2026年11月3日時点の公表値です。申請額が予算に達した時点で受付は終了します。
- うちの外壁はALCらしい。塗装しないとだめって本当?
- ALCの外壁は、何年くらい持つもの?
- チョーキングが出てきたけど、もう塗り替えの時期?
- ALCに合う塗料はどれ?サイディングと同じでいいの?
- 見積の「下地調整」「シーラー」の行は、削れないの?
- 目地のシーリングは打ち替え?増し打ち?
- ALC外壁の塗装の相場はいくら?見積の金額は妥当?
- 外壁の塗装に補助金は使える?
上記のような悩みに答えます。
ALC(軽量気泡コンクリート)の外壁は、鉄骨の住宅や木造住宅で使われるパネル状の外壁材で、塗装で守ることが前提になっている材料です。ところが検索すると、「ALCは水を吸うので塗装が大事」「◯年ごとに塗り替え」「1㎡あたり◯円」という答えが出どころなしで並び、自分の家のパネルにその話が当てはまるのか、見積のどの行がALCならではの工事なのかまでは分かりません。とくに、業界団体の技術資料が対象にしているパネルと、木造の戸建てで使われる薄いパネルが別物であることや、メーカー自身が塗り替えの年数と単価をどんな条件つきで出しているかは、ほとんど書かれていません。そこで、塗装が必要な理由・時期の見方・塗料の選び方という基本を押さえたうえで、下地調整とシーリングの見積の行、塗装の前に直す傷み、補助の扱いまで、ALC協会の資料、ALCパネルメーカーの公式回答、国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書で確かめながら整理しました。
ALCは水を吸いやすい材料なので、外壁は表面の塗膜と目地のシーリングで雨水を防いでいて、ALC協会も外壁には防水性のある仕上げが必要としています。塗り替えの時期は年数ではなく塗膜とシーリングの傷みで決め、見積では下地調整とシーリングの行を削らずに、材料と工事費と足場を分けて比べてください。塗装だけの工事はみらいエコ住宅2026事業の補助対象工事の一覧に項目が無く、外壁の助成は市区町村の制度しだいです。
窓や外壁の断熱と組んだ場合に国の事業でいくら戻るかは、補助金の計算ツールで確かめられます。

この記事の数字は2026年度の制度と、2026年10月時点で確認した資料のものです。
ALC外壁は塗膜で水を防いでいる

ALC外壁の塗装は、見た目を整えるためだけの工事ではありません。ALCパネルそのものは水を吸いやすく、表面の仕上げ(塗膜)が雨水を受け止める役目を持っているので、塗膜が傷むとパネルの耐久性に直接響きます。
ALCは、珪石・セメント・生石灰などを原料に、高温高圧の蒸気で養生して作る軽量気泡コンクリートです。ALC協会の説明では、内部に無数の細かい気泡があるので軽くて断熱性がある一方、表面強度が小さい・欠けやすい・吸水性が大きいといった、配慮が必要な性質もあわせ持っています。ALC協会の技術資料「ALCパネルの仕上げおよび防水」は、ALCパネルは吸水しやすい材料なので、耐久性を保つために外壁面には防水性のある仕上げが必要、とはっきり書いています。
同じ資料は、仕上げ材の防水性能が落ちるとパネルの中に雨水が入り、パネルの耐久性に弊害をもたらすことがある、とも説明しています。ALC協会のよくある質問でも、仕上げ材や目地のシーリング材の防水性能が低下すると漏水などの不具合が起きることがあるので、外装のメンテナンスは劣化や傷み具合に応じて定期的に行う必要がある、とされています。つまりALC外壁では、塗膜と目地のシーリングの2つが防水の役目を分け合っています。
| 部分 | 役目 | 傷んだときに起こりうること(協会・メーカーの説明) |
|---|---|---|
| 表面の塗膜(仕上塗材) | パネルに雨水を吸わせない | パネル内に雨水が入り、パネルの耐久性に弊害 |
| 目地のシーリング | パネルとパネルのすき間を止める | 漏水などの不具合 |
| パネル本体 | 壁としての強さ・断熱・防火 | 欠け・割れは補修や張り替えが必要になる |
ALC外壁がどれくらい持つかは、パネルそのものの年数より、塗膜とシーリングを手入れし続けられるかで決まります。ALC協会とメーカーは年数を次のような条件つきで示しています。
ALC協会「よくあるご質問」A2-2(2026年10月18日に確認)。ALCパネルの耐用年数は、使用条件や仕上げ材(吹付、シーリング)のグレード、適切なメンテナンスの有無により異なる。適切な使用条件のもとに定期的なメンテナンスを施した場合は、50年を超える長期使用も可能。旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」(2026年10月18日に確認)。ヘーベルパワーボード(木造建築物用の37mm厚の外壁用ALCパネル)の基材自体の耐久年数は約60年。ただし防水塗装が必要な材料なので、塗装材の耐久年数に応じたメンテナンスが必要。
出典:ALC協会「よくあるご質問」/ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版/旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」
うちの外壁がALCかを書類で確かめる
塗装の話を始める前に、自分の家の外壁が本当にALCか、どのメーカーのどの種類のパネルかを、新築時の書類で確かめておくと、あとの判断がぶれません。ALCには厚いパネルと薄いパネルがあり、参照すべき資料が変わるからです。
ALC協会によると、国内のALCパネルメーカーは、旭化成建材(ヘーベル)、クリオン(クリオン)、ケイミューシポレックス(シポレックス)です。パネルは日本産業規格で厚形と薄形に分かれ、厚形は主に鉄骨造の建物の外壁や屋根、床に、薄形は鉄骨造や木造の外壁などに使われています。木造住宅の外壁用には、旭化成建材の「ヘーベルパワーボード」のような薄形のパネルがあります。
ALC協会「ALCパネル」基礎知識(2026年10月18日に確認)。JIS A 5416が定めるALCパネルは、厚さ75mm以上200mm以下の厚形パネルと、厚さ35mm以上75mm未満の薄形パネルに分かれる。ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版の適用範囲は、ALC厚形パネル(75㎜以上)。旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」。ヘーベルパワーボードは木造建築物用に開発された37mm厚の外壁用パネル。
ここで大事なのは、ALC協会の「仕上げおよび防水」の冊子が厚形パネルを対象にしていることです。鉄骨の住宅で厚形パネルが使われているなら協会の資料がそのまま参考になりますが、木造住宅で薄形パネルが使われているなら、そのパネルを作ったメーカーの資料(塗り替えの仕様やシーリング材の指定)を優先して確かめることになります。この記事でも、協会の資料とメーカーの資料を分けて書いています。
確かめる書類は、次のようなものです。
- 新築時の仕様書・仕上表(外壁の欄に「ALC」「軽量気泡コンクリート」や製品名がある)
- 確認申請の図書(外壁の構造や防火の仕様の欄)
- ハウスメーカーの保証書や点検記録(外壁の仕様と、過去の塗り替えの記録)
- 過去に塗り替えたときの見積書や完了報告(使った塗料とシーリング材の品名)
たとえば、鉄骨のハウスメーカーで建てた家なら、外壁の仕様も点検の記録も建てた会社が持っていることが多く、塗り替えの前にまず建てた会社に問い合わせれば、パネルの種類と、保証や点検の扱いがはっきりします。書類が見つからない中古住宅なら、見積を頼む業者に現地で外壁材を確かめてもらい、ALCかどうか、厚形か薄形かを見積書に書いてもらってください。
外壁材の種類が見積書に書かれていれば、その業者がALCとして工程を組んでいるかを、下地調整やシーリングの行で確かめられます。
出典:ALC協会「よくあるご質問」/ALC協会「ALCパネル」基礎知識/旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」
塗り替えの時期は塗膜の傷みで決める
ALC外壁の塗り替えの時期は、「新築から何年」より、塗膜とシーリングの傷み方で決めるのが確かです。ALC協会も、外装のメンテナンスは劣化や傷み具合に応じて定期的に、としていて、一律の年数では示していません。
年数で決めにくいのは、塗り替えの時期が「どの塗料で塗ってあるか」に左右されるからです。旭化成建材は、自社のヘーベルパワーボードについて、再塗装の時期は表面の塗装材の耐久年数に依存すると答えています。そのうえで、一般的な塗料の場合の目安を、次のように示しています。
旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」(2026年10月18日に確認)。再塗装の時期は表面塗装材の耐久年数に依存する。一般的な塗料(アクリル系・ウレタン系)だと、塗り替え時期は新築後(または前回の塗り替え後)7〜10年程度と思われる。
この目安は、1社の自社製品について、塗料の種類を限ったうえでの話です。同じ旭化成建材でも、純正塗料を使えばメンテナンスの周期を長くできる、としているので、前回どの塗料で塗ったかが分からないと、年数から時期は決められません。
そこで見るのが、塗膜の傷みです。旭化成建材は、外壁面に著しい汚れやチョーキング(塗膜の表面が劣化し、手でこすると粉が付く状態)が出始めたら要注意、塗膜の浮き・はがれ・ひび割れが出始めたら、できるだけ早めの塗り替えを勧めています。シーリングについても、打ち替えの時期は一般的に痩せや亀裂・剥離から判断される、としています。
| 見えるもの | 何が起きているか | 急ぎ方の目安(メーカーの説明から) |
|---|---|---|
| 手に白い粉が付く(チョーキング) | 塗膜の表面の劣化 | 要注意。塗り替えの計画を立て始める |
| 塗膜の浮き・はがれ | 塗膜が防水の膜として切れている | できるだけ早めに塗り替え |
| 塗膜のひび割れ | 水の入り口ができている | できるだけ早めに塗り替え |
| シーリングの痩せ・亀裂・剥離 | 目地の止水が弱っている | 打ち替え等の検討 |
たとえば、南面だけ手に粉が付き、北面はまだきれいという家なら、急いで全面を塗る理由は小さく、傷んだ面の様子を写真で残しながら、塗り替えの計画と見積を落ち着いて進められます。一方、塗膜がはがれてパネルの素地が見えている部分があるなら、その部分は雨のたびに水を吸うので、時期を先送りしないほうが安全です。
出典:旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」/旭化成建材「純正シーリング材」/ALC協会「よくあるご質問」
ALCの塗装は下地調整で差がつく
ALC外壁の塗装の見積で、いちばん削ってはいけないのが下地調整の行です。ALCは表面に細かい穴が多く水を吸いやすいので、塗料を塗る前の下地づくりを省くと、塗膜が防水の膜としてつながらず、パネルそのものの耐久性を下げるおそれがあるからです。
ALC協会の「仕上げおよび防水」は、仕上塗材で仕上げる場合には下地調整が必要としたうえで、ALCパネルは多孔質で吸水性が大きいため、下地調整塗材が省略されたり塗布が不十分で塗膜の連続性が確保されなかったりすると、ALCパネル自体の耐久性が低下するおそれがある、と注意しています。あわせて、下地が見えるような薄吹きは避けること、目地の面取り部や意匠パネルの溝の部分は塗厚が確保しにくいので注意すること、下地が乾燥していること、を挙げています。
塗り替えの手順は、国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書が、既存の仕上塗材を改修する場合として細かく決めています。公共建築の仕様なので住宅の決まりではありませんが、見積の行がそろっているかを確かめる物差しになります。
| 工程 | 仕様書・協会の資料にあること | 見積で見る行 |
|---|---|---|
| 既存塗膜の劣化部の除去 | サンダー工法・高圧水洗工法・塗膜はく離剤工法・水洗い工法から選ぶ | 「高圧洗浄」「ケレン」など、どの方法か |
| ALC面の欠け・穴の補修 | ALCパネルの製造所が指定する補修モルタルで平滑にする | 「欠損補修」の行と、使う材料 |
| 下地調整 | 清掃のあと合成樹脂エマルションシーラーを塗り、下地調整塗材で平らにする | 「シーラー」「下地調整材」の品名 |
| 仕上げ | 薄吹きを避け、目地の面取り部の塗厚に注意 | 塗る回数と、塗料の品名 |
欠けの補修材が「ALCパネルの製造所が指定する」ものとされている点は、見積の品名で確かめておく価値があります。ALC協会も、モルタル塗りの仕上げについては、モルタルの強度がALCより大きく、ひび割れや剥離が生じやすいので避けるよう求めています。
- 1既存塗膜の調査チョーキングや浮き・はがれを確かめる
- 2洗浄と劣化部の除去洗浄やケレンで弱った塗膜を落とす
- 3欠け・穴の補修とシーリングパネル用の補修材で平らにし、目地を直す
- 4下地調整シーラーと下地調整材で吸い込みを止める
- 5下塗り・中塗り・上塗り薄吹きにせず、目地まわりの塗厚に注意
旭化成建材がヘーベルパワーボードの塗り替えの代表的な手順として示している流れも、調査・水洗い・シーリング工事・塗装の順です。
たとえば、2社の見積を比べて、片方には「シーラー」「下地調整材」の行があり、もう片方には「下塗り」の1行しかないとします。後者が下塗り材で下地調整を兼ねる仕様なのか、下地調整を省いているのかは、見積だけでは分かりません。使う下塗り材の品名を聞き、その塗料メーカーがALC下地にどの工程を指定しているかを確かめれば、違いの理由が見えてきます。
出典:ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版/国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/旭化成建材「施工済みのお客様へ」
塗料は防水性と弾性、地域で選ぶ
ALC外壁の塗料は、塗料のグレードの名前より先に、防水性と弾性があるか、パネルの湿気を逃がせるか、という性質で選びます。ALC協会は、仕上塗材は防水性・弾性が高いものを選ぶよう求めています。
ALC協会のよくある質問では、ALCパネル外壁に適した仕上塗材として、複層塗材E(アクリルタイル)を挙げています。クリオンも、自社の外壁パネルに適した仕上げ塗材として複層塗材Eを挙げ、ALCパネルは表面強度が低いため、塗膜の強度の出方がゆっくりしたこの塗材が適している、と説明しています。
ALC協会の「仕上げおよび防水」には、仕上げの種類ごとに、ALCの外壁に適しているか、注意して使うか、適用外かを示した表があります。
| 仕上げの種類 | ALC協会の表での扱い | 協会が挙げている注意 |
|---|---|---|
| 複層仕上塗材(吹付けタイル・アクリルタイルなど) | 適している | パネルの耐久性は仕上塗材の性能に左右される |
| 薄付けの仕上塗材(リシンなど) | 注意の上使用 | 防水性能を確保するための十分な下地処理 |
| 防水形の仕上塗材 | 注意の上使用 | 透湿性が比較的低いので下地の調整・乾燥に注意。寒冷地は吹付け時の水分管理が難しく、ふくれのおそれ |
| タイル張り | 注意の上使用 | 学会の工法指針に従う |
| モルタル塗り・石張り | 適用外 | ひび割れ・剥離が生じやすい、重量が大きい |
もう1つの軸が、湿気の逃げ道です。ALC協会は、ALCパネルには放湿性・通気性があるので、パネルの両面を密閉する仕上げは避けるよう求めています。寒い地域では、雨水や融雪水がパネルにしみ込んで凍ったり溶けたりをくり返すと凍害が起きることがあるので、外部の仕上げには壁の中の湿気を外へ出せる透湿性防水形塗材を、としています。クリオンも、寒冷地では外部の水分を入れないことと、通気性を確保できる仕上げを選び、パネルを十分乾燥させてから仕上げることを挙げています。
メーカー純正の塗料を選ぶか、塗装店が扱う塗料を選ぶかで迷う人も多いはずです。旭化成建材はヘーベルパワーボード用に塗り替え用の純正塗料を用意していますが、ALC協会の表から言えるのは「どの系統の塗材が適しているか」までで、特定の商品を選ぶべきだとは書かれていません。どちらを選ぶにしても、見積に塗料の品名と仕上げの種類(複層塗材Eなど)を書いてもらい、ALC下地に使える製品かをカタログで確かめるのが確実です。
出典:ALC協会「よくあるご質問」/ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版/クリオン「よくある質問」
目地のシーリングはALC用の条件で選ぶ
ALC外壁の目地のシーリングは、地震や温度でパネルが動くことを前提に、伸びやすい(硬くなりにくい)材料を、上から塗装するかどうかに合わせて選びます。外壁のコーキング一般の話(打ち替えと増し打ちの違い、見積の行の見方)は、別の記事にまとめています。

ALCならではの点は、目地の動きの大きさです。ALC協会によると、いまの外壁パネルの取付けは、縦壁ロッキング構法か横壁アンカー構法が標準で、これは地震で鉄骨の骨組みが変形してもパネルが追従する構法です。協会の「仕上げおよび防水」は、この2つの構法の目地を動く目地(ワーキングジョイント)としています。ただしこの資料は厚形パネルが対象で、木造住宅の薄形パネルにそのまま当てはめることはできません。そのうえで協会は、ALCパネルの目地には、よりグレードの高いポリウレタン系や変成シリコーン系のシーリング材が望ましく、目地の底にはボンドブレーカーやバックアップ材を入れて2面接着にするよう求めています。あわせて、モジュラスの低い(引っ張ったときの応力が小さい)タイプを使うよう求めています。
もう1つは、上から塗装するかどうかで材料が変わることです。
国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」表3.7.1(2026年10月18日に確認)。被着体がALCの組合せでは、仕上げあり(シーリング材の表面に仕上塗材・塗装等を行う場合)=PU-2(ポリウレタン系)、仕上げなし=MS-2(変成シリコーン系)。注2:被着体がALCパネルの場合に用いるシーリング材は、50%引張応力が0.2N/mm2以下の製品。ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版 表-3。シーリング材の表面に塗装を施す場合、PU-1・PU-2(ポリウレタン系)は適している、MS-1・MS-2(変成シリコーン系)とAC-1(アクリル系)は事前検討が必要。表面に塗装を施さない場合は耐久性区分9030(MS-1、MS-2)に限る。住宅瑕疵担保責任保険の加入条件は耐久性区分8020以上(木造を除く)で、7020のアクリル系は適合しない。シーリング材は50%引張応力0.3N/㎜2以下の低モジュラスのタイプ。ALC協会「よくあるご質問」A5-5。パネル間はポリウレタン系(JIS A 5758 耐久性区分8020)以上で、モジュラスの低いもの。
ALC協会の資料は、ALCのシーリング材は表面に仕上げ塗材を塗るのが一般的なので、仕上げ塗材を汚しにくいタイプを選ぶこと、硬い仕上げ塗材を塗ると塗膜が割れてはがれたり、割れた部分に動きが集中してシーリング材を傷めたりすることがある、とも注意しています。さらに、シーリング材の上にセメント系の硬い下地調整材を塗らないこと、種類の違うシーリング材を打ち継ぐのは本来望ましくないことも挙げています。国の改修の仕様書も、シーリングの上に仕上塗材を塗るときは、シーリング材が硬化してから、塗り重ねてよい組み合わせかを確かめるとしています。
既存のシーリングをどう直すかは、資料によって書き方が違います。旭化成建材は、塗り替えのタイミングで目地のシーリング材の劣化状況を確かめ、増し打ち(既設のシーリング材の上から打ち増す)か、打ち替え(既設を撤去して新たに打つ)かを検討する、と答えています。塗料メーカーのアステックペイントは、自社の塗装仕様書の注意事項で、既存のシーリング材に劣化やひび割れなどの損傷がある場合は必ず打ち替えるよう求めています。どちらの資料も、劣化の状態を見て決めるという点では同じです。
たとえば、見積に「目地 増し打ち」とあったら、既存のシーリング材の状態をどう判断したのか、新しく足す材料は何系か、上から塗る塗料と組み合わせてよい材料か、の3点を聞いてください。「目地 打ち替え」でも、材料が何系か、上から塗装するかが書かれていなければ、同じことを確かめます。
ALCの目地で見積に書いてほしいのは、工法(打ち替えか増し打ちか)と、材料の系統と品名、上から塗装するかどうか、の3つです。この3つがそろえば、協会や仕様書の表と自分で照らし合わせられます。
出典:ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版/国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」/アステックペイント「塗装仕様書」
見積は材工と足場を分けて読む

ALC外壁の塗装の費用が妥当かは、総額を比べる前に、塗料と施工の代金(材工)と、足場・洗浄の代金を分けて読むと判断できます。旭化成建材が自社パネルについて公表している単価も、足場や洗浄を含まない形で出されているからです。
ALC外壁に限った相場を出した公的な資料は見当たりませんでした。手がかりになるのは、ALCパネルメーカーの旭化成建材が自社パネルの塗り替えについて公表している材工の単価と、パナソニックが公表している外壁塗装全体の目安です。
旭化成建材「施工済みのお客様へ」(2026年10月18日に確認)。塗り替え用塗料「アスリート」の標準塗装材工価格(2025年1月現在・税抜)。指定取扱店がヘーベルパワーボードに施工する場合の標準的な価格で、既存塗膜の洗浄費用や足場費用は含まない。
| 仕様 | フラット・ライン系パネル | デザイン系パネル |
|---|---|---|
| ベーシック仕様 | 3,710円/m² | 3,580円/m² |
| プリティアン仕様 | 4,470円/m² | 4,380円/m² |
| 多彩調仕様(イベリアン) | 6,940円/m² | 6,810円/m² |
グランロック仕様は、フラット系4,280円/m²・ライン系4,430円/m²・デザイン系4,300円/m²(いずれも税抜。パールマイカの3色は割増)。
パナソニック「外装・屋根・エクステリアのリフォーム費用の相場・目安」(2026年10月18日に確認)。外壁塗装 約60万〜180万円・工期約10〜14日、足場仮設・解体 約25万〜40万円(合計)。リフォーム事例の費用を集計した参考情報で、税込・税抜の記載、調査の時期・件数・面積の記載はなく、ALC外壁に限った数字ではない。
旭化成建材の単価からは、同じパネルでも仕上げの仕様(模様や質感)で材工の単価が大きく変わり、洗浄と足場は別に見積られることが読み取れます。パナソニックの目安からは、足場が総額の中で小さくない割合を占めることが分かります。高いか安いかは、面積と仕様と、足場・洗浄を分けたうえでしか判断できません。
見積書で、ALCの塗装として確かめたい行は次のとおりです。
- 外壁材:ALCと書かれているか。厚形か薄形か、製品名が分かるか
- 塗装面積:何m²で計算しているか。2社でそろっているか
- 洗浄と劣化部の除去:高圧洗浄・ケレンなどの行と方法
- 下地調整:欠け・穴の補修材、シーラーと下地調整材の品名
- 塗装の仕様:下塗り・中塗り・上塗りの品名と回数、仕上げの種類
- シーリング:打ち替えか増し打ちか、材料の系統と品名、上から塗るか
- 足場:外壁だけか、屋根の工事と共用か
とくに4と6は、ALCで差が出やすい行です。総額が近い2社でも、片方は下地調整材の行があり、もう片方は無いなら、同じ工事とは言えません。逆に総額に差があっても、仕上げの仕様(単色か模様付きか)が違うだけなら、その差は工事の質ではなく仕上がりの選び方の差です。
足場は、屋根の工事と同じ時期にすれば1回で済みます。屋根も塗り替えを考えているなら、屋根の見積の読み方もあわせて確かめておくと、足場を共用する計画が立てやすくなります。

7つの行を見積ごとに「書いてある・書いていない」で印を付けると、比べる準備が整います。見積の頼み方と、相見積の条件のそろえ方は、別の記事で整理しています。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
建てた会社や付き合いのある塗装店がALCの下地調整とシーリングの行まで書いた見積を出してくれているなら、その1通を軸に確かめれば足ります。ただ、見積が1通だけだと、その中身と金額がALCの家として釣り合っているかを比べる相手がいません。外壁・屋根の塗装業者をまとめて紹介してもらえる無料のサービスなら、同じ面積と仕様を伝えて見積の行を並べて比べられるので、申し込む前に外壁材がALCであることと、ここまでの7つの行を伝えられるよう手元にそろえておいてください。
塗装の前に直す傷みもある
ALC外壁の傷みの中には、塗装では解決せず、塗る前に補修や張り替えが必要なものがあります。パネルの欠けや割れ、雨漏り、寒い地域の凍害がその代表で、これを残したまま上から塗ると、傷みを隠してしまうことになります。
ALCは表面強度が低く欠けやすい材料なので、物がぶつかった跡や、取付けの金物のまわりが欠けていることがあります。国の改修の仕様書は、ALCパネル下地の欠けや穴は、ALCパネルの製造所が指定する補修モルタルで平滑にしてから仕上げる、としています。旭化成建材は、ヘーベルパワーボードのひび割れについて、該当箇所の補修か、パネル1枚単位での張り替えが可能で、詳しくは元請や専門工事会社に相談するよう答えています。
- チョーキング・色あせ
- 塗膜の浮きやはがれ(パネルは無傷)
- 目地の上の塗膜だけの細いひび
- パネルの欠け・割れ
- 室内のしみ・雨漏り
- 凍害によるパネル表面の剥がれ
目地の上の塗膜だけが割れている場合について、旭化成建材は、構造躯体の動きや経年劣化が主な原因で、ひび割れが軽微ならすぐには雨水の浸入に至らないと判断される、そのうえで元請や専門業者に問い合わせて補修を検討するよう答えています。慌てて自分で埋めるより、写真を撮って相談するほうが確かです。
雨漏りがある場合は、塗装より先に原因を調べることになります。ALC協会は、隣の建物との間が狭い部分ではシーリングだけでは防水が十分に確保できないとしているほか、パネルと笠木やサッシ、水切り、設備の配管との取合い部は、パネル同士の目地とは動き方が違うので個別に材料を選ぶよう求めています。雨水の入り口が取合い部にあるなら、壁全体を塗っても止まらないことがあります。雨漏りの原因の調べ方は、別の記事にまとめています。

寒い地域では凍害にも注意が要ります。ALC協会は、吸水したパネルが凍結と融解をくり返すと凍害を受けることがあり、外部から水が入る凍害では外装材の剥離が典型的な現象だ、と説明しています。表面がはがれている部分は、塗る前にパネルの状態を確かめてもらってください。
日常の手入れで高圧洗浄機を使うときは、旭化成建材が次の注意を挙げています。
旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」(2026年10月18日に確認)。家庭用高圧洗浄機は、塗膜表面や目地のシーリングを傷付けないよう、壁面から30cm以上離し、水圧3MPaから洗浄を始め、剥離など問題がなければ5MPaに上げる。シーリング部は直接狙わない。シーリング部にひび割れ・剥離などが見られる場合は使用を控える。
出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」/旭化成建材「ヘーベルパワーボード よくあるご質問」/ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水」第9版
塗装だけでは国の補助の一覧に無い
ALC外壁を塗り替えるだけの工事は、みらいエコ住宅2026事業のリフォームの補助対象工事としては示されていません。要件書にある補助対象工事の一覧(a〜i)に、塗装の項目が無いからです。
住宅省エネ2026キャンペーンは、国土交通省のみらいエコ住宅2026事業などをまとめて運用するもので、新築とリフォームを対象にした4つの補助事業で家庭部門の省エネ化を促進するとされています。みらいエコ住宅2026事業の公式サイトは、リフォームの対象を「躯体(床・壁・天井)の断熱改修を含む、幅広いリフォーム工事」としています。要件書の補助対象工事の表には、開口部の断熱改修、外壁・屋根や天井・床の断熱改修、高効率給湯器などの設備、バリアフリー改修などが並んでいますが、外壁の塗装という項目はありません。
外壁で国の補助が関係してくるのは、塗装ではなく外壁の断熱改修をする場合です。その場合も、平成28年以前に新築された住宅であること、1つの居室で、窓などの開口部の断熱改修を中心に、決められた組み合わせで行う要件化工事(性能区分や新築時期によって躯体の断熱改修が要るかどうかが変わる)を実施すること、申請する補助額の合計が5万円以上になることの3つが前提です。平成29年以降に新築された住宅は、次世代省エネ基準を満たさないことが証明できる場合に限って、平成4年から平成28年に新築された住宅として扱われます。申請は施主ではなく、工事を請け負う住宅事業者が行います。
外壁の断熱改修と窓の断熱をどう組めば国の対象になるか、上限はいくらかは、外壁塗装の助成の記事で整理しています。

塗装そのものへの助成は、市区町村の制度しだいです。対象になる塗料の条件や、着工前の申請が要るかどうかは制度ごとに違い、このサイトでは自治体の名前や金額は挙げていません。住所から制度を探す手順と、要綱で確かめる項目は、次の記事にまとめています。

たとえば、塗装の見積に「補助金が使えます」と書かれていたら、国の事業か市区町村の制度か、どの行が対象かを聞いてください。国の事業だと言われたなら、断熱改修の行が見積に入っているかで話がかみ合っているかが分かります。
出典:みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」/住宅省エネ2026キャンペーン公式/みらいエコ住宅2026事業 公式サイト
補助金を使わない・急がないほうがいい場合
ALC外壁の塗装では、助成に合わせて時期や仕様を動かすことが、かえって防水の面で損になる場面があります。次のような場合は、補助金を使わない、あるいは契約を急がない判断も選択肢です。
- 塗膜がはがれて素地が見えているのに、市区町村の助成の受付を待って工事を先延ばしにする場合
- 助成の対象にするためだけに、ALCに合うかを確かめないまま塗料の種類を変えようとしている場合
- 「国の補助が出る」と言われたのに、見積に断熱改修の行が無いまま契約を急かされている場合
- チョーキングが出始めた程度で、浮きもはがれもないのに、期限を理由に全面の塗り替えを急かされている場合
- ハウスメーカーの保証や点検の扱いを確かめないまま、別の業者と契約しようとしている場合
1つ目は、塗膜の状態と助成の受付時期の2つで答えが変わります。素地が見えている部分は雨のたびに水を吸うので、助成を待つ間に傷みが進むなら、助成より工事の時期を優先してください。塗膜の状態は業者に写真で示してもらえば分かり、受付時期は要綱か担当課で確かめられます。
2つ目と3つ目は、見積の行で判定できます。助成の対象になる仕様とならない仕様の2通りの見積を出してもらい、差額と戻る見込みの額を並べてみてください。国の事業は交付申請の受付が予算の上限に達するまで(遅くとも2026年12月31日まで)、工事の完了も遅くとも2026年12月31日までという期限があるので、国の補助を組む計画なら予算の状況はページ上部の帯で確かめ、補助が受けられなかったときにも納得できる金額かを、補助なしの総額で一度確かめておくと安心です。
4つ目と5つ目は、急がない判断です。チョーキングの段階なら、写真で記録を付けながら、建てた会社の点検の予定や、屋根の工事と足場を共用できる時期を確かめる時間があります。建てた会社の保証がある家では、別の業者に頼む前に保証書に書かれた条件を読み、外壁の工事を別の業者に頼んだときの扱いを問い合わせておくと安心です。
よくある質問
ALC外壁は何年くらい持ちますか?
ALC協会は、使用条件や仕上げ材とシーリング材のグレード、メンテナンスの有無で異なるとしたうえで、適切な条件で定期的にメンテナンスをすれば長期の使用も可能としています。塗り替えの時期は、塗膜のチョーキングや浮き・はがれ、シーリングの痩せや亀裂で判断してください。
ALC外壁の塗装の相場はいくらですか?
ALC外壁に限った相場を出した公的な資料は見当たりませんでした。旭化成建材は自社パネルの塗り替えについて、仕様ごとの材工の単価を、税抜で洗浄費用と足場費用を含まない形で公表しています。見積は、塗装面積・下地調整・塗装の仕様・シーリング・足場を分けて、同じ条件で複数の業者を比べるのが確かです。
ALC外壁を自分で塗ってもいいですか?
勧めません。旭化成建材は、再塗装や補修工事は住宅会社・工務店・専門工事会社に依頼するよう案内しています。ALCは下地調整を省くとパネルの耐久性が下がるおそれがあるとALC協会が注意しており、高い所の作業にもなります。施主は傷みの写真と記録を残すところまでにしてください。
ヘーベルハウスの家は、建てた会社に頼まないといけませんか?
建てた会社の保証や点検の制度がある場合は、その条件を先に確かめるのが安全です。保証書と点検記録を見て、塗装やシーリングを別の業者に頼んだときの扱いを問い合わせ、そのうえで建てた会社と塗装店の見積を同じ面積と仕様で並べてください。
雨漏りしています。外壁を塗れば止まりますか?
止まるとは限りません。ALC協会は、パネルとサッシや笠木、水切り、配管との取合い部は、パネル同士の目地とは動き方が違うとしており、雨水の入り口がそこにあると壁を塗っても止まらないことがあります。塗装の前に、雨水がどこから入っているかを調べてもらってください。
寒い地域では、塗料の選び方は変わりますか?
変わります。ALC協会は、寒冷地では吸水したパネルが凍結と融解をくり返すと凍害が起きることがあるとして、外部の仕上げには壁の中の湿気を外へ出せる透湿性防水形塗材を使うよう求めています。防水形の複層塗材は、寒冷地では吹付け時の水分管理が難しくふくれのおそれがあるので注意が必要とされています。
見積を見る前のおさらい
- ALCは水を吸いやすい材料で、外壁は表面の塗膜と目地のシーリングで雨水を防いでいる
- ALC協会の「仕上げおよび防水」は厚形パネルが対象。木造住宅の薄形パネルはメーカーの資料を見る
- 塗り替えの時期は年数より、チョーキング・浮き・はがれ・ひび割れと、シーリングの痩せ・亀裂・剥離で決める
- ALC協会の資料(厚形パネルが対象)は、ALCは多孔質なので下地調整を省くとパネル自体の耐久性が下がるおそれがある、としている。薄形パネルの家は、下地の工程をパネルと塗料のメーカーの資料で確かめ、見積の下地調整の行は理由を聞かずに削らない
- 塗料は防水性と弾性の高い仕上塗材を選び、両面を密閉しない。寒い地域は透湿性も見る。モルタル塗りと石張りは避ける
- 目地は動く前提で、モジュラスの低いポリウレタン系や変成シリコーン系を、上から塗るかどうかに合わせて選ぶ
- 見積は外壁材・面積・洗浄・下地調整・塗装の仕様・シーリング・足場の7行で比べる。旭化成建材が公表している自社パネルの単価は税抜で、洗浄と足場が別
- パネルの欠けや割れ、雨漏り、凍害は、塗る前に補修や原因の調査をする
- 塗装だけの工事はみらいエコ住宅2026事業の補助対象工事の一覧に項目が無い。塗装への助成は市区町村の制度を要綱で確かめる
ALC外壁の塗装で迷ったら、まず新築時の書類で外壁がどのメーカーのどのパネルかを確かめ、晴れた日に外壁を手でなでて、粉が付くか、はがれやひびがないか、目地にすき間がないかを写真に残してください。その2つを手元にそろえて見積を頼めば、下地調整やシーリングの行が自分の家に合っているかを、業者と同じ言葉で確かめられ、家族にも塗る理由と金額の中身を説明できるようになります。

