを支えるのは、塗料の種類だけでなく、塗る前の洗浄と下地調整です。国の改修仕様書もアステックペイントの仕様書も、劣化した塗膜や油分を除去し、下地を整えてから塗る手順を定めています。
国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書は、既存の仕上げの劣化部を取り除く方法として、サンダー工法、高圧水洗工法、塗膜はく離剤工法、水洗い工法を挙げ、どれを使うかを工事ごとに決めるとしています。塗り替えの下地調整では、劣化した部分は除去し、しっかり付いている塗膜(活膜)は残す、という考え方も示されています。日本ペイントのカタログも、下地調整として、活膜を残し劣化した塗膜は入念に除去し、ほこりや汚れを取り除いて清掃する、としています。
アステックペイントの仕様書は、塗る前の準備として次のような点を挙げています。
- 高圧洗浄などで、劣化してもろくなった塗膜、ゴミ、油分を落とす
- 大きなひび割れや欠け、浮き、反りなどを補修して平らにする
- カビや藻が生えていれば、取り除くなどの処理をする
- 下地はきれいで、十分に乾いた状態で塗る
- 劣化したシーリング材は撤去して、新しいシーリング材で打ち替える
この中で見積の金額に差が出やすいのは、ひびの補修と目地のシーリングです。国の仕様書は、シーリング面に塗装するときはシーリング材が硬化した後に行うとしていて、「外壁塗装とコーキングはどちらが先か」という疑問には、国の改修仕様書(公共建築の仕様)のとおりなら、シーリングが先です。目地を打ち替えるか、既存の上から足すかの判断と、見積のm数の読み方は、別の記事にまとめています。

外壁材によっては、下地調整の内容がさらに変わります。ALCパネルの外壁の下地調整とシーリングは、次の記事で整理しています。

たとえば、洗浄の行が「高圧洗浄一式」だけで、補修の行が無い見積は、ひびや欠けが無い家なら問題ありませんが、診断でひびを指摘されているのに補修の行が無いなら、どこで直すのかを聞く必要があります。診断で見つかった傷みと、見積の補修の行が対応しているかを、写真と見比べてください。
出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/アステックペイント「塗装仕様書」
塗り重ねは乾くのを待ってから
下塗り・中塗り・上塗りは、前の層が乾いてから次の層を塗るのが基本です。アステックペイントの仕様書は、下塗の塗布量や乾燥が不十分なまま上塗を施工すると、フクレ、ハガレ、シワ、チヂミ等の不具合が生じるとしています。
国の改修工事の仕様書は、塗装の各工程の間隔時間と最後の養生時間を、材料の種類や気象条件に応じて定めるとしています。間隔の長さは塗料ごとに違うので、日本ペイントやアステックペイントは、製品ごとに塗り重ねの間隔を公表しています。アステックペイントは、下塗りの量や乾燥が足りないまま上塗りをすると、フクレ、ハガレ、シワ、チヂミなどの不具合が出ると注意しています。
待つ時間は、気温で大きく変わります。日本ペイントは、自社の外壁用の上塗り塗料について、次のように示しています。
日本ペイント「パーフェクトトップSi」製品ページ(2026年10月19日に確認)。塗り重ね乾燥時間の目安=5〜10℃で8時間以上、23℃で3時間以上、30℃で2時間以上。乾燥時間は目安で、使用量、通風、湿度および素地の状態によって異なる。国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」7.1.6(1)。気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない(採暖、換気等を適切に行う場合を除く)。アステックペイント「塗装仕様書」も、5℃以下、湿度85%以上での施工は避けるとしている。
この目安から読み取れるのは、寒い時期ほど塗り重ねまでの待ち時間が長くなり、1日に重ねられる層が減りやすいということです。壁が結露しているときも、国の仕様書の考え方では塗装を行いません。
- 塗り重ねまでの待ち時間が短い
- 1日に中塗りと上塗りまで進むことがある
- 結露が出にくい
- 塗り重ねまでの待ち時間が長い
- 中塗りと上塗りが別の日になりやすい
- 朝の結露が乾くまで塗り始められない
たとえば、「1日で中塗りと上塗りを済ませた」と聞いて不安になったら、それだけで手抜きとは言えません。その日の気温と、使った塗料の塗り重ね乾燥時間を照らし合わせれば、間隔を守れていたかが分かります。工程写真に撮影時刻が残っていれば、中塗りと上塗りの間が何時間空いていたかも確かめられます。
出典:日本ペイント「パーフェクトトップSi」/国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」
工期の目安と延びる理由
外壁塗装の工期は、塗料メーカーと住宅設備メーカーが下のような目安を出していますが、天気と気温しだいで延びます。雨の日は塗れず、寒い日は塗り重ねの待ち時間が長くなるからです。
日本ペイント「戸建て塗り替えに関するFAQ」(2026年10月19日に確認)。工事期間は一般的な家で実動約10日〜2週間が目安。具体的な期間は、家の大きさや形、傷み具合、季節や天候などによって変わる。パナソニック「外装・屋根・エクステリアのリフォーム費用の相場・目安」(2026年10月19日に確認)。外壁塗装の工期の目安は約10〜14日。足場は仮設1日・解体1日。
日本ペイントは、雨の日は塗装できないため工事は行われず、悪天候が続くと工事期間が長引く、と説明しています。国の改修工事の仕様書も、外部の塗装は降雨のおそれがある場合や強風のときは原則として行わない、としています。雨や悪天候が続けば工期が延びます。気温が低いと塗り重ねの待ち時間も長くなります。
工事中の暮らしへの影響も、工期と一緒に確かめておきたいところです。日本ペイントは、外壁や屋根の塗装なら在宅の必要はない一方で、窓やドアが開け閉めできない、洗濯物が干せない、といった場面がある、としています。
- 窓が開けられない日(養生で窓がふさがる日)
- 洗濯物を外に干せない期間
- 車を動かす必要がある日
- 電動工具の音が出る日(近所への案内の有無)
- 雨で延びたときの連絡の方法
たとえば、共働きで日中は家にいない家庭なら、窓を開けられる日が週末に当たるかどうかで、室内の換気の計画が変わります。工程表をもらい、どの日に何をする予定かと、雨で延びたら後ろにずれるのかを聞いておくと、生活の段取りが立てやすくなります。工程表が出せないと言われたら、少なくとも足場を組む日、洗浄の日、塗装の始まる日の3つは聞いておいてください。
出典:日本ペイント「戸建て塗り替えに関するFAQ」/パナソニック「外装・屋根・エクステリアのリフォーム費用の相場・目安」
手抜きは量と間隔と下地に出る
外壁塗装の仕上がりを左右するのに、完成した見た目では分かりにくい場所が3つあります(編集部の整理で、手抜きの件数や場所別の統計は確かめられていません)。塗料の量、塗り重ねの間隔、そして塗る前の下地調整で、どれも塗り終わってしまうと上の層に隠れます。
1つ目は塗料の量です。国の改修工事の仕様書は、塗る量を「薄める前の塗料の標準量」で決めていて、塗料メーカーも1回あたりに塗る量をkg/m²で示しています。アステックペイントは、材料を薄め過ぎると、下が透ける、たれる、色が分かれるなどの仕上がり不良の原因になると注意しています。決められた量より少なく、あるいは薄めすぎて塗れば、見た目は塗れていても、塗膜は薄くなります。
2つ目は塗り重ねの間隔です。前の層が乾く前に次を塗れば工程は早く終わりますが、前の節で見たとおり、ふくれやはがれの原因になります。3つ目は下地調整で、洗浄が不十分だったり、劣化した目地をそのままにしたりすれば、新しい塗膜の下に弱い所が残ります。
| 手抜きが出やすい所 | メーカー・仕様書の説明 | 確かめる手がかり |
|---|---|---|
| 塗料の量・薄め方 | 透け、たれ、色別れなどの仕上がり不良 | 使った缶の数、層ごとの色 |
| 塗り重ねの間隔 | フクレ、ハガレ、シワ、チヂミ | 工程写真の日時、その日の気温 |
| 下塗りの量 | 上塗りの不具合 | 下塗りの品名と、つやの出方 |
| 洗浄・劣化部の除去 | 仕様書は、劣化した塗膜や油分を除去し、下地を清浄で乾いた状態にしてから塗るよう求めている | 洗浄後の写真 |
| 劣化した目地 | アステックペイントの仕様書は、劣化したシーリング材は撤去して打ち替えるとし、目地に塗装した塗膜は動きに追従できずひび割れることがあるとしている | 打ち替えの前後の写真 |
缶の数は、施主が数えられる数少ない物差しです。日本ペイントは、パーフェクトトップSiの製品ページで、1缶でどれくらいの面積を1回塗れるかを公表しています。
日本ペイント「パーフェクトトップSi」製品ページ(2026年10月19日に確認)。1缶(15kg)当たりの塗り面積は88〜136m²/回(目安。施工方法、施工条件等により増減)。国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」7.1.7(ア)。錆止め塗料塗りの品質確認は、工事現場塗装の場合は使用量から単位面積当たりの塗付け量を推定する。
見積の塗装面積を、使う塗料の「1缶当たりの塗り面積」で割り、塗る回数を掛ければ、必要な缶の数のおおよその見当がつきます。国の仕様書も、現場で塗る錆止め塗料については、使った量から塗った量を推定するとしています。缶の数が見当より大幅に少なければ、薄めすぎや塗り残しを疑う理由になりますし、見当どおりなら安心材料になります。
ただし、1缶当たりの塗り面積は目安で、施工方法や条件で増減するとされています。アステックペイントも、エアレス(吹付け)で塗る場合は塗料のロスが大きいとしています。缶の数だけで手抜きと決めつけず、ずれが大きいときに理由を聞く、という使い方が現実的です。
出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/アステックペイント「塗装仕様書」/日本ペイント「パーフェクトトップSi」
施主が確かめられる4つの方法
手抜きを心配して毎日足場を見張る必要はありません。契約の前に、確かめ方を4つ約束してもらえば、塗り終わったあとでも工程どおりだったかが分かります。
1つ目は、中塗りと上塗りの色を変えてもらうことです。国土交通省の改修工事の仕様書は、中塗りと上塗りの各層の色を変えることなどで、中塗りと上塗りが全面に均一に塗られていることを確認する、と定めています。中塗りを仕上げと少し違う色にしておけば、上塗りの塗り残しが一目で分かり、上塗りを省くこともできなくなります。色を変えられない塗料もあるので、できるかどうかを見積の段階で聞いてください。
2つ目は、工程ごとの写真です。洗浄の前後、補修した箇所、下塗り・中塗り・上塗りのそれぞれを、同じ場所で撮ってもらいます。撮影日時が残る形でもらえば、塗り重ねの間隔も分かります。
3つ目は、使った塗料の缶です。使い終わった缶を並べた写真をもらえば、前の節の見当と照らし合わせられます。国の仕様書が、見本の塗り板を「所要量又は塗厚が工程ごとに確認できるもの」としているのも、量を確かめられる形で残す考え方です。
4つ目は、足場を外す前の点検です。日本ペイントは、塗り忘れや色むらに工事後に気づくトラブルの対策として、足場が解体される前に気になる部分を伝えて補修してもらうことを挙げています。
- 1中塗りと上塗りの色を変える上塗りの塗り残しが見て分かる
- 2工程ごとの写真洗浄・補修・各層を同じ場所で撮る
- 3使った缶の写真塗装面積からの見当と比べる
- 4足場を外す前の点検塗り残しや色むらをその場で直す
この4つに追加の費用がかかるかは業者によって違うので、見積の段階で聞いてください。たとえば、見積の打ち合わせで「中塗りの色を変えて、工程ごとに写真をください」と頼んだとき、手間を理由に断る業者より、「うちは毎回そうしています」と答える業者のほうが、工事中のやり取りも安心して任せられます。約束した内容は、口頭ではなく見積書か契約書の備考に書いてもらってください。
出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/日本ペイント「戸建て塗り替えで発生するトラブルの原因と対策」
見積書の工程欄を読む

外壁塗装の見積は、総額より先に、工程ごとに品名と回数と面積が書かれているかで読みます。工程欄がそろっていれば、手抜きの確かめ方も、2社の比べ方も、その見積の上で決められるからです。
塗料メーカーが公表している単価も、工程の数と条件つきで出されています。日本ペイントは、自社の上塗り塗料の材工価格(材料と施工の代金)を次のように示しています。
日本ペイント「パーフェクトトップSi」製品ページ(2026年10月19日に確認)。材工価格=既存の模様を活かす塗り替え・窯業系サイディングボード等 4,350円/㎡(3工程・下塗りがパーフェクトサーフの場合)、既存の模様を活かす塗り替え・コンクリート・モルタル等 4,240円/㎡(3工程・下塗りがパーフェクトフィラーの場合)。材工価格は原則として300㎡以上を基準とする。税込・税抜の記載はなく、足場や洗浄の費用を含むかの記載もない。パナソニック「外装・屋根・エクステリアのリフォーム費用の相場・目安」(2026年10月19日に確認)。外壁塗装 約60万〜180万円、足場仮設・解体 約25万〜40万円(合計)。リフォーム事例の費用を集計した参考情報で、税込・税抜の記載、調査の時期・件数・面積の記載はない。
日本ペイントの単価は、下塗りを含む3工程で、一定以上の面積を基準にした値です。見積の塗装面積がその基準に満たないときは前提から外れ、税込・税抜の記載も、足場や洗浄が含まれるかの記載もないので、この単価に面積を掛けた額が見積の総額になるわけではありません。パナソニックの目安は、外壁塗装とは別に足場仮設・解体の行を立てていて、足場が見積の独立した項目になることが分かります。外壁塗装の幅に足場が含まれるかは書かれていません。「この総額は妥当か」「高すぎないか」という疑問は、総額だけでは答えが出ず、次の行がそろってはじめて比べられます。
- 塗装面積:何m²で計算しているか(2社でそろっているか)
- 足場と養生:足場の面積、飛散防止のシート、屋根の工事と共用か
- 洗浄:高圧洗浄などの方法
- 下地補修:ひびや欠けの補修、目地のシーリング(打ち替えか、m数)
- 下塗り:品名と回数
- 中塗り・上塗り:品名と回数(同じ塗料か)
- 付帯部:雨どい・破風・軒天など、外壁以外に塗る所
- 確かめ方:中塗りの色、工程写真、缶の写真、足場解体前の点検
「外壁塗装一式」の1行しかない見積は、この8つのどれが入っているかが分かりません。日本ペイントは、工事が始まってから最初の見積に無かった費用が追加されるトラブルの対策として、希望する工事内容が見積書に全て書かれているかを契約前に確かめ、追加工事の費用負担を契約書に書いておくことを挙げています。一式の見積をもらったら、8つの行に分けて書き直してもらうのが先です。
足場は、屋根の工事と同じ時期にすれば1回で済みます。屋根の見積の読み方は別の記事で、見積の頼み方と相見積の条件のそろえ方は、見積の取り方の記事で整理しています。


※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
付き合いのある塗装店が、8つの行を品名と回数まで書いた見積を出してくれているなら、その1通で工程の確かめ方まで決められます。ただ、手元の見積が1通だけだと、その工程の組み方と金額がうちの外壁として普通なのかを比べる物差しがありません。外壁・屋根の塗装業者をまとめて紹介してもらえる無料のサービスなら、同じ塗装面積と工程の条件で並べて比べられるので、申し込む前に外壁材の種類と、中塗りの色や工程写真を頼みたいことをメモにしておいてください。
手抜きを疑ったとき・急かされたとき
工事中や工事のあとで手抜きを疑ったら、まず事実をそろえてから施工店に聞き、話し合いで解けなければ第三者の相談窓口を使います。契約の前に急かされている段階なら、その場で決めないことが何よりの対策です。
疑いが出たときは、感情的に問いただす前に、写真と書類をそろえます。
- 契約書と見積書(工程・品名・回数が書かれた部分)
- 工程写真と、使った缶の写真
- 気になる箇所の写真(日付がわかる形で)
- 工事中のやり取りの記録(いつ、誰に、何を言われたか)
そのうえで、見積書に書かれた工程と、写真で確かめられる工程を1つずつ照らし合わせて、どこが合わないのかを具体的に施工店に聞きます。足場がまだ立っているなら、その場で手直しを頼めます。室内に雨漏りが出ている場合の修理の頼み方は、別の記事にまとめています。

話し合いで解決しないときは、相談先があります。国民生活センターは、リフォーム工事のトラブルや工事費用などの相談先として、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」を案内しています。契約や勧誘の問題なら、消費者ホットラインで最寄りの消費生活センターにつながります。
もう1つ気をつけたいのが、突然の訪問から始まる契約です。国民生活センターは、屋根工事の点検商法のトラブルが増えているとして注意を呼びかけていて、その相談事例には、屋根や外壁、床下などの修繕を次々と勧誘されて契約した例も挙がっています。突然訪問してきた業者に安易に点検させない、すぐに契約せず十分に検討する、という助言のほか、クーリング・オフなどができる場合もある、としています。日本ペイントも、自社や自社と思わせる名前をかたって塗り替え工事を勧誘する業者があるとして注意を呼びかけています。
たとえば、「近所で足場を組んでいるので、今なら安くできる」と言われても、外壁の傷みが本当に急ぐ状態かどうかは、別の業者の診断と見積で確かめられます。急ぐ理由が外壁の状態なのか、業者の都合なのかを、診断の写真と説明で見分けてください。
出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」/日本ペイント「当社の名をかたる住宅塗り替え業者の勧誘にご注意ください」
補助金を使わない・急がないほうがいい場合
先に、外壁塗装と国の補助の関係を確かめておきます。みらいエコ住宅2026事業の要件書にある補助対象工事の一覧(a〜i)には、外壁の塗装という項目がなく、塗り替えだけの工事は補助対象工事として示されていません。外壁で国の補助が関係するのは外壁の断熱改修をする場合で、その場合も、平成28年以前に新築された住宅であること、1つの居室で、窓などの開口部の断熱改修を中心に、決められた組み合わせで行う要件化工事(性能区分や新築時期によって躯体の断熱改修が要るかどうかが変わる)を実施すること、申請する補助額の合計が5万円以上になることの3つが前提です。平成29年以降に新築された住宅は、次世代省エネ基準を満たさないことが証明できる場合に限って、平成4年から平成28年に新築された住宅として扱われます。申請は施主ではなく、工事を請け負う住宅事業者が行います。組み合わせと上限は、外壁塗装の助成の記事で整理しています。

塗装そのものへの助成は市区町村の制度しだいで、住所から制度を探す手順は次の記事にまとめています。

そのうえで、次のような場合は、補助金を使わない、あるいは契約を急がない判断も選択肢です。
- 助成の受付に合わせるために、梅雨や真冬など塗装に向かない時期へ工事を寄せようとしている場合
- 助成の対象にするためだけに、工程や塗料を変えようとしている場合
- 「国の補助が出る」と言われたのに、見積に断熱改修の行が無い場合
- 突然訪問してきた業者に、今月中の契約を急かされている場合
- 工程ごとの品名と回数が書かれた見積が、まだ1通もそろっていない場合
1つ目と2つ目は、工事の質と助成の額のどちらを取るかの問題です。雨と寒さで塗り重ねの間隔が守りにくい時期に工事を寄せれば、助成で戻る額より、仕上がりの不安のほうが大きくなりかねません。助成の受付時期は要綱か担当課で、その時期の工事で工程どおりに進められるかは業者に確かめてください。
3つ目は、見積の行で判定できます。国の事業は交付申請の受付が予算の上限に達するまで(遅くとも2026年12月31日まで)で、国の補助を組む計画なら、予算の状況はページ上部の帯で確かめ、補助が受けられなかったときにも納得できる金額かを、補助なしの総額で一度確かめておくと安心です。
4つ目と5つ目は、急がない判断です。訪問してきた業者の診断だけで決めず、別の業者にも外壁の傷みを写真つきで診断してもらえば、本当に急ぐ状態かを比べられます。そのうえで、工程欄のそろった見積を2通並べてから決めるほうが、比べる材料がそろいます。
よくある質問
3回塗りでなければ手抜きですか?
回数の数字だけでは決まりません。アステックペイントの仕様書では、下塗りの回数は下地の状態で変わり、上塗りの回数も道具や下地で増えることがあります。見積に下塗り材と仕上げ塗料の品名と回数が書かれていて、その塗料メーカーの仕様どおりかを確かめるのが確実です。
1日で中塗りと上塗りを済ませるのは手抜きですか?
それだけでは言えません。塗料ごとに塗り重ねまでの待ち時間が決まっていて、暖かい日は短く、寒い日は長くなります。工程写真の時刻と、その日の気温、使った塗料の塗り重ね乾燥時間を照らし合わせれば、間隔を守れていたかが分かります。
工程表をもらえないのは普通ですか?
工程表の形式は業者によって違いますが、足場を組む日、洗浄の日、塗装が始まる日くらいは、生活の段取りのためにも聞いておくべきです。雨で延びたら後ろにずれるのか、窓を開けられない日はいつかも、あわせて確かめてください。
外壁塗装とコーキングはどちらが先ですか?
国の改修工事の仕様書(公共建築の仕様)は、シーリング面に塗装するときはシーリング材が硬化してから塗るとしています。アステックペイントの仕様書は、塗装するシーリング材にノンブリードタイプのポリウレタン系か変成シリコーン系を推奨しているので、見積で材料の種類も確かめてください。
工事中は家にいないといけませんか?
日本ペイントは、外壁や屋根の塗装なら在宅の必要はないとしています。ただし、窓やドアを開け閉めできない日や洗濯物を干せない期間があるので、戸締まりと、換気ができる日を事前に確かめてください。
手抜きを疑ったら、どこに相談すればいいですか?
まず見積書・契約書と工程写真をそろえて、合わない所を施工店に具体的に聞いてください。話し合いで解決しなければ、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」や、消費者ホットラインから最寄りの消費生活センターに相談できます。
見積を見る前のおさらい
- 外壁塗装は、診断と見積・契約、足場と養生、洗浄と下地調整、下塗り・中塗り・上塗り、点検と足場解体、引き渡しの順に進む
- 塗り回数は、下塗り材と仕上げ塗料を何回ずつ塗るかで数える。下塗りは下地で、上塗りは道具や下地で回数が変わることがあり、数字だけで手抜きとは言えない
- 持ちを左右するのは、塗る前の洗浄と下地調整。目地のシーリングは塗装の前に直す
- 塗り重ねは前の層が乾いてから。寒い日ほど待ち時間が長く、雨や結露の日は塗れない
- 工期にはメーカーの目安があるが、天気と気温で延びる。窓や洗濯物の制約も工程表で確かめる
- 手抜きは、塗料の量、塗り重ねの間隔、下地調整という、塗り終わると見えない所に出やすい
- 中塗りと上塗りの色を変える、工程写真、缶の写真、足場を外す前の点検、の4つを契約前に約束してもらう
- 見積は塗装面積・足場・洗浄・下地補修・下塗り・中塗りと上塗り・付帯部・確かめ方の8行で読む。メーカーの材工単価は工程数と面積の条件つき
- 手抜きを疑ったら書類と写真をそろえて聞き、解けなければ住まいるダイヤルや消費生活センターへ。突然の訪問で急かされても、その場で決めない
- 塗装だけの工事は、みらいエコ住宅2026事業の補助対象工事の一覧に項目が無い。塗装への助成は市区町村の制度を要綱で確かめる
外壁塗装の工程を知る目的は、業者を疑うことではなく、業者と同じ言葉で約束を交わせるようになることです。見積の段階で、工程ごとの品名と回数を書いてもらい、中塗りの色と写真と缶の確かめ方を備考に入れてもらえば、工事中に足場を見上げて不安になる時間はぐっと減ります。その見積をもとに、家族にも「どの工程に、いくら払うのか」を説明できるようにしておいてください。

