- 天井にしみが出てきた。雨漏り修理は、どこに頼めばいいの?
- 屋根屋さん、塗装屋さん、リフォーム会社。何屋さんに電話すればいい?
- 建ててからまだそれほどたっていないのに漏れた。建てた会社に言うべき?
- 前に直してもらった場所から、また漏れてきた
- 見積を取ったら、会社によって金額も工事の中身もまるで違う
- 「火災保険で無料で直せますよ」と業者が訪ねてきた。本当?
- 雨漏りの修理に、補助金や助成金は使える?
上記のような悩みに答えます。
雨漏り修理は、水が入ってくる場所を見つけて、そこを塞ぐ工事です。やっかいなのは、天井や壁のしみが出た場所と、水が入ってきた場所が同じとは限らないことで、原因を外したまま表面だけを直すと、また漏れます。検索で上位に並ぶのは雨漏りを直す会社の自社サイトが多く、どの会社も最後は「まずは当社の無料調査を」に着地するので、読む側が見積を比べる物差しは手元に残りません。そこで、最初の連絡先の決め方、原因の場所ごとの業者の違いを押さえたうえで、見積を「調査の中身」と「工事の範囲」で比べる方法、火災保険は自分で保険会社に聞くという順番、国の省エネの補助金とは別の話として考える理由まで、国土交通省と国民生活センターの資料で確かめながら整理しました。修理の費用の金額と、保険が下りるかどうかは、家と契約ごとに違うので、ここでは断定しません。
最初の連絡先は住まいの形で決まります(賃貸は貸主・管理会社、分譲マンションは管理会社・管理組合、建ててから日が浅い家やリフォーム後の雨漏りは工事をした会社)。それ以外の持ち家なら原因調査ができる業者に頼み、見積は調査の方法と工事の範囲をそろえて複数社で比べます。火災保険は自然災害による損害なら対象になりえますが、経年劣化は対象外が原則なので、保険会社に自分で確かめます。
この記事は2026年10月時点の制度と公的機関の資料で確かめています。
最初の連絡先は住まいの形で決まる
雨漏りに気づいたとき、最初に電話する先は「何屋さんか」より先に、「その建物の修理を決めるのは誰か」で決まります。自分で業者を呼んでいい家と、呼ぶ前に連絡すべき相手がいる家があるからです。
賃貸住宅では、建物を直す責任は原則として貸主にあります。借りている人が勝手に業者を呼んで工事をすると、費用を誰が持つかでもめたり、建物の保険や管理会社の手配と重なったりします。分譲マンションでは、屋根・外壁・共用の配管などは共用部分として管理組合が管理しているのが一般的で、上の階や屋上から水が来ている場合は、自分の部屋の中だけでは直せません。一戸建ての持ち家なら、修理を決めるのは自分ですが、建ててから、あるいはリフォームしてから日が浅いなら、先に工事をした会社に知らせるのが順番です。
| 住まいの形 | 最初の連絡先 | 理由 |
|---|---|---|
| 賃貸(アパート・マンション・一戸建て) | 貸主・管理会社 | 建物の修理を決めるのは貸主。勝手に手配すると費用の負担でもめやすい |
| 分譲マンション | 管理会社・管理組合 | 屋根・外壁・共用部分は組合の管理。上の階が原因なら、その住戸との話にもなる |
| 建ててから日が浅い一戸建て | 建てた会社・売主 | 新築住宅の雨水の入る部分には、法律で売主や建てた会社の責任がある(下の項) |
| リフォームした場所から漏れた | リフォームした会社 | 工事の不具合なら、契約と保証の範囲で直してもらえる可能性がある |
| 上のどれでもない持ち家 | 原因調査ができる業者 | 自分で業者を選ぶ。選び方は下の「雨漏りの場所」「見積」の項 |
たとえば、賃貸マンションで天井から水が落ちてきた場合は、まず管理会社に連絡し、しみや水が落ちている様子を写真に撮っておきます。管理会社が業者を手配するので、自分で業者を探す必要はありません。家具や家電が濡れた場合の補償は、自分が入っている家財の保険の話になるので、保険証券も手元に出しておきます。反対に、一戸建ての持ち家で、建ててからずいぶんたっている家なら、表の一番下の行です。
迷ったときは、「この建物を直すお金を最終的に出すのは誰か」を考えると、最初の電話先がはっきりします。自分でないなら、その人に先に知らせる。自分なら、建てた会社やリフォームした会社に責任が残っていないかを先に確かめる。この二段で考えると、あとで「先に言ってくれれば無償だったのに」という事態を避けられます。
建ててから日が浅い家は建てた会社へ
新築の家で雨漏りが起きたら、修理業者を探す前に、建てた会社(または売主)に連絡します。新築住宅の雨水の浸入を防ぐ部分には、法律で売主や建てた会社が責任を負う仕組みがあるからです。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)では、新築住宅の売主や請負人は、構造の主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁・窓などの開口部)について、一定の期間、瑕疵担保責任を負うとされています。さらに住宅瑕疵担保履行法で、その責任を果たすための保険への加入か保証金の供託が義務づけられているので、建てた会社が倒産していても、補修の費用を受け取れる道が用意されています。責任を負う期間は法律で決まっているので、引き渡しの日と、そのときに受け取った書類(保険の付保証明書など)を確かめてください。
リフォームの後に漏れた場合は、事情が少し違います。リフォーム工事は新築のような法律上の長い責任の対象ではなく、工事の契約書と保証書の内容、そして工事の不具合かどうかで扱いが決まります。リフォーム瑕疵保険に入った工事なら、その保険の対象になる場合もあります。
- 新築の家:引き渡しの日と、瑕疵担保の保険の書類を確かめる
- 中古で買った家:売主が宅建業者か個人か、売買契約の不具合の条項を確かめる
- リフォームした家:工事の契約書・保証書と、リフォーム瑕疵保険に入ったかを確かめる
- どの場合も:連絡する前に、しみや水の跡の写真と日付を残しておく
たとえば、窓の交換リフォームをした翌年から窓の下の壁にしみが出てきたなら、まずその工事をした会社に知らせて見てもらいます。窓まわりの防水の処理が原因なら工事の不具合として直してもらえる可能性があり、別の会社に先に直してもらうと、原因が分からなくなって話が進まなくなります。
判断の軸は、「前に工事をした会社に、一度は見せたか」です。責任を負う期間を過ぎているか微妙なときも、自分で判断せずに一度連絡し、書面で回答をもらっておく。話がこじれたときは、住宅リフォームのトラブルや工事費用の相談を受け付けている、住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)にも、契約書と写真を持って相談できます。
出典:国土交通省「住宅瑕疵担保履行法および住まいの安心総合支援サイト」
雨漏り修理の前に原因を突き止める

雨漏り修理でいちばん大切なのは、工事の腕より先に、水の入口を突き止めることです。入口を外したまま直すと、お金を払っても同じ場所がまた濡れます。
雨水は、屋根材のすき間や外壁のひび、窓まわりの継ぎ目から入り、下地や柱を伝って、離れた場所に出てきます。天井のしみの真上が原因とは限らず、壁の中を伝って窓の下に出てくることもあります。だから、しみが出た場所を塞ぐだけの工事や、目についたすき間をコーキング(すき間を埋める材料)で埋めるだけの工事は、たまたま当たれば止まりますが、外れれば再発します。「前に直したのに、また漏れた」という相談の多くは、ここに原因があります。
原因を探す方法には、次のようなものがあります。どれを使うかは業者と家の状態で変わりますが、見積や説明を受けるとき、「どの方法で、どこまで調べたか」を聞くと、その業者が入口をどれだけ詰めたかが分かります。
- 目で見る調査:屋根・外壁・窓まわり・天井裏を見て、傷みや水の跡をたどる
- 水をかける調査:疑わしい場所に順番に水をかけ、室内に出てくるかを確かめる
- 温度の差を見る調査:赤外線のカメラで、濡れて冷えた部分を映して見当をつける
- 天井や壁の一部を開ける調査:中の下地の濡れ方から、水の通り道をたどる
たとえば、見積に「コーキング打ち替え一式」とだけ書かれていて、どこから水が入っていたかの説明が無い場合と、「窓の上の外壁の継ぎ目から水が入り、壁の中を伝って窓の下に出ていた。水をかけて確かめた」と書かれている場合では、同じ工事名でも中身の重さが違います。前者は原因を当てにいった工事、後者は原因を確かめてから決めた工事です。
調査に費用がかかることを嫌がらないのが、結局は近道です。調査が無料の業者を選ぶのが悪いわけではありませんが、無料の範囲でどこまで調べるのか、原因が分からなかったらどうするのかは、頼む前に聞いておきます。原因の説明を写真つきでもらえれば、ほかの会社に見積を頼むときにも、その写真をそのまま使えます。
雨漏りの場所で得意な業者が変わる
雨漏り修理を頼める業者はいくつもありますが、得意な場所がそれぞれ違います。原因が屋根なのか、外壁なのか、窓まわりなのかで、頼むべき業者の種類が変わります。
業者の看板は「屋根」「塗装」「リフォーム」とさまざまですが、実際の工事は、屋根材を扱う職人、金属の板を加工する板金の職人、防水の職人、サッシ(窓枠)の職人など、それぞれの専門に分かれています。リフォーム会社や工務店は、こうした職人をまとめて手配する役目です。原因がはっきりしていれば専門の業者に直接頼むほうが話が早く、原因が分からない、あるいは複数の場所にまたがっているときは、全体を見られる会社に調査から頼むほうが確かです。
| 原因になりやすい場所 | 頼む先の例 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 瓦・スレートなどの屋根材 | 屋根工事の会社 | 屋根材のずれ・割れ、屋根の下地の傷みが疑われる |
| 棟・谷・水切りなどの金属部分 | 板金工事の会社 | 屋根や外壁の金属の継ぎ目・さびが疑われる |
| ベランダ・陸屋根(平らな屋根) | 防水工事の会社 | 防水の層の傷み、排水口の詰まりが疑われる |
| 外壁のひび・継ぎ目 | 外壁・塗装の会社 | 外壁のひび、継ぎ目のコーキングの傷みが疑われる |
| 窓まわり・サッシ | サッシ・窓の会社、リフォーム会社 | 窓枠と壁の取り合い、窓の上からの浸入が疑われる |
| 原因が分からない・複数ある | 雨漏り調査に慣れた会社、リフォーム会社・工務店 | 調査からまとめて頼み、必要な職人を手配してもらう |
たとえば、壁から雨漏りしているように見える場合でも、原因が外壁のひびとは限らず、その上の屋根と外壁の取り合い(つなぎ目)の板金から水が入っていることがあります。外壁塗装の会社だけに見てもらうと、ひびを埋めて塗り直す提案になりやすく、屋根の会社だけに見てもらうと、屋根の工事の提案になりやすい。どちらも間違いではありませんが、見える範囲が業者の専門で決まってしまうということです。
迷ったときは、「原因の場所が、見積を頼む前に分かっているか」で分けます。分かっているなら、その場所の専門の会社に。分かっていないなら、調査の方法を説明できる会社に、調査から頼む。会社の種類より、原因を説明できるかどうかで選ぶほうが外れません。
原因が屋根材や棟の板金だと分かったあとの、瓦・スレート・金属での直し方の違いと、屋根修理の見積の比べ方は、屋根修理の頼み先の記事にまとめています。

業者を呼ぶ前にそろえることと応急処置
業者に電話する前に、いつ・どこから・どんな雨のときに漏れたかを記録しておくと、調査が早く、見積も正確になります。応急処置は、安全にできる室内の範囲だけにとどめます。
雨漏りは、晴れているときには見えません。業者が来た日に雨が降っていなければ、手がかりは住んでいる人の記録だけです。「強い風を伴う雨のときだけ漏れる」「長く降り続いたときに漏れる」といった違いは、水の入口を絞り込む大事な情報になります。
- 1被害を広げない家具や家電を動かし、バケツやタオルで水を受ける
- 2記録するしみや水の跡を写真に撮り、日付と天気を書き残す
- 3住まいの形を確かめる賃貸・マンション・日が浅い家なら、先に貸主や建てた会社へ
- 4保険の書類を出す火災保険の証券を出し、補償の内容を見ておく
- 5業者に連絡する記録を見せて、調査の方法と費用を聞く
記録するときは、次のことを書いておきます。
- しみや水の跡の場所(部屋・天井か壁か・窓の近くか)と、広がり方
- 漏れた日と、そのときの雨の強さ・風の向き
- 漏れ始めた時期と、前に修理をしたことがあるか
- 台風や大雪、ひょうのあとに気づいたかどうか(保険の相談で聞かれる)
応急処置は、室内でできることにとどめます。水の落ちる場所にバケツを置き、周りに雑巾やシートを敷く、濡れては困るものを移す、しみの近くのコンセントや照明に水が回っているようなら使わない、といったことです。屋根に上ってブルーシートをかける作業は、慣れていない人には転落の危険が大きいので、自分ではやらずに業者に頼みます。すき間を自分でコーキングで埋めるのも、水の出口を塞いで別の場所に回してしまうことがあり、原因の調査もしにくくなります。
たとえば、天井から水がぽたぽた落ちている夜なら、その夜にやることは、水を受けることと、写真を撮ることの二つだけで十分です。屋根に上がる必要はありません。朝になってから、上の表で最初の連絡先を決め、記録を見せて相談します。
雨漏り修理の見積は調査と範囲で比べる
雨漏り修理の見積は、合計の金額だけを並べても比べられません。調査の方法、特定した原因、工事の範囲、再発したときの扱いの四つをそろえてから、金額を比べます。
雨漏り修理の費用は、原因の場所、工事の範囲(部分的に直すか、屋根や外壁をまとめて直すか)、足場が要るかどうか、下地まで傷んでいるかで大きく変わります。だから、ある会社は部分補修の見積を出し、別の会社は屋根全体の葺き替えの見積を出す、ということが普通に起きます。金額に差があるのは当然で、問題はその差が「原因の見立ての違い」なのか「工事範囲の違い」なのかが見えないことです。
- 「雨漏り修理一式」とだけ書いてある
- 調査の方法が書いていない
- 工事の範囲がはっきりしない
- 足場や下地の補修が別扱い
- 再発したときの話が無い
- 原因の場所と、確かめた方法が書いてある
- 目視・散水など、調べた方法と範囲が書いてある
- どこを・どの材料で・どこまで直すかが書いてある
- 足場・下地の補修を含むかが書いてある
- 保証の範囲と、再発時の対応が書いてある
同じ条件で比べるには、最初の会社の調査結果(原因の説明と写真)を、ほかの会社にも見せて、「この原因なら、どこまでの工事が必要か」を聞くのが確実です。調査の見立てそのものが会社によって違う場合は、どちらの説明に根拠があるか(水をかけて確かめたのか、見た目の推測か)で判断します。
- 原因の説明に、場所と確かめた方法があるか
- 工事の範囲が、図や写真でどこまでか示されているか
- 足場・廃材の処分・下地の補修が含まれるか
- 工事の後に水をかけて止まったかを確かめるか
- 保証の期間と、保証の対象(工事した場所だけか)が書面で出るか
たとえば、ある会社の見積が部分補修で、別の会社の見積が屋根全体の工事で、金額が大きく違ったとします。このとき「安いほう」「高いほう」で決めるのではなく、部分補修の会社には「原因がそこだと確かめた方法」を、全体の工事の会社には「部分補修では足りない理由」を聞きます。家が古く、屋根材や下地が全体に傷んでいるなら全体の工事に理由がありますし、原因が一か所の継ぎ目なら部分補修で足りるかもしれません。答えを比べれば、家族にもどちらを選んだ理由を説明できます。
見積を取る会社を探すときは、原因調査を含めて、同じ条件で複数の会社に見てもらうのが近道です。ひとつの会社の見立てだけで決めると、その会社の専門の範囲でしか答えが出ません。
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雨漏りは、原因の場所が分からないまま直すと再発しやすい工事です。見積を比べるときは、原因調査を含めるかどうかと工事の範囲を同じ条件にそろえて、複数の業者に頼んでください。屋根・外壁の業者をまとめて紹介してもらえる無料のサービスもあります。
雨漏りに火災保険が使えるかは原因しだい
火災保険は、台風の強風や大雪、ひょうなどの自然災害で屋根や外壁が壊れ、そこから雨漏りした場合なら、補償の対象になりえます。反対に、年数がたって傷んだこと(経年劣化)による雨漏りは、対象にならないのが原則です。
火災保険は、名前に反して、火事だけでなく風災・雪災・雹災などの自然災害による損害を補償する契約が多くあります。ただ、保険が払うのは「事故による損害」で、時間とともに傷んだことによる損傷は事故ではありません。国民生活センターも、経年劣化による住宅の損傷は自然災害などの事故による損害ではないので、保険金支払いの対象にならないと注意を出しています。どの災害が補償の対象か、自己負担の額がいくらか、いつまでに請求するかは、契約ごとに違います。
- 台風の強風で屋根材が飛んだ
- 大雪の重みで雨どいや屋根が壊れた
- ひょうで屋根や窓が割れた
- 年数がたって屋根材や防水が傷んだ
- 外壁のひびが少しずつ広がった
- 契約の内容しだいで対象外になるもの(免責や約款で決まる)
保険を使えるか確かめる順番は、次のとおりです。
- 保険証券と約款で、風災・雪災・雹災が補償に入っているかを見る
- 被害に気づいた日と、その前の台風・大雪・ひょうの日付を書き出す
- 業者より先に、契約している保険会社か代理店に自分で連絡する
- 保険会社から求められた書類(写真・修理の見積など)をそろえる
たとえば、台風のあとに天井のしみに気づき、屋根を見てもらったら棟の板金が浮いていた、という場合は、保険会社に相談する価値があります。反対に、何年も前から少しずつしみが広がっていて、特定の災害のあとに始まったわけではないなら、保険ではなく自費での修理を前提に考えるのが現実的です。
保険金を請求するのは、保険の契約者である自分です。業者に「申請は全部こちらでやります」と言われても、保険会社への連絡は自分でしておきます。保険の結果が出るまでの間も、被害が広がらないよう、室内で水を受ける手当てはしておきます。修理や調査をどこまで先に進めてよいかは、契約によって扱いが違うので、最初の電話で保険会社に聞いておきます。
「保険で直せる」訪問にはすぐ応じない
「近くで工事をしていたら、お宅の屋根が傷んでいるのが見えた」「火災保険を使えば自己負担なしで直せる」と突然訪ねてくる業者とは、その場で点検も契約もしないことです。
国民生活センターには、屋根の点検を口実にした訪問販売の相談が多く寄せられています。点検のために屋根に上がった業者に、壊れた瓦の写真を見せられて高額な工事を契約したが、本当に自分の家の写真か分からない、といった事例です。「保険金で自己負担なく工事ができる」という勧誘も同じで、実際に保険金が支払われるかは分かりません。経年劣化による損傷を自然災害によるものと偽って請求すると、保険金の返還を求められたり、保険契約を解除されたり、詐欺に問われたりするおそれもあります。
- 突然訪ねてきた業者には、無料と言われても屋根に上がらせない
- 屋根の工事は、その場で契約しない。家を建てた会社などにも相談し、複数の会社の見積と比べる
- 保険の申請は、業者ではなく契約している保険会社か代理店に自分で聞く
- 訪問販売で契約してしまったら、一定の期間内ならクーリング・オフできる場合がある
- 不安を感じたら、消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センターにつながる)に相談する
たとえば、台風の翌週に「このあたりの家を回っています。お宅の屋根、瓦がずれていますよ」と言われた場合、気になるなら「自分で頼んでいる業者に見てもらいます」と答えて帰ってもらいます。本当に瓦がずれているなら、自分で選んだ業者に見てもらっても同じ結論になるはずです。
こうした業者を悪者と決めつける必要はありませんが、「急がせる」「保険を強調する」「その場で決めさせる」の三つがそろったら、いったん止まる合図です。雨漏りの修理は、原因を確かめて、見積を比べてから決めても、多くの場合は間に合います。
出典:国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」
雨漏り修理は補助金と別の話で考える
雨漏りの修理そのものは、国の住宅省エネ2026キャンペーンの補助の対象工事ではありません。補助金を目当てに修理の中身を決めるのではなく、まず雨漏りを直す工事として考えます。
住宅省エネ2026キャンペーンは、住宅の省エネ性能を上げる工事に補助を出す国の事業です。たとえば、みらいエコ住宅2026事業のリフォームで対象になるのは、躯体(床・壁・天井)の断熱改修を含む工事で、平成28年以前に新築された住宅では、ひとつの部屋の外に面した窓などの開口部をすべて断熱改修し、窓の性能区分に応じて躯体の断熱改修を組むことが必須の要件になっています。雨漏りを止めるための屋根や外壁の補修は、この要件とは目的が違います。また、どの事業も申請するのは施主ではなく、消費者と契約する住宅事業者です。
市区町村には、屋根や外壁の改修に独自の助成を出しているところもあります。ただ、雨漏りの修理そのものが対象になるか、どんな条件があるか、工事の前に申し込む必要があるかは、その市区町村の要綱しだいです。住んでいる市区町村の名前と「住宅リフォーム 助成」などで探し、要綱を読んで確かめてください。工事を始めてからでは申し込めない助成もあるので、契約の前に確かめるのが順番です。
たとえば、古い家で雨漏りを直すついでに、寒さ対策で窓も替えたいと考えている場合は、雨漏りの修理と、窓の断熱改修を分けて考えます。窓などの開口部の断熱改修は国の補助の要件に関わるので、対象になるか、どの工事と組む必要があるかを、公式サイトの要件で確かめます。

判断の軸は、「補助金がなくても、この工事をするか」です。雨漏りを直す工事は、補助金が出るかどうかに関係なく必要な工事です。窓や断熱の工事は、補助金があるから前倒しする価値があるかもしれませんが、雨漏りの修理と同じ見積の中で、どこまでが補助の対象になるかを業者に分けて書いてもらうと、あとで話が混ざりません。
出典:住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト/みらいエコ住宅2026事業 公式サイト/みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」
補助金や保険を待たずに直したほうがいい場合

雨漏りは、待っている間にも被害が広がります。補助金の募集や保険の結果を待つあいだ、何もせずに放っておくのは避けたほうがいい場合があります。
屋根や外壁から入った水は、表に見えるしみよりずっと広く、下地の木材や柱、断熱材を濡らしていきます。濡れた木材は腐りやすく、断熱材は湿ると本来の働きをしなくなり、カビの原因にもなります。水が天井裏の電気の配線や照明に回ると、漏電のおそれもあります。修理が遅れるほど、直す範囲が表面から下地、下地から構造へと広がり、結果として工事は大きくなります。
- しみが広がっている、水が落ちてくる量が増えている
- 天井や壁がたわんでいる、押すとやわらかい
- しみの近くにコンセントや照明があり、水が回っていそう
- カビのにおいがする、壁紙が浮いてきた
- 保険の結果を待つあいだ、何も手当てをしていない
反対に、補助の要件に合わせるために必要のない工事まで広げたくなったり、雨漏りの修理そのものが補助の対象にならなかったりする場合は、補助金を使わず、修理だけを先に進めるほうが安全です。
たとえば、台風のあとの雨漏りで保険会社に相談している最中でも、被害が広がらないよう室内で水を受ける手当ては続けて構いません。屋根での作業や原因の調査は、業者に頼むことになるので、先に保険会社に「応急処置と調査を進めたい」と伝えて、進めてよい範囲を確かめます。処置の前後の写真を残しておけば、あとで説明に困りません。補助金も同じで、雨漏りの修理そのものが対象にならないのなら、募集を待つ理由はありません。
補助金や保険は、使えるなら使えばいい仕組みで、修理の時期を決める理由にはなりません。「水が入り続けているか」を一番に見て、入り続けているなら、まず止める。補助や保険の話は、そのあとで落ち着いて確かめても遅くありません。
よくある質問
雨漏り修理の費用はいくらかかりますか?
原因の場所、工事の範囲、足場が要るか、下地まで傷んでいるかで大きく変わるので、金額の目安をひとつに決めることはできません。継ぎ目を部分的に直すだけで済むこともあれば、屋根や外壁をまとめて直す必要があることもあります。調査の結果をもとに、同じ条件で複数の会社から見積を取って比べるのが確実です。
雨漏りは自分で直せますか?
おすすめしません。原因の場所が分からないまま表面を塞ぐと、水の出口が変わって別の場所から漏れたり、原因の調査がしにくくなったりします。屋根に上る作業は転落の危険もあるので、自分でするのは室内で水を受けることと、写真で記録することまでにとどめてください。
前に修理してもらったのに、また漏れてきました。どうすればいいですか?
まず、前に修理をした会社に連絡し、工事の保証書と、そのときの見積や説明を確かめます。同じ場所からの再発なら、保証の範囲で見てもらえる場合があります。原因の説明が無いまま直していた場合は、今度は調査の方法と原因の説明をもらってから直すようにします。
調査は無料で頼んでいいですか?
頼んで構いませんが、無料でどこまで調べるのか、原因が分からなかったときはどうするのかを、先に聞いてください。水をかける調査や天井を開ける調査は、手間がかかるので費用がかかるのが普通です。原因の説明が写真つきでもらえるなら、ほかの会社に見積を頼むときにも使えます。
賃貸に住んでいます。自分で業者を呼んでもいいですか?
まず貸主か管理会社に連絡してください。建物の修理を決めるのは原則として貸主で、自分で業者を呼ぶと費用の負担でもめることがあります。濡れた家具や家電は、自分が入っている家財の保険の話になるので、写真を残しておきます。
雨漏りの修理に補助金は使えますか?
国の住宅省エネ2026キャンペーンは省エネのための工事が対象で、雨漏りの修理そのものは対象の工事ではありません。市区町村には屋根や外壁の改修に助成を出しているところもありますが、雨漏りの修理が対象かは要綱しだいです。住んでいる市区町村の要綱を、契約の前に確かめてください。
見積を見る前のおさらい
- 最初の連絡先は住まいの形で決まる。賃貸は貸主・管理会社、分譲マンションは管理会社・管理組合
- 建ててから日が浅い家やリフォーム後の雨漏りは、先に工事をした会社に知らせる
- 修理の前に、水の入口を突き止める。しみの場所と原因の場所は同じとは限らない
- 原因の場所で、得意な業者が変わる。分からなければ、調査から頼める会社に
- 業者を呼ぶ前に、漏れた日・天気・場所を記録する。応急処置は室内でできる範囲だけ
- 見積は、調査の方法・原因・工事の範囲・再発時の扱いをそろえてから、金額を比べる
- 火災保険は自然災害による損害なら対象になりうるが、経年劣化は対象外が原則。保険会社に自分で聞く
- 雨漏りの修理そのものは国の省エネの補助の対象ではない。補助を待たず、水が入り続けているならまず止める
雨漏りの修理で後悔が残るのは、金額が高かったときより、直したはずの場所からまた漏れたときです。だから、業者を選ぶ物差しは「安いか」より「原因をどう確かめたかを説明できるか」に置きます。手元に記録と写真を用意し、その説明を同じ条件で複数の会社から聞き比べるところから始めてください。

