介護の浴室バリアフリーリフォームはいくら戻る?|浴槽・段差・介護保険

浴室のシャワー
補助金の予算はどれくらい残っているか
みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)
12%

2026年11月3日時点の公表値です。申請額が予算に達した時点で受付は終了します。

  • 親が浴室で足を滑らせそうになった。浴室のバリアフリーリフォームで、介護保険からいくら戻るの?
  • 浴槽ごと新しくしたい。浴槽の交換も介護保険の対象になる?
  • 浴槽のまたぎが高くて、足が上がらない。低いものに替えたら何か戻る?
  • 浴室の入口の段差、直すなら何が対象になる?
  • 手すりは買ってくるのと、工事して付けるのと、どちらがいい?
  • 国の補助金と介護保険は、同じ浴室の工事に両方使える?
  • 20万円の枠を、浴室に使い切っていい?
  • 業者に「全部、介護保険の対象です」と言われた。本当?

上記のような悩みに答えます。

浴室バリアフリーリフォームは、手すり・出入口の段差・床・扉などを替えて、入浴の動作を安全にする工事です。迷いやすいのは、家族が真っ先に思い浮かべる「浴槽の交換」ほど、介護保険の対象工事の名前に出てこないことと、同じ浴室の工事でも介護保険・国の補助・税の控除とで使われる言葉が違うことです。メーカーや比較サイトの解説は施工例と費用の目安が中心で、「うちの場合、どの制度のどの言葉に当たり、何から動くか」までは書かれていません。そこで、厚生労働省の通知と国土交通省・国税庁の資料の原文で、浴室の工事がどの制度のどの言葉に当たるかを確かめながら整理しました。工事費の相場は家の造りで大きく変わるため、数字では書きません。

先に答え

介護保険の住宅改修で浴室に使えるのは、手すりの取付け・出入口の段差の解消・滑りにくい床材への変更・引き戸等への扉の取替えと、それに付帯する工事で、支給限度基準額は20万円、給付は原則9割です。浴槽の取替えは対象工事の名前に出てこないため、使えるかどうかは、市区町村に確かめます。税の控除と固定資産税の減額には、浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事が名前で入っています。国のみらいエコ住宅2026事業は窓などの断熱改修とセットが条件で、浴室の手すりと段差だけでは申請できません。どの制度も、工事の前に動くのが順番です。

窓の断熱とあわせて工事する場合に国の事業でいくら戻るかは、計算ツールで確かめられます。

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2026年度の制度・2026年10月時点で確かめています

目次

介護保険で浴室に使える工事は4種類と付帯

浴室のシャワー

要介護・要支援の認定を受けた人が住む家の浴室で、介護保険の住宅改修の対象になるのは、手すりの取付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、引き戸等への扉の取替えの4種類と、それらに付帯して必要になる工事です。支給限度基準額は生涯20万円で、保険給付は原則9割(上限18万円)、所得に応じて8割(上限16万円)または7割(上限14万円)になります。

対象が絞られているのは、住宅改修が個人の資産づくりにつながる面があり、賃貸住宅に住む高齢者との釣り合いも考えられているからです。浴室全体の入れ替えではなく、転倒を防ぎ移動を助ける比較的小さな工事が給付の対象、という作りです。国の通知は、浴室について次のように書いています。

計算例

厚生労働省の通知(老企第34号)「第二 住宅改修」の原文より。(1)手すりの取付け=「廊下、便所、浴室、玄関、玄関からの道路までの通路等に転倒予防若しくは移動又は移乗動作に資することを目的として設置するもの」。(2)段差の解消=「居室、廊下、便所、浴室、玄関等の各室間の床の段差及び玄関から道路までの通路等の段差又は傾斜を解消するための住宅改修をいい、具体的には、敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室の床のかさ上げ等が想定されるもの」。(3)床材の変更=「浴室においては床材の滑りにくいものへの変更」。(4)扉の取替え=「開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテン等に取り替えるといった扉全体の取替えのほか、扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置等も含まれる」。

付帯して必要になる工事として、通知は壁の下地補強、浴室の床のかさ上げに伴う給排水設備工事、床材の下地の補修や根太の補強、扉の取替えに伴う壁又は柱の改修を挙げています。手すりを付ける壁に下地がなければ、先に補強する費用も同じ枠に入ります。

浴室の悩み 当たる工事の名前 付帯して認められる例
洗い場や浴槽の出入りでふらつく 手すりの取付け 壁の下地補強
入口の段差でつまずく 段差の解消(敷居を低くする・浴室の床のかさ上げ) 床のかさ上げに伴う給排水設備工事
洗い場の床が滑る 床材を滑りにくいものへ変更 下地の補修・根太の補強
開き戸が開け閉めしにくい 引き戸等への扉の取替え 壁又は柱の改修工事

たとえば、浴室の入口に段差があって手すりも無い家なら、入口の段差の解消と、洗い場と浴槽まわりの手すりの2つが、介護保険の名前にそのまま当たる工事です。この2つだけで、20万円の枠の中に収まるかどうかは、見積の行を見て決めます。

トイレ・玄関を含めた介護保険の全体は、こちらにまとめています。この記事は浴室の工事に絞ります。

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編集部の整理では、浴室の悩みを上の表のどの行に当たるかで1つずつ仕分けます。当たらない悩みは、介護保険では動かせない前提で、別の制度か自分で払う前提を考えます。

浴槽の取替えは介護保険の名前にない

浴槽ごと新しくしたい場合、国の通知で住宅改修の対象として名前が挙がっているのは、手すり・段差・床材・扉・便器の5種類と付帯工事で、浴槽の取替えという言葉は出てきません。厚生労働省の「介護保険における住宅改修」にも、通知の住宅改修の節にも、浴槽の取替えを対象と書いた箇所は確かめられませんでした。

そのため、浴槽の取替えを給付の対象として申請できるかは、通知の原文からは決められません。付帯工事は通知に例として挙げられていて(「考えられる」)、その例にも浴槽の取替えは出てきませんが、市区町村は事前申請の書類を見て、給付として適当かを確認する立場にあります(老企第42号)。付帯として認める市区町村があるのか、どこまで認めるのかは、確かめられていません。ここを推測で「対象です」「対象外です」と書くと、読者が先に工事を頼んでしまう危険があるため、この記事では書きません。確かめ方は、次の3つです。

  1. 市区町村の介護保険の窓口か、担当のケアマネジャーに、「浴槽の取替えを含む見積を、どの対象工事の付帯として申請することになるか」を聞く
  2. 市区町村の住宅改修の手引きを読み、浴槽の記載があるか確かめる
  3. 回答は、聞いた日付と担当部署を控えておく(見積に添えて業者にも伝える)

一方で、税のほうには浴槽の言葉が入っています。国税庁の住宅特定改修特別税額控除の対象工事には「浴室を改良する工事」があり、その中に「浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事」があります。固定資産税の減額でも、国土交通省の資料が同じ工事を挙げています。

計算例

国税庁タックスアンサー No.1220 より。「(3)浴室を改良する工事であって、次のいずれかに該当するもの イ 入浴またはその介助を容易に行うために浴室の床面積を増加させる工事 ロ 浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事 ハ 固定式の移乗台、踏み台その他の高齢者等の浴槽の出入りを容易にする設備を設置する工事 ニ 高齢者等の身体の洗浄を容易にする水栓器具を設置しまたは同器具に取り替える工事」。

制度 浴槽の取替えの扱い
介護保険の住宅改修 対象工事の名前に出てこない。付帯として認められるかは市区町村に確かめる
所得税の控除 「浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事」が浴室の改良として名前にある
固定資産税の減額 同じ工事が資料に挙がっている。取替えに伴う給排水設備の移設等は一体工事として含まれる
みらいエコ住宅2026事業 高断熱浴槽は設備の補助の対象。額と条件は浴槽の記事で確かめる

たとえば、親が浴槽をまたげなくなり、またぎ高さの低い浴槽に取り替えたいと考えている家なら、介護保険は「手すりと段差の工事だけ」で使い、浴槽の取替えは税の控除や固定資産税の減額で戻るかを確かめる、という分け方が候補になります。高断熱浴槽の補助や、浴槽だけを替える工事の見極めは、こちらで詳しく扱っています。

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迷ったら、浴槽の取替えを「介護保険で戻る工事」と決めつけず、「戻らないかもしれない前提で、自分で払える額か」を先に考えます。そのうえで市区町村の回答が「付帯として認められる」だったなら、それは上乗せの話として受け取ります。

買う手すりと工事する手すりは別の制度

浴室の手すりには、工事して壁に付けるものと、浴槽の縁などに挟んで置くものがあり、前者は住宅改修、後者は福祉用具の購入と、制度が分かれています。国の通知は、住宅改修の手すりを「転倒予防若しくは移動又は移乗動作に資することを目的として設置するもの」とし、貸与の対象になる手すりに当たるものは除く、と書いています。

分かれているのは、介護保険の福祉用具には、貸与と購入があって、それぞれ対象の物が通知で列挙されているからです。浴室の道具では、入浴用いす、浴槽用手すり(浴槽の縁を挟み込んで固定することができるもの)、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルトが、購入の対象として挙がっています。このうち、浴室内すのこを置くことで段差を解消する方法は、住宅改修の段差の解消からは除かれています。

計算例

厚生労働省の通知(老企第34号)より。「第一 福祉用具」(3)入浴補助用具=「①入浴用いす ②浴槽用手すり(浴槽の縁を挟み込んで固定することができるものに限る。) ③浴槽内いす ④入浴台 ⑤浴室内すのこ ⑥浴槽内すのこ ⑦入浴用介助ベルト」。「第二 住宅改修」(2)段差の解消=「貸与告示第八項に掲げる『スロープ』又は購入告示第三項第五号に掲げる『浴室内すのこ』を置くことによる段差の解消は除かれる。また、昇降機、リフト、段差解消機等動力により段差を解消する機器を設置する工事は除かれる。」

浴室の手すりと段差は、置くか、工事するかで分かれる
置く・挟む(福祉用具)

  • 浴槽の縁を挟む浴槽用手すり
  • 浴室内すのこで段差を埋める
  • 工事を伴わない
  • 20万円の枠を使わない
工事して固定する(住宅改修)

  • 壁に固定する手すりの取付け
  • 敷居を低くする・浴室の床のかさ上げ
  • 壁の下地補強などの付帯工事を含む
  • 20万円の枠を使う

図の最後の行のとおり、福祉用具の購入と住宅改修は別の枠です。購入の側の限度額はこの記事で使う表にないので書きません。購入の枠の残りは、担当のケアマネジャーに聞いてください。

国のみらいエコ住宅2026事業も、同じ線を引いています。要件書は、手すりについて「手すりの取付けに当たって工事(ネジ等で取り付ける簡易なものを含む)を伴わない手すりの取付けは含まれない」とし、段差解消についても「工事を伴わない踏み台、段差解消板、スロープ等の据え置きは含まれない」としています。介護保険も国の補助も、置くだけのものは住宅改修・補助の側に入れていない、という点で一致しています。

たとえば、浴槽の縁に挟む手すりと、浴室内すのこだけで足りる家なら、工事そのものが要らず、20万円の枠をまるごとトイレや玄関に残せます。反対に、洗い場の壁に体重をかけられる手すりを付けたい、入口の敷居が高い、というときは、工事をして固定する側に入ります。どちらが体に合うかは、本人の体の状態で決まるため、ケアマネジャーか作業療法士に相談して決めてください。

置くか工事するかは、価格より先に決めます。この線を家族で共有しておくと、業者に「全部工事で付けましょう」と言われたとき、置く方法で足りないかを聞き返せます。

20万円の枠は事前申請から動く

介護保険の住宅改修は、工事の前に市区町村へ申請するのが原則で、浴室の工事もこの順番を崩せません。厚生労働省の資料には、住宅改修が必要な理由書などを添えて事前に申請書を出し、工事の完成後に領収書等を出すことで保険給付される、と書かれています。やむを得ない事情がある場合の事後申請は例外の扱いです。

20万円は、要支援・要介護の区分にかかわらず同じ額で、生涯の上限です。ただし、要介護状態区分が重くなって3段階上がったときと、転居したときは、もう一度20万円までの枠が設定されます。限度額の範囲内なら、複数回に分けて申請することもできます。

浴室の工事で介護保険を使う順番
  1. 1ケアマネジャーに相談する浴室のどの動作で困るかを伝える
  2. 2見積を取る複数の事業所からの見積が促されている
  3. 3理由書を作ってもらう住宅改修が必要な理由をまとめる
  4. 4市区町村に事前に申請する申請書・見積・理由書・完成予定が分かるもの
  5. 5工事をして領収書等を出す完成後の写真は箇所ごとに改修前と改修後
計算例

計算の例(工事費は説明用の仮の額):浴室の手すり・入口の段差・扉の取替えなど、すべて対象の工事に25万円かかった場合、給付の計算に使えるのは限度額の20万円までです。原則の9割なら給付は18万円で、残りの7万円は自分で払います。8割の人なら給付は16万円、7割の人なら14万円です。

事前申請で出す書類は、支給申請書、工事費の見積書、住宅改修が必要な理由書、完成予定の状態が分かるもの(日付入りの写真や間取り図など)の4つです。見積書については、資料に「複数事業所からの見積もり提出を促進」と書かれています。工事が終わったあとは、領収書、工事費の内訳書、完成後の状態が分かる書類を出し、その写真は、便所、浴室、廊下等の箇所ごとの改修前と改修後が原則とされています。工事前の写真が無いと、改修前と改修後の写真をそろえて出せません。

たとえば、浴室の工事に20万円の枠をほぼ使い切った家が、数年後に玄関の手すりを付けたくなった場合、本人の認定区分が3段階以上上がっていなければ、枠はすでに残っていません。浴室を先に直すか、トイレや玄関を先に直すかは、本人が毎日どこで一番困っているかで決めます。

手続きの細かい順番は介護保険の全体の記事に任せ、ここでは浴室の工事で外せないことを3つに絞ります。

  1. 契約書に署名する前に、ケアマネジャーに見積を見せる
  2. 工事前の浴室の写真を、業者任せにせず自分でも撮っておく
  3. 浴槽の取替えを含むときは、その行だけ別に市区町村へ確かめる

退院が決まっていて浴室を急いで直したい場合も、ケアマネジャーに急ぎであることを伝えて事前申請の段取りを早めてもらい、着工は申請のあとにする、という順番は崩さないのが安全です。

国の補助は窓の工事とセットで出る

国のみらいエコ住宅2026事業には、浴室の手すり・段差解消・廊下幅等の拡張の補助がありますが、窓などの断熱改修(要件化工事)をした家に行う工事だけが対象です。対象の住宅は平成28年以前に新築されたもので、平成29年以降の新築は、次世代省エネ基準を満たさないと証明できる場合に限られます。バリアフリー改修だけを申請することはできず、申請する補助額の合計が5万円以上であることも条件です。

改装中の部屋

要件書の表では、手すりと段差解消の対象に、便所、浴室、脱衣室その他の居室および玄関ならびにこれらを結ぶ経路が入っています。補助額は箇所数によらず、工事の種類ごとの額です。

工事の種類 補助額 浴室に関わる条件
手すりの設置 7,200円/戸 工事を伴わない取付けは含まれない
段差解消 8,400円/戸 浴室の出入口は段差を小さくする工事を含む。据え置きは含まれない
廊下幅等の拡張 33,600円/戸 工事後の幅がおおむね750mm以上(浴室の出入口はおおむね600mm以上)。単なるドアの取替えは含まない
計算例

計算の例:浴室の手すり7,200円と、段差解消8,400円の2つだけでは、合計15,600円で、下限の5万円に届きません。ここに廊下幅等の拡張33,600円を足しても、合計は49,200円で、5万円には800円足りません。みらいエコで申請する窓などの断熱改修(要件化工事)や設備の補助も合わせて、合計が5万円以上になることが、申請の条件です。窓リノベで受ける窓の補助は窓リノベ側の額で、この合計には入りません(要件書 p.45:性能区分P・S・A〈内窓を除く〉の窓は窓リノベへ申請可能)。下限が2万円になる場合は、手すりと段差解消の合計15,600円は2万円に届かず、廊下幅等の拡張33,600円まで合わせた49,200円なら2万円以上です。廊下幅等の拡張だけでも33,600円で、2万円を超えます。

下限が2万円になる例外もあります。同じ人の同じ住宅で、先進的窓リノベ2026事業や給湯省エネ2026事業の交付決定を受けている場合は、みらいエコ住宅2026事業の下限は2万円以上に下がります。つまり、窓の補助を別の事業で受ける家なら、下限の判定は2万円で行われます。手すりと段差解消だけの合計は2万円に届かず、廊下幅等の拡張まで合わせると2万円以上になります(上の計算の例)。ただし、これは窓などの断熱改修をした家に浴室の工事を足す場合の話です。要件化工事の組み合わせは新築された年や窓の性能区分で決まり、トリガールーム(外皮に面する開口部のある居室)のすべての開口部を改修することが前提です。詳しくは、こちらを見てください。

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窓の補助額は、こちらにあります。

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では、介護保険と同じ浴室の工事に重ねられるのでしょうか。要件書の併用の項は、補助対象が重複する国の他の補助制度、国費が充当されている補助事業との併用はできないと書いていますが、介護保険という名前はどこにも出てきません。同じ手すりの工事に、介護保険の給付と国の補助を両方受けられるかを、この資料から断言することはできません。確かめる先は、みらいエコ住宅2026事業の問い合わせ窓口と、市区町村の介護保険の窓口の両方です。聞くときは、「同じ手すりの取付け工事を、介護保険の住宅改修と、みらいエコのバリアフリー改修に重ねて申請してよいか」と、工事の中身まで言います。

出典:みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」/環境省「先進的窓リノベ2026事業の詳細」

国の補助は、施主が申請できません。登録された事業者が申請する決まりなので、浴室の工事を頼む業者が登録事業者かも、見積の前に確かめます。

ここで押さえておきたいのは、浴室の手すりと段差だけで国の補助を狙わないことです。窓の断熱を別の理由で決めた家だけが、浴室の工事を足して上乗せを確かめます。

税の控除と減額には浴槽の言葉がある

浴室のバリアフリー改修は、所得税の控除と固定資産税の減額でも戻る可能性があります。浴槽を替える場合は、この2つが一番近い制度です。ただし、どちらも「補助金等」を差し引いたあとの額で50万円を超えるかを判定するため、条件を先に確かめます。

所得税の控除(住宅特定改修特別税額控除)は、対象になる人が、バリアフリー改修工事の標準的な費用の額(補助金等を受けた場合はその額を引いた額)が50万円を超える工事をしたときに、その年の所得税額から控除を受けられる制度です。控除の額は、標準的な費用の額Aのうち限度額の200万円までに1割をかけ、さらにBに5%をかけて足します。住宅ローンを使っていなくても使えます。ほかに、その年の合計所得金額や、工事後の住宅の床面積などの条件があります(国税庁No.1220)。対象になる人は、50歳以上の人、要介護または要支援の認定を受けている人、所得税法上の障害者の人、65歳以上の親族などと同居している人のいずれかです。

計算例

計算の例:Aが控除対象限度額の200万円に届く場合、Aの部分の控除は200万円 × 10% = 20万円です。これにBの部分の5%が足されます。実際に戻る額は、その年に納める所得税の額などで変わるので、税務署で確かめてください。

対象工事の種類は国税庁のページで決まっていて、浴室の改良のほか、手すりの取付け、床の段差解消、出入口の戸の改良、滑りにくい床材への取替えが、浴室を場所として含みます。浴槽の取替えは、このうち「浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事」にあたるかで見ます。

固定資産税の減額は、新築から10年以上たった家で、補助金等を引いた工事費が50万円(税込)を超えると、翌年度分が3分の1減額される制度です。対象は、工事が完了した翌年の1月1日時点で65歳以上、要介護・要支援の認定を受けている人、障がいを持っている人のいずれかで、賃貸住宅ではない家が条件です。ほかに、改修後の床面積などの条件もあります(国土交通省の資料)。申告は工事完了日から3か月以内に、提出先の窓口(市区町村)へ出します。

比べるところ 所得税の控除 固定資産税の減額
戻る内容 その年の所得税額から控除 翌年度分の固定資産税が3分の1減額
工事費の条件 補助金等を引いて50万円を超える 補助金等を引いて50万円(税込)を超える
出す先 確定申告(税務署) 家がある市区町村の窓口(工事完了日から3か月以内)

たとえば、浴槽をまたぎ高さの低いものに替え、手すりと入口の段差の解消もする家で、補助金等を引いても50万円を超えるなら、両方を確かめる価値があります。手すりと段差だけで50万円に届かないなら、どちらも使えない可能性が高くなります。

気をつけたいのは、介護保険の給付が、税の「補助金等」として差し引く額に入るかどうかです。入るなら50万円の判定が厳しくなります。この点は、この記事で使った資料からは断言できません。工事の前に、税務署と、固定資産税については、固定資産税を担当する役所の窓口に、「介護保険の住宅改修の給付は差し引く額に入るか」を確かめておくと安心です。固定資産税の申告に必要な書類は、自治体で異なる場合があると資料に書かれています。

浴室の見積は工事の行を分けてもらう

電卓とペン

浴室の見積は、工事の行を「介護保険の名前に当たる工事」「税の言葉に当たる工事」「それ以外」に分けて書いてもらうと、どの制度でいくら戻るかを行ごとに確かめられます。1行で「浴室バリアフリー工事一式」と書かれた見積では、浴槽の取替えが混ざっているのか、手すりと段差だけなのかが読めないからです。

行を分けておくと、事前申請の見積、税の控除の証明書類、固定資産税の申告のたびに、同じ見積を読み直す手間が減ります。介護保険の資料が複数の事業所からの見積を促しているのも、同じ工事の中身を比べて確かめるためです。

  1. 手すりは、取り付ける場所の数と、壁の下地補強が入っているかが別の行にある
  2. 入口の段差は、敷居を低くするのか、浴室の床をかさ上げするのか、方法が書かれ、かさ上げなら給排水設備工事の行が別にある
  3. 床材は、滑りにくいものに変える範囲と、下地の補修の行が分かれている
  4. 扉は、引き戸等への取替えの行と、壁又は柱の改修の行が分かれている
  5. 浴槽の取替えは、介護保険の対象の行とは別に、それだけで1行立っている
  6. 浴室乾燥機・暖房・水栓など、介護保険の名前に出てこない設備が、別の行になっている

たとえば、2社の見積がどちらも「浴室バリアフリー工事一式」の1行だったら、上の6つの行に分けて出し直してもらいます。出し直しを嫌がる業者は、制度の中身を確かめていない可能性があります。見積の頼み方と比べ方の基本は、こちらにまとめています。

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業者に「全部、介護保険の対象です」と言われたら、「どの対象工事の、どの付帯工事に当たるか」を行ごとに書いてもらうのが一番の確かめ方です。自動ドアにするときの動力部分のように、通知が給付の対象外と書いている部分もあります。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

ケアマネジャー経由の業者の見積が、すでに行ごとに分かれているなら、見積サービスは要りません。まだ「浴室バリアフリー工事一式」の1行しか手元になく、介護保険の範囲と補助の範囲を分けて書いてくれる会社が見つからないときは、同じ分け方を頼んで複数社の見積を並べると、戻る額を行ごとに確かめられます。介護保険を使う場合は、見積を頼む前にケアマネジャーへ相談しておくと、事前申請の順番を崩さずに済みます。

ハピすむで見積の分け方を頼んで比べる

補助金を使わない・急がないほうがいい場合

浴室のバリアフリーでは、制度を使うことにこだわるよりも、本人が安全に入浴できる工事を先に決めたほうがよい場面があります。次のような場合は、制度を使わない、あるいは契約を急がない判断も選択肢です。

  • 浴槽の縁に挟む手すりや入浴台、浴室内すのこなど、工事なしで置ける福祉用具で足りる場合(住宅改修の20万円の枠が残ります)
  • 退院の直後などで、本人がどこで、どんな動作で困るかが定まっていない場合
  • 国の補助を受けるためだけに、予定していなかった窓の工事を足そうとしている場合
  • 税の控除の50万円を超えるためだけに、要らない工事を足そうとしている場合
  • 事前申請の前に、「今すぐ始めないと間に合わない」と着工を急かされている場合

20万円の枠は、設定し直されるまでは残りの額でやりくりするため、浴室で使い切ると、あとからトイレや玄関で枠が足りなくなります。国の補助には予算があるので、状況はページ上部の帯で確かめ、補助が受けられなかったときにも納得できる工事かを、補助なしの金額で一度確かめておきます。

反対に、急いだほうがいいのは、すでに浴室で転倒が起きているときや、入浴ができずに困っているときです。その場合も、ケアマネジャーに急ぎであることを伝えて事前申請の段取りを早めてもらい、着工は申請のあとにする、という順番は崩さないでください。

編集部の整理では、判断の順番は「本人が安全に入浴できるか」「その工事が本人の動作に合っているか」「そのうえで制度が使えるか」です。制度は3番目で、1番目と2番目を曲げてまで合わせるものではありません。

よくある質問

介護保険でお風呂のリフォームはできますか?

要介護・要支援の認定を受けた人が住む家なら、手すりの取付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、引き戸等への扉の取替えが住宅改修の対象です。支給限度基準額は20万円で、給付は原則9割です。浴室全体の入れ替えは、見積の行を分けて、この対象の言葉に当たる行があるかを、介護保険の窓口(市区町村)に確かめます。

浴槽だけを新しくする工事は、介護保険の対象ですか?

通知の住宅改修の節には、浴槽の取替えという言葉が出てきません。付帯工事として扱われるかは通知の原文では確かめられないので、見積を取る前に、市区町村の介護保険の窓口かケアマネジャーに確かめてください。税の控除と固定資産税の減額には、浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事が名前で入っています。

浴室の手すりは、買うのと工事して付けるのでどちらがいいですか?

浴槽の縁に挟む手すりは福祉用具の購入、壁に固定する手すりは住宅改修と、別の制度です。置くだけで足りるなら工事が要らず、住宅改修の枠も使わずに済みます。どちらが体に合うかは、ケアマネジャーか作業療法士に、今の動作を見てもらって決めてください。

国の補助金と介護保険は、同じ浴室の工事に両方使えますか?

みらいエコ住宅2026事業の要件書は、補助対象が重複する国の他の補助制度との併用はできないと書いていますが、介護保険という名前は出てきません。同じ工事に重ねられるかは、事業の問い合わせ窓口と市区町村の介護保険の窓口の両方に、工事の中身まで伝えて確かめてください。

浴室の手すりと段差だけで、国の補助は受けられますか?

受けられません。バリアフリー改修は、窓などの断熱改修をした家に行う工事だけが対象で、補助額の合計も5万円以上が条件です。手すり、段差解消、廊下幅等の拡張を3つとも足しても5万円に届かないので、みらいエコで申請する窓などの補助と合わせて判定します。他の事業の交付決定があって下限が2万円になる場合は、廊下幅等の拡張だけでも超えます。

工事を先に頼んでしまいました。介護保険は間に合いますか?

介護保険の住宅改修は工事の前の事前申請が原則です。やむを得ない事情がある場合の事後申請は例外で、市区町村が事情にあたるかを判断します。契約や着工の前なら、ケアマネジャーに今の状況を伝えて、事前申請の順番に戻せるかを相談してください。すでに着工した場合も、まず市区町村の窓口に連絡して事情を伝えます。

見積を見る前のおさらい

  1. 介護保険の住宅改修で浴室に使えるのは、手すり・段差の解消・滑りにくい床材・引き戸等への扉の取替えと、付帯工事。限度額は生涯20万円で、給付は原則9割(所得により8割・7割)
  2. 浴槽の取替えは、通知の住宅改修の対象工事の名前に出てこない。使えるかは市区町村に確かめる。税の控除と固定資産税の減額には、浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事が名前にある
  3. 浴槽の縁に挟む手すりや浴室内すのこは福祉用具の購入、壁に固定する手すりと敷居を低くする工事は住宅改修
  4. 介護保険は工事の前に市区町村へ申請する。ケアマネジャーへの相談が先、業者への発注が後
  5. 国のみらいエコ住宅2026事業は、窓などの断熱改修とセットで、合計5万円以上のときだけ(他の事業の交付決定があれば2万円以上)
  6. 介護保険と国の補助を同じ工事に重ねられるかは、両方の窓口に工事の中身まで伝えて確かめる
  7. 税の控除は補助金等を引いて50万円超の工事、固定資産税の減額は工事完了日から3か月以内に、固定資産税を担当する役所へ申告
  8. 見積は、介護保険の名前に当たる行・税の言葉に当たる行・それ以外に分けてもらう

浴室のバリアフリーは、「浴槽を新しくしたい」という気持ちが先に立ちやすい工事です。けれど、介護保険で動かせるのは手すりと段差、床、扉という小さな工事で、浴槽の取替えは別の物差しで考える部分です。本人が毎日の入浴で一番困っている動作を書き出し、そこに合う工事から順に、制度の言葉に当てはめていくほうが、20万円の枠も手元のお金も、本当に要る工事に回せます。

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この記事を書いた人

リフォーム補助金・見積の窓口編集部です。リフォームの補助金と見積りについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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