屋根塗装の費用は見積で妥当?|スレートとトタンの違い・塗料・助成金

庭のある住宅
補助金の予算はどれくらい残っているか
みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)
12%

2026年11月3日時点の公表値です。申請額が予算に達した時点で受付は終了します。

  • 屋根だけ塗ると、全部でいくらかかるの?
  • 30坪くらいの家だと、屋根塗装の相場はどれくらい?
  • 見積の総額のうち、足場と塗料と手間にそれぞれいくら払っているの?
  • 屋根だけの工事なのに、足場代がこんなにかかるもの?
  • 「高圧洗浄」「ケレン」「縁切り」の行は、本当に要る?
  • 屋根の塗料はどれがいい?うちのセメント瓦やトタンにも塗れる?
  • 屋根塗装は意味がない、という話も聞くけれど本当?
  • 遮熱塗料にすれば、助成金が出るの?

上記のような悩みに答えます。

屋根塗装は、屋根材そのものを替えずに表面を守り直す工事で、屋根の工事の中では金額の小さいほうに入ります。ところが見積を開くと、塗料の代金より足場や洗浄の行のほうが目立ち、業者によって工程の書き方もばらばらなので、高いのか妥当なのかが判断しにくくなります。検索すればAIの要約や塗装店のページが坪数別・塗料別の相場を出してくれますが、手元の見積の行がそれぞれ何のための工事で、どこが削れないのか、スレートとトタンで工程がどう違うのか、塗っても直らない屋根をどう見分けるのかまでは、ほとんど書かれていません。そこで、費用の幅と見積の3つの区分、足場が要る理由という基本を押さえたうえで、屋根材ごとの下地調整と縁切りの行、塗料の選び方、塗装で済まない屋根、遮熱塗装の助成の要件まで、塗料メーカーのカタログ、屋根材メーカーのメンテナンス資料、国土交通省の改修工事の仕様書、労働安全衛生規則、区の助成の要件で確かめながら整理しました。

先に答え

屋根塗装の見積は、足場・下地調整・塗料の3つの区分に分けて読むと妥当かどうかが見えてきます。足場は作業する人の安全のための措置なので削れませんが、外壁の工事と同じ時期にすれば1回で済みます。同じ総額でも、洗浄やさび落とし、スレートやセメント瓦の縁切りが工程表に入っているかで中身が違い、塗料メーカーが対象外としている屋根材や、雨漏りしている屋根は塗装では解決しません。国の住宅省エネの補助は塗装だけでは対象として示されておらず、遮熱塗装の助成は市区町村の制度しだいで、塗料の反射率などの要件があります。

窓や天井の断熱と組んだ場合に国の事業でいくら戻るかは、補助金の計算ツールで確かめられます。

あわせて読みたい
住宅の補助金シミュレーター(先進的窓リノベ・給湯省エネ) 工事の中身を選ぶと、国の補助金でいくら戻るかの目安が出ます。営業から聞いた金額や見積書の補助額と見比べてください。 うちの工事でいくら戻るか 建物 窓の補助額は...

2026年度の制度・2026年10月時点で確かめています

目次

屋根塗装の費用は幅でつかむ

庭のある住宅

屋根塗装の費用は、1つの金額ではなく幅でつかむのが現実的です。屋根の面積と勾配、屋根材の傷み具合、足場が込みかどうか、塗料の種類が重なって総額が決まるので、同じ「屋根塗装」でも家ごとに数倍の差が出るからです。

幅の見当は、パナソニックが公開している外装・屋根リフォームの目安でつけられます。メーカーを勧めるためではなく、屋根塗装と足場とほかの屋根工事を、同じ表で金額と工期まで出している一次の資料だからです。

計算例

パナソニック「外装・屋根・エクステリアのリフォーム費用の相場・目安」(2026年10月14日に確認)。「該当する工事を含むリフォーム事例の費用を集計した参考情報」とされ、調査の時期・件数・屋根の面積は書かれていない。

工事 費用の目安 工期の目安
屋根塗装 約15万〜80万円 約10〜14日
足場仮設・解体 約25万〜40万円(合計) 仮設1日・解体1日
屋根カバー工法(重ね葺き) 約60万〜250万円 約1〜6日
屋根葺き替え 約70万〜260万円 約7〜10日
外壁塗装 約60万〜180万円 約10〜14日

出典:パナソニック「外装・屋根・エクステリアのリフォーム費用の相場・目安」

この表で目を引くのは、足場の目安が屋根塗装の目安の下のほうと重なっていることです。屋根塗装の総額の中で足場が占める割合は小さくなく、屋根の面積が小さい家ほど、足場の比重が大きく見えます。屋根塗装の幅が広いのは、足場を含む見積と含まない見積、下地の補修を含む見積と含まない見積が混ざっているからだと読めます。

「30坪ならいくら」「㎡単価はいくら」と聞かれることも多いのですが、坪数や㎡と金額を結んだ一次の資料は見当たりませんでした。延べ床の坪数と屋根の面積は同じではなく、軒の出や勾配でも屋根の面積は変わるので、坪数だけで答えるのは危うい問いです。見積を見るときは、屋根の面積を何㎡で計算しているかを1行目で確かめ、2社の見積でその面積がそろっているかを比べてください。

たとえば、総額が表の幅の上のほうに見えても、足場と屋根の補修が込みなら、それほど不自然ではないことがあります。反対に、幅の下のほうの総額で「足場別途」と書かれていたら、足場を足した額で比べ直します。表は手元の見積の金額を当てはめる答えではなく、どの行が入っていて、どの行が抜けているかを確かめる物差しとして使います。

見積は足場・下地・塗料の3つに分ける

屋根塗装の見積は、足場、下地調整、塗料と塗装の手間の3つに分けると読めるようになります。業者ごとに行の名前は違っても、屋根を塗る工事でお金がかかる場所はこの3つにほぼ収まるからです。

この分け方は、区の助成の書類が求める区分ともよく重なります。杉並区の高日射反射率塗装の助成では、対象になる経費を材料費、塗装工事の施工費、高圧洗浄費、足場や養生の仮設工事費に分けて示していて、葛飾区も見積書の写しに塗料の費用と工事費用がそれぞれ分かるものを求めています。行が分かれた見積は、助成を使うかどうかに関係なく、比べやすい見積です。

区分 見積に出てくる行の例 見るところ
足場 足場の組み立て・解体、飛散防止のネット、養生 屋根だけか、外壁と共用か
下地調整 高圧洗浄、ケレン、さび止め、下塗り、縁切り 屋根材に合った工程が入っているか
塗料と塗装 中塗り・上塗りの塗料名、塗る回数、屋根の面積 塗料の品名と回数、面積がそろっているか

3つに分けると、2社の見積の差がどこから来ているかが見えます。塗料の行は品名が分かれば値段の見当がつきやすいのに対し、下地調整の行は「どこまで手をかけるか」の見立てで金額が動くので、差が出やすいのはたいてい下地調整です。

たとえば、A社の見積は「屋根塗装一式」と「足場一式」の2行、B社は洗浄、ケレン、下塗り、中塗り、上塗り、縁切りまで行が分かれていたとします。A社のほうが安く見えても、下塗りの回数や縁切りの有無が書かれていなければ、比べているのは同じ工事ではありません。A社にも同じ区分で書き直してもらい、行ごとに「含む・別途・記載なし」の印を付けると、本当の差が見えてきます。

屋根の工事全体の見積の行の読み方や、同じ条件書で複数社に頼む方法は、別の記事にまとめています。

あわせて読みたい
リフォームの見積もりはどう取る?|見積書の見方・相見積の頼み方・補助金の欄 リフォームの見積もりは、概算・現地調査・本見積の順に進みます。相見積は同じ条件書を渡して頼み、見積書は「一式」と諸経費を分けて読みます。補助金を使うときに見積書へ書いてもらう型番・性能区分・サイズと還元方法まで整理しました。

屋根だけでも足場代がかかる理由

屋根だけを塗る工事でも、足場の行は原則として削れません。足場は作業する人の墜落を防ぐための措置で、業者には安全の手当てが義務として求められているからです。

労働安全衛生規則の(作業床の設置等)では、高い場所で墜落のおそれがある作業をするとき、事業者は足場を組み立てるなどの方法で作業床を設けなければならず、それが難しいときは防網を張り、墜落制止用器具を使わせるなどの措置が求められています。(スレート等の屋根上の危険の防止)では、スレートなどでふかれた屋根の上で踏み抜きのおそれがあるときに、歩み板を設け、防網を張る措置を求めています。屋根塗装は、まさに高い場所で、スレートの屋根の上を歩きながら行う作業です。

  • 足場は作業する人の安全のための措置で、施主の都合では外せない
  • 足場の行には、組み立て・解体・運搬に加え、塗料の飛散を防ぐネットや養生が入ることが多い
  • 外壁の塗装やコーキングと同じ時期にすれば、足場は1回で済む
  • 足場を組まない提案なら、墜落と踏み抜きをどう防ぐのかを具体的に聞く

足場代を減らす現実的な方法は、足場を外すことではなく、足場を使う工事をまとめることです。パナソニックの目安でも、外壁と屋根を別々の時期に工事すると、足場の設置と解体がそれぞれ必要になるとしています。屋根だけ先に塗り、数年後に外壁を塗るなら、足場の行が2回分かかる計算になります。

たとえば、屋根の色あせと同時に外壁の目地のひび割れも気になり始めている家なら、「屋根だけ」と「屋根と外壁を同じ足場で」の2通りの見積をもらうと、総額と足場の行の変わり方が比べられます。外壁の目地の直し方は、別の記事で整理しています。

あわせて読みたい
外壁のコーキングは打ち替えか増し打ちか?|費用・時期・自分でできる範囲 外壁のコーキング(シーリング)を打ち替えか増し打ちかで迷ったときの見分け方。傷みの見方、サイディング目地と窓まわりの違い、塗装できる材料、見積書のm数と工法名の確かめ方、自分でできる範囲を国の標準仕様書と業界団体の資料で整理しました。

反対に、外壁を数年前に塗り替えたばかりで、屋根だけが傷んでいる家なら、屋根単独の見積で進めるのが自然です。その場合は、足場の行を削る交渉より、足場の範囲が屋根の作業に必要なところに絞られているかを聞くほうが筋の通った確かめ方です。

下地調整の行で仕上がりが変わる

改装中の部屋

屋根塗装の見積で、業者ごとの差がいちばん大きく出るのは下地調整の行です。塗料は、汚れやさび、浮いた古い塗膜の上に塗っても密着せず、早くはがれてしまうので、塗る前の手間が仕上がりともちを左右するからです。

下地調整には、汚れやコケを落とす洗浄、古い塗膜やさびを削り落とすケレン、塗料を密着させるための下塗りがあります。どこまで削るかには段階があり、国土交通省の公共建築の改修工事の仕様書では、鉄の面の下地調整を、古い塗膜やさびを全面的に取り除く段階と、劣化して弱った部分やさびだけを取り除いて、しっかり付いている塗膜は残す段階などに分け、指定がなければ後者としています。公共建築の仕様なので住宅にそのまま当てはまるとは限りませんが、「どこまで削るか」が工事の手間と金額を分けることがよく分かる区分です。

計算例

国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」7章2節 下地調整(2026年10月14日に確認)。鉄鋼面の下地調整は、RA種=ディスクサンダー、スクレーパー等により塗膜・錆等を全面除去/RB種=劣化しぜい弱な部分・錆等を除去し、活膜は残す/RC種。種別は特記により、特記がなければRB種。RB種で既存塗膜の除去範囲に特記がなければ、劣化部分は除去し、活膜部分は残す。※公共建築の改修工事の仕様で、住宅の工事にそのまま当てはまるとは限らない。

出典:国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」

施主が見積で確かめたいのは、下地調整が「一式」ではなく、洗浄、ケレン、下塗りの行に分かれて書かれているかです。とくに下塗りは、屋根材と塗料の組み合わせで使う材料が決まっていて、塗料メーカーのカタログには、屋根材ごとに下塗りの材料と回数、塗り重ねまでに空ける時間が書かれています。工程を飛ばしたり、乾く前に次を塗ったりすると、はがれや膨れの原因になります。

たとえば、2社の見積で総額がほぼ同じでも、A社は「高圧洗浄・下塗り」、B社は「高圧洗浄・ケレン・下塗り(回数つき)」と書いていたとします。B社は傷みの強い面を見立てて手を厚くしているのかもしれませんし、A社の見立てで足りる屋根なのかもしれません。どちらが正しいかは屋根の状態で決まるので、両社に「下地の状態をどう見て、なぜその工程にしたか」を写真つきで聞くと、判断の材料がそろいます。

下地調整は、塗り終わると見えなくなる工事です。だからこそ、工程ごとの写真を残してもらう約束を見積の段階でしておくと、払ったものが何だったのかを後から確かめられます。

スレートとセメント瓦は縁切りを見る

化粧スレートやセメント瓦の屋根を塗る見積では、「縁切り」の行があるかを確かめます。屋根材の重なりのすき間が塗料でふさがると、入り込んだ雨水の逃げ道がなくなり、かえって雨漏りの原因になるからです。

スレートやセメント瓦は、屋根材を少しずつ重ねて葺いてあり、その重なりのすき間から入った水は、下の防水紙の上を流れて軒先へ抜けていきます。塗装でこのすき間が埋まると、水が抜けずにたまります。日本ペイントの屋根用塗料のカタログでは、水切り部で化粧スレートの上下の重なりが塗料で詰まっている所は縁切りを行うとし、詰まっていると漏水の原因になると書いています。ロックペイントの下塗材のカタログも、セメント系の瓦で重なりに塗料が付いていると漏水の原因になるので、必ず塗料を除去して縁切りを行うとしています。

スレート屋根の塗り替えの工程(カタログの例)
  1. 1洗う高圧水洗でコケ・汚れ・劣化した塗膜を落とす
  2. 2乾かす水洗いのあと十分に乾燥させる
  3. 3下塗り屋根材と塗料に合ったシーラーを塗る
  4. 4上塗りカタログの回数どおりに塗り重ねる
  5. 5縁切り重なりのすき間をふさいだ塗料を取り除く

出典:日本ペイント「ニッペシリコンルーフⅡ」カタログ/ロックペイント「ロック水性プロテクトルーフ サフ・シーラー」カタログ

見積に縁切りの行がまったく無いときは、どうやってすき間を確保するのかを聞いてください。

たとえば、スレートの屋根で、A社の見積に「縁切り」の行があり、B社には無かったとします。B社が安く見えても、すき間をふさいだまま塗り終われば、数年後に雨染みとして表に出てくることがありえます。縁切りは目立たない行ですが、屋根塗装が雨漏りの原因にならないための工程です。

セメント瓦を塗る場合は、もう1つ確かめたいことがあります。ロックペイントのカタログでは、露出している瓦の素地が脆弱な場合は、はがれの原因になるので塗装しないとし、瓦の張り替えを勧めています。表面がぼろぼろと崩れるような瓦なら、塗料選びの前に、塗ってよい状態かどうかを業者に見てもらいます。

トタン屋根はさびの落とし方で決まる

トタンや鋼板の屋根を塗る見積では、さびをどう落とし、何で止めるかの行が中心になります。さびの上から塗っても、塗膜の下でさびが進み、塗料ごと浮いてはがれてしまうからです。

日本ペイントの屋根用塗料のカタログでは、鋼板屋根・トタン屋根の塗り替えで、浮いた古い塗膜やさびをワイヤーブラシやケレン棒で取り除き、トタンの素地が見えている所やさびの出ている所は、ケレンのあとに必ずさび止めの塗料を塗るとしています。さび止めの下塗りを入れてから、上塗りを重ねる順番です。

  • ケレン:浮いた塗膜とさびを、手工具や電動工具で落とす。どこまで落とすかで手間が変わる
  • さび止め:素地が見えた所、さびの出ていた所に塗る。ここを省くと、さびが塗膜の下で進む
  • 上塗り:さび止めが乾いてから、カタログの回数どおりに重ねる
  • 穴あき:塗装では埋まらない。部分的な張り替えか、屋根全体の工事を考える

さびが表面だけなら、ケレンとさび止めで塗り替えの効果が期待できます。一方で、さびが進んで穴があいた部分は、塗装では雨を止められません。その場合は板金の部分的な交換や、屋根全体の工事を並べて考えます。屋根の工事全体の費用の幅と、カバー工法や葺き替えの見積の読み方は、別の記事で整理しています。

あわせて読みたい
屋根修理の費用はいくら?|見積の内訳・足場代・補助金が使える工事 屋根修理の費用を、メーカーが公開している工事別の目安と見積の行で確かめる手順。足場・下地・材料・板金・処分・諸経費の読み方、漆喰や棟板金の部分補修で済む条件と済まない条件、開けてから増える費用の決め方、補助金が使える屋根の工事まで整理しました。

たとえば、トタン屋根の見積で、A社は「ケレン一式・さび止め・上塗り」、B社は「上塗り」だけだったとします。B社のほうが安くても、さび止めが無いのは、さびの多い屋根では大きな差になりえます。B社に「さびの部分はどう処理するのか」を聞き、答えを見積の行に書き足してもらうと、比べる土台がそろいます。

なお、同じカタログでは、塩化ビニルで表面を仕上げた鋼板の上への塗装は避けるよう注意しています。屋根の鋼板の種類が分からない場合は、家を建てた会社の図面や仕様書を見るか、業者に塗ってよい鋼板かどうかを確かめてもらってください。

屋根の塗料は屋根材と工程表で選ぶ

電卓とノートパソコン

屋根の塗料は、塗料の名前やランキングではなく、自分の屋根材に使える塗料かどうかと、カタログどおりの工程で塗られるかで選びます。どれほど耐久性の高い塗料でも、屋根材に合わない下塗りの上では密着せず、性能を発揮できないからです。

塗料の種類について、パナソニックはアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素の順に高価になり、紫外線などへの耐久性も強くなると説明しています。ただし、それぞれが何年もつかという年数は、確かめた塗料メーカー2社のカタログには書かれていませんでした。年数は、屋根の向きや日当たり、地域の気候、下地調整の丁寧さでも変わるので、「この塗料は◯年もちます」という説明を聞いたら、その年数の出どころを聞いておくと安心です。

屋根材によっては、そもそも塗らない屋根もあります。日本ペイントの屋根用塗料のカタログでは、いぶし瓦や釉薬瓦などの粘土瓦には使わないとし、ロックペイントの下塗材のカタログでも、陶器瓦と、乾式のコンクリート瓦(モニエル瓦・スカンジア瓦)には使えないとしています。一方で、セメント瓦やスレート瓦、化粧スレートは、同じカタログで塗り替えの対象に挙がっています。どちらも1社の1製品の条件ですが、「瓦ならどれでも塗れる」わけではないことは押さえておきたいところです。

計算例

日本ペイント「ニッペシリコンルーフⅡ」カタログ(2014年6月現在・2026年10月14日に確認)の標準塗装仕様(塗り替え)。鋼板屋根・トタン屋根=下地調整→下塗り(さび止め系)1回→上塗り2回。住宅用化粧スレート屋根・波形スレート屋根=下地調整(高圧水洗のあと翌日まで乾燥)→下塗り(シーラー)1〜2回→上塗り2回→縁切り。気温5℃未満、湿度85%以上のときは塗装を避ける。粘土瓦(いぶし瓦・釉薬瓦など)には使わない。洋風コンクリート瓦は別途相談。ロックペイント「ロック水性プロテクトルーフ サフ・シーラー」カタログ(2024.2)=住宅用化粧スレート・スレート瓦・セメント瓦の塗り替え用の下塗材。陶器瓦・乾式コンクリート瓦(モニエル瓦・スカンジア瓦)・金属製屋根には使えない。

この工程から分かるのは、見積で塗る回数を確かめるときは、下塗りと上塗りを分けて数える必要があることです。「3回塗り」と書かれていても、下塗りが何回で上塗りが何回なのか、下塗りの材料は屋根材に合ったものかは、塗料名を見ないと分かりません。

遮熱塗料を選ぶ場合は、日本塗料工業会が2つの物差しを示しています。1つは同会の遮熱基準と登録品で、室内に入る熱の割合を表す数値と★の数で選べ、登録品は商品カタログや容器に記載されています。もう1つは、JIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」で、日射反射率や耐久性などの品質が定められています。

計算例

日本塗料工業会「遮熱塗料」リーフレット2025(2026年10月14日に確認)。遮熱性能の★の区分は、★=日射侵入比0.8〜0.6(色合いは濃い)、★★=0.6〜0.4(中間)、★★★=0.4以下(明るい)。日射侵入比は室内に入ってくる熱の割合を表す数値。

出典:日本塗料工業会「遮熱塗料」

この区分から分かるのは、同じ遮熱塗料でも、濃い色ほど★が少なくなりやすいことです。屋根の色を濃いまま保ちたいのか、明るくしてでも暑さを抑えたいのかで、選ぶ塗料と色が変わります。見積に塗料の品名と色番号を書いてもらい、カタログの性能の欄と照らしてください。

たとえば、2社が同じシリコン系の塗料名を書いていても、A社は屋根材に合わせた下塗りを品名と回数つきで、B社は下塗りの品名が書かれていない、ということがあります。塗料の格より先に、塗料名・下塗りの材料・回数・屋根の面積の4つがそろった見積かどうかを見るほうが、比べる意味のある違いが見つかります。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

屋根塗装の見積は、足場・下地調整・塗料の行がそろっているか、下塗りの品名と塗る回数、縁切りやさび止めの扱いまで書かれているかで比べやすさが変わります。屋根材の種類と面積、同じ塗料の条件を伝えて、複数の業者から見積を取ってください。屋根・外壁の業者をまとめて紹介してもらえる無料のサービスもあります。

ヌリカエで屋根塗装の見積を比べる

塗装では直らない屋根もある

「屋根塗装は意味がない」と言われることがあるのは、塗装で解決できない傷みに塗装を当てる場合があるからです。塗装は屋根材の表面を守り直す工事で、雨漏りや屋根材の割れ、下地の腐れを直す工事ではありません。

屋根材メーカーのケイミューは、自社の化粧スレートのメンテナンスの案内で、雨漏りは再塗装では直らないとし、雨漏りが起きたら雨漏りの箇所を特定して処置するよう書いています。同じ案内では、表面の色が薄くなっても屋根材としての基本の性能に問題はなく、美観を保ちたいときに再塗装をする、という位置づけです。棟の板金を留める木材が腐っていれば、再塗装のときに取り替えるよう求めています。

塗装で守れる屋根と、塗装では直らない屋根
塗装を考えてよい

  • 色あせ・汚れ・コケが中心
  • 板金のさびが表面だけ
  • 屋根材の割れが少なく、差し替えで直る
  • 屋根材が塗装の対象に入っている
塗装の前に別の工事を考える

  • 雨漏りや天井の雨染みがある
  • 板金に穴があいている
  • 屋根材の素地がぼろぼろと崩れる
  • 陶器瓦・モニエル瓦などカタログで対象外

出典:ケイミュー「住宅外まわりのメンテナンスについて(カラーベスト)」

雨漏りや割れがあって、塗る前に直す工事が要る屋根を、瓦・スレート・金属のどの会社に見てもらい、修理の見積をどうそろえて比べるかは、屋根修理の頼み先の記事で整理しています。

あわせて読みたい
屋根修理はどこに頼む?瓦とスレートの直し方・見積の比べ方・補助金の条件 屋根の修理って、そもそもどこに頼めばいいの?瓦屋根は瓦屋さんに頼むべき?リフォーム会社でもいい?部分的な補修で済むのか、全部やり替えなのか分からない塗装で済...

「屋根塗装は何年ごとにするべきか」もよく聞かれますが、屋根材と環境で変わるので、年数だけでは決まりません。参考になるのは、屋根材メーカーが自社製品について示しているモデルケースです。

計算例

ケイミュー「住宅外まわりのメンテナンスについて(カラーベスト・コロニアルクァッド)」2024年7月現在(2026年10月14日に確認)。メンテナンススケジュールのモデルケースでは、築10年目のメンテナンスのあとは10年毎の定期メンテナンス(再塗装・取替え等の大規模な補修も想定)。住宅の地域・環境・使用条件で劣化の進み方は異なり、あくまで目安で、時期と内容を保証するものではない、とされている。

これは1社の1製品の目安で、ほかの屋根材や塗料にそのまま当てはめるものではありません。年数より先に、地上から見える色あせやコケ、板金のさび、天井の雨染みといった状態で、塗装の時期かどうかを判断するのが確かです。メーカーは、施主が自分で屋根に登ったり塗ったりしないよう注意しています。

古い化粧スレートには、石綿(アスベスト)を含むものがあります。厚生労働省は、リフォームや修繕などの改修工事では、工事の対象となる部材に石綿が含まれているかを事前に調べることを工事の受注者に義務づけています。屋根塗装の洗浄やケレンがどう扱われるかは、見積の段階で業者に聞き、調べた記録を見せてもらってください。

たとえば、雨の日に天井の染みが広がる家で、屋根塗装の見積だけを比べるのは順番が逆です。雨の入り口を突き止める調査を先に頼み、塗装で済むのか、板金や下地の工事が要るのかを決めてから塗装の見積を取ります。雨漏りの原因の探し方と頼み先は、別の記事で整理しています。

あわせて読みたい
雨漏り修理はどこに頼む?原因の探し方・見積の比べ方・保険の確かめ方 天井にしみが出てきた。雨漏り修理は、どこに頼めばいいの?屋根屋さん、塗装屋さん、リフォーム会社。何屋さんに電話すればいい?建ててからまだそれほどたっていない...

出典:厚生労働省「改修工事に対する石綿対策の規制が強化されています」

屋根塗装の助成は遮熱の要件で決まる

屋根の塗り替えだけの工事は、国の住宅省エネ2026キャンペーンの補助の対象として示されていません。国土交通省のみらいエコ住宅2026事業のリフォームで公式が示している対象は、躯体(床・壁・天井)の断熱改修を含む幅広いリフォーム工事で、塗装だけの工事はそこに挙がっていないからです。

屋根まわりで国の補助が関係してくるのは、天井などの断熱改修を含む工事に組み込む場合です。対象になる組み合わせと、屋根の工事で補助が使える範囲は、屋根修理の費用の記事で整理しています。

あわせて読みたい
屋根修理の費用はいくら?|見積の内訳・足場代・補助金が使える工事 屋根修理の費用を、メーカーが公開している工事別の目安と見積の行で確かめる手順。足場・下地・材料・板金・処分・諸経費の読み方、漆喰や棟板金の部分補修で済む条件と済まない条件、開けてから増える費用の決め方、補助金が使える屋根の工事まで整理しました。

一方、遮熱塗料での塗装は、市区町村が独自に助成していることがあります。日本塗料工業会も、遮熱塗装は地方自治体の助成金制度の対象になる場合があるとしています。ただし、制度ごとに対象になる塗料の反射率の下限が決められていて、どの塗料でもよいわけではありません。要件を原文で確かめた2つの区の例を挙げます。

計算例

杉並区「【エコ住宅促進助成】高日射反射率塗装」(ページの更新日2026年4月3日・2026年10月14日に確認)。日射反射率の測定値が近赤外線領域において50%以上の塗料・塗料色で、既存住宅に施工すること。居室の上の屋根(立ち上がり部分を含む)、屋上、外壁が対象。既存の屋根の上に金属部材等を被せる施工(カバー工法・重ね葺き等)は対象外。助成対象経費は材料費、工事施工費(塗装工事のみ)、高圧洗浄費、仮設工事費(足場設置費・養生費)。カタログ等で要件を確かめられないときは、第三者機関の性能証明書と色見本を出す。出荷証明書と塗装前後のカラー写真が要る。葛飾区「高反射率塗装(個人住宅)」令和8年度(2026年10月14日に確認)。日射反射率(近赤外線波長領域)が70%以上(又は同等以上の性能)であること。申込時に、事前協議書、塗料の費用と工事費用がそれぞれ分かる見積書の写し、納税証明書の原本(賃貸住宅などでは所有者の同意書も)、塗料の名称・色・日射反射率が分かるメーカーのカタログ等の写し、施工前の写真。完了報告で施工後の写真と、塗料の空き缶の写真又は出荷証明書。

出典:杉並区「【エコ住宅促進助成】高日射反射率塗装」/葛飾区「高反射率塗装(個人住宅)」

2つの区を並べると、反射率の下限が区によって違うこと、下限は塗料の種類ではなく「塗料と色」の組み合わせで見られること、カタログや出荷証明、塗装前後の写真といった書類が要ることが分かります。同じ遮熱塗料でも、濃い色を選ぶと反射率が下限に届かないことがあるので、色を決める前に要件を確かめる必要があります。杉並区のようにカバー工法を対象外とする制度もあるので、塗装かカバー工法かで迷っている段階なら、その点も要綱で見ておきます。

ほかの市区町村の制度は、住所と要綱で確かめるしかありません。住宅リフォームの支援制度の探し方と、要綱で確かめる項目は、別の記事で整理しています。

あわせて読みたい
市区町村のリフォーム補助金はいくら?住所で調べる手順・国との併用・要綱の見方 うちの市区町村にも、リフォームの補助金はあるの?あるとしたら、いくら出るの?どこで調べればいい?市のホームページを見ても、どのページを読めばいいか分からない...

外壁塗装の助成の考え方は、屋根とほぼ同じ構造です。外壁も一緒に塗る計画なら、あわせて確かめてください。

あわせて読みたい
外壁塗装の助成金はいくら?国と市の違い・対象条件・探し方・申請の順番 外壁塗装で補助金がもらえるって、本当なの?塗り替えだけの工事でも、国の補助金は出る?うちの県や市に、外壁の助成金はあるの?どこで調べればいい?営業に「断熱の...

たとえば、住んでいる区に遮熱塗装の助成があり、見積の塗料が遮熱塗料だったとします。その場合は、塗料の品名と色番号を業者に聞き、カタログの日射反射率が要綱の下限を超えているか、出荷証明を出してもらえるか、申込みが着工の前に要るかの3つを、契約の前に確かめます。

出典:日本塗料工業会「遮熱塗料」/住宅省エネ2026キャンペーン公式/みらいエコ住宅2026事業 公式サイト

補助金を使わない・急がないほうがいい場合

屋根塗装では、助成を受けるために塗料や色を変えることや、受付の期限に合わせて急ぐことが、かえって損になる場面があります。次のような場合は、助成を使わない、あるいは契約を急がない判断も選択肢です。

  • 雨漏りがあるのに、助成の受付を待って修理を先延ばしにする場合
  • 反射率の下限に届かせるためだけに、望まない明るい色に変えようとしている場合
  • 「遮熱塗料なら国の補助が出る」と言われ、要綱を見ないまま塗料のグレードを上げようとしている場合
  • 縁切りやさび止めの行が見積に無いまま、助成の期限を理由に契約を急かされている場合
  • 外壁の塗り替えも近いのに、屋根だけ先に塗って足場を2回組むことになる場合

雨漏りがある屋根は、放っておくと防水紙の下の木材まで水が回り、直す範囲が広がります。助成で戻る額より、遅れて増える工事のほうが大きくなりかねないので、雨漏りがあるなら原因の調査と修理を先にします。国の事業の交付申請は事業者が行い、受付は予算の上限に達するまで、遅くとも2026年12月31日までなので、国の補助を組む計画なら予算の状況はページ上部の帯で確かめ、補助が受けられなかったときにも納得できる金額かを、補助なしの総額で一度確かめておくと安心です。

反対に、色あせだけで雨染みもさびの穴もない屋根なら、急いで契約する理由は小さく、外壁の工事と時期をそろえて足場を1回にする計画を立てる時間があります。

編集部の整理では、判断の順番は「塗装で直る屋根か」「屋根材に合う塗料と工程が見積に書かれているか」「そのうえで、遮熱の助成の要件に無理なく合うか」です。助成は3番目で、1番目と2番目を曲げてまで合わせるものではありません。

よくある質問

屋根の塗装は何年ごとにするべきですか?

屋根材の種類、日当たり、地域の気候、前回の下地調整の丁寧さで変わるので、年数だけでは決まりません。屋根材メーカーが自社製品について示している目安はありますが、ほかの屋根材にそのまま当てはまるものではありません。色あせやコケ、板金のさび、天井の雨染みといった状態を地上から見て、塗装の時期かどうかを業者に見てもらってください。

30坪や40坪の家だと、屋根塗装の相場はいくらですか?

坪数と金額を結んだ一次の資料は見当たらず、延べ床の坪数と屋根の面積は同じではないので、坪数だけでは答えられません。メーカーが公開している工事別の目安で幅をつかみ、手元の見積が屋根の面積を何㎡で計算しているか、足場と下地調整が込みかを確かめてください。

屋根塗装は意味がないというのは本当ですか?

色あせや汚れが中心の屋根なら、塗装で表面を守り直す意味はあります。一方で、雨漏りは再塗装では直らず、素地が崩れる瓦や、陶器瓦のように塗料メーカーが対象外とする屋根材もあります。塗装で済む屋根かどうかを先に確かめるのが大切です。

遮熱塗料で塗れば、助成金は出ますか?

国の住宅省エネ2026キャンペーンでは、塗装だけの工事は補助の対象として示されていません。市区町村が遮熱塗装を独自に助成している場合はありますが、塗料と色の日射反射率に下限があったり、カバー工法が対象外だったりと、要件は制度ごとに違います。住所の制度を要綱で確かめてから、塗料と色を決めてください。

屋根だけ塗るのと、外壁と一緒に塗るのはどちらが得ですか?

外壁も近いうちに塗る予定なら、同じ足場で一度に工事するほうが、足場の行が1回分で済みます。外壁を塗ったばかりなら、屋根単独で進めるのが自然です。迷うときは、屋根だけの見積と、屋根と外壁を同じ足場で行う見積の2通りを取り、足場の行と総額の変わり方を比べてください。

古いスレート屋根に石綿があると、塗装できませんか?

石綿を含むかどうかは見た目では分からず、事前の調査で確かめることになります。リフォームや修繕などの改修工事では、工事の対象になる部材の石綿の有無を事前に調べることが受注者に義務づけられているので、洗浄やケレンをどう扱うかを見積の段階で業者に聞き、調べた記録を見せてもらってください。

見積を見る前のおさらい

  1. 屋根塗装の費用は幅でつかむ。公開されている目安は調査の条件が書かれておらず、見積の行を確かめる物差しとして使う
  2. 見積は足場・下地調整・塗料と塗装の3つに分け、「含む・別途・記載なし」の印を付けて比べる
  3. 足場は作業する人の安全のための措置で、屋根だけでも原則として削れない。外壁と時期をそろえれば1回で済む
  4. 下地調整は洗浄・ケレン・下塗りの行に分かれているかを見て、工程ごとの写真を約束しておく
  5. スレートとセメント瓦は縁切りの行を、トタンはさび落としとさび止めの行を確かめる
  6. 塗料は屋根材に使えるかと工程表で選ぶ。陶器瓦やモニエル瓦は、確かめたカタログでは対象外なので、使える塗料があるかをメーカーに確かめる
  7. 雨漏りは再塗装では直らない。素地が崩れる屋根や穴のあいた板金は、塗装の前に別の工事を考える
  8. 国の住宅省エネの補助は塗装だけでは対象として示されていない。遮熱塗装の助成は市区町村の要件(反射率の下限・対象外の工事・書類)で決まる
  9. 助成のために色や工程を曲げたり、急いだりしない。雨漏りがあるなら修理が先

屋根塗装の見積は、塗り終わると見えなくなる工事に払う約束です。総額の高い安いで決めるより、足場・下地調整・塗料のどこにお金がかかっていて、屋根材に合った工程が紙の上に書かれているかを確かめるほうが、家族にも説明しやすく、数年後に後悔しにくくなります。塗装で直る屋根かを先に見極め、足場を使う工事をまとめる時期を考え、遮熱の助成は要件に無理なく合うときにだけ上乗せとして考える。その順番で見積に向き合えば、営業の言う金額も落ち着いて確かめられます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

リフォーム補助金・見積の窓口編集部です。リフォームの補助金と見積りについて、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

目次