2026年11月3日時点の公表値です。申請額が予算に達した時点で受付は終了します。
- 屋根修理って、全部でいくらかかるの?
- 部分補修と葺き替えでは、どれくらい違う?
- 見積の総額のうち、何にいくら払っているのか分からない
- 足場代って、こんなにかかるもの?はしごでできないの?
- 「下地補修」「防水紙」「棟板金」の行は、本当に要る?
- 漆喰の補修や瓦の差し替えだけで済ませられない?
- 開けてから「下地が腐っていた」と言われたらどうなるの?
- 屋根修理に使える補助金はある?
上記のような悩みに答えます。
屋根修理の費用は、同じ家でも「どこまで直すか」で一桁変わります。検索するとAIの要約や屋根業者のページが工事別・坪数別の金額を表にしてくれますが、手元の見積に並ぶ足場、防水紙、棟板金、処分費、諸経費が、それぞれ何のための工事で、どこまでなら削ってよいのかまでは、ほとんど書かれていません。そこで、工事の大きさごとの費用の幅、見積の行の読み方、足場が要る理由という基本を押さえたうえで、部分補修で済む屋根と済まない屋根の線引き、開けてから増える費用の決め方、補助金が使える屋根の工事まで、メーカーの施工条件、国土交通省の標準仕様書と通知、労働安全衛生規則、みらいエコ住宅2026事業の要件書で確かめながら整理しました。
屋根修理の費用は、部分補修・塗装・カバー工法・葺き替えのどれになるかでまず決まり、見積は足場・下地・材料・役物と板金・処分・諸経費の6つの行に分けて読むと、高い安いの理由が見えます。足場は作業する人の安全のための措置で、原則として削れませんが、外壁の工事と同じ時期にすれば1回で済みます。今の屋根の上に重ねるカバー工法は下地が健全なことが前提で、雨漏れや野地板の腐れ・たわみ、軒先の垂れがあれば重ねられず、傷みの範囲しだいで下地の補修や葺き替えを考えます。みらいエコ住宅2026事業の補助は屋根の修理そのものには出ず、屋根・天井の断熱改修を窓の改修と組むときだけ対象になります。
窓と屋根・天井の断熱を組んだ場合に国の事業でいくら戻るかは、補助金の計算ツールで確かめられます。

2026年度の制度・2026年10月時点で確かめています
屋根修理の費用は工事の大きさで決まる

屋根修理の費用は、屋根の広さより先に、工事の大きさで決まります。棟の板金を1本留め直すのと、屋根全体を新しくするのとでは、同じ「屋根修理」でも触る範囲がまったく違うからです。
工事の大きさは、小さい順に部分補修、塗装、カバー工法、葺き替えの4つに分かれます。部分補修は傷んだ場所だけを直し、塗装は表面を守り直し、カバー工法は今の屋根の上に新しい屋根をかぶせ、葺き替えは今の屋根材をはがして下地から新しくします。どの工事が向くかの考え方と依頼先は、別の記事にまとめています。

ここでは費用の幅を、パナソニックが公開している外装・屋根リフォームの目安でつかみます。メーカーを勧めるためではなく、工事ごとの金額と工期、部分補修の単価まで同じ表で出している一次の資料だからです。
パナソニック「外装・屋根・エクステリアのリフォーム費用の相場・目安」(2026年10月13日に確認)。「該当する工事を含むリフォーム事例の費用を集計した参考情報」とされ、調査の時期・件数・屋根の面積は書かれていない。
| 工事 | 費用の目安 | 工期の目安 |
|---|---|---|
| 屋根塗装 | 約15万〜80万円 | 約10〜14日 |
| 屋根カバー工法(重ね葺き) | 約60万〜250万円 | 約1〜6日 |
| 屋根葺き替え | 約70万〜260万円 | 約7〜10日 |
| 野地板張り増し | 工法により異なる | 約1〜2日 |
| 棟板金の補修・交換 | 約5,000〜12,000円/m | 約1〜2日 |
| 瓦の差し替え・交換 | 約5,000〜30,000円/枚 | 規模により1日〜数日 |
| 漆喰補修 | 約2,200〜7,000円/m | 約1〜2日 |
| 足場仮設・解体 | 約25万〜40万円(合計) | 仮設1日・解体1日 |
出典:パナソニック「外装・屋根・エクステリアのリフォーム費用の相場・目安」
この表を見て気づくのは、カバー工法と葺き替えの幅が、下と上で数倍も開いていることです。屋根の面積、勾配の急さ、使う屋根材、下地をどこまで替えるか、足場が込みかどうかがすべて混ざった数字なので、うちの屋根の金額としては使えません。使い道は、手元の見積が「どの工事の、どのあたりにいるか」を確かめる物差しです。
たとえば、営業から「棟板金の交換だけで済みます」と言われたのに、見積の総額がカバー工法の幅に入っているなら、足場や下地の行が足されていないかを見ます。反対に、葺き替えと聞いたのに塗装の幅に近い総額なら、下地や処分の行が「別途」になっていないかを確かめます。坪数で「20坪ならいくら」と聞かれることも多いのですが、坪数と金額を結んだ一次の資料は見当たらず、同じ坪数でも屋根の形と勾配で面積が変わるので、坪数だけで答えるのは危うい問いです。
一軒家の屋根を「いつ直すか」も、年数より屋根の状態で決まります。総額を比べる前に、まずどの工事の見積なのかを1行目で確かめるところから始めてください。
見積の行は6つに分けて読む
屋根修理の見積は、足場、下地、材料、役物と板金、処分、諸経費の6つの行に分けると読めるようになります。業者ごとに書き方はばらばらでも、屋根の工事でお金がかかる場所はこの6つにほぼ収まるからです。
屋根の工事は、屋根材そのものより、その下と周りにお金がかかります。雨を最後に止めている防水紙と、それを支える野地板が「下地」で、屋根のてっぺんの棟、屋根と壁の取り合い、谷になった部分を包む金属の部材が「役物」と「板金」です。ここが雨の入り口になりやすいので、見積の中でも行が細かく分かれます。
| 見積の行 | 何のための工事か | 見るところ |
|---|---|---|
| 足場 | 作業する人の墜落を防ぐ | 屋根だけか、外壁と共用か。飛散防止のネットを含むか |
| 下地 | 防水紙・野地板で雨を止める | 張り替えか、張り増しか、補修か。範囲は全面か一部か |
| 材料 | 屋根材・塗料そのもの | 品番、色、塗料なら塗る回数 |
| 役物と板金 | 棟・けらば・谷・壁際の雨仕舞 | 交換か、再塗装か。中の下地木材を替えるか |
| 処分 | はがした屋根材・廃材の運搬と処分 | 量の単位。石綿の調査と処分が別か |
| 諸経費 | 現場管理・運搬・保険など | 何を含むかの説明があるか |
この6つの行がそろっていれば、2社の見積の差がどこから来ているかを1行ずつ比べられます。差が大きいのは、たいてい下地と役物の行です。材料の行はカタログで値段の見当がつきやすいのに対し、下地と役物は「どこまで替えるか」の見立てで金額が大きく動くからです。
たとえば、A社の見積は「屋根カバー工事一式」と「足場一式」の2行、B社は6つの行に分かれていたとします。A社のほうが安く見えても、棟板金の下の木材を替えるのか、谷の板金を新しくするのか、廃材の処分が入っているのかが分からなければ、比べているのは同じ工事ではありません。A社にも6つの行に分けて書いてもらい、「含む・別途・記載なし」の印を付けると、本当の差が見えてきます。
諸経費は、割合だけを見て高い安いを決めないほうが安全です。現場の管理や近所へのあいさつ、資材の運搬、工事の保険など、行にしにくい費用がまとめて入るので、何を含むかを口頭ではなく書面で聞いておきます。見積の取り方と、同じ条件書で複数社に頼む方法は、別の記事にまとめています。

足場代が削れない理由と減らし方
足場の行は、見積の中で削ってほしいと言われやすい行ですが、屋根の工事では原則として削れません。足場は作業する人の命を守るための措置で、業者に義務として求められているからです。
労働安全衛生規則の(作業床の設置等)では、高い場所で墜落のおそれがある作業をするとき、事業者は足場を組み立てるなどの方法で作業床を設けなければならないとしています。作業床を設けるのが難しいときは、防網を張り、墜落制止用器具を使わせるなどの措置が求められます。さらに(スレート等の屋根上の危険の防止)では、スレートなどでふかれた屋根の上で踏み抜きのおそれがあるときに、歩み板を設け、防網を張る措置を求めています。はしごだけで屋根に上がって作業する見積は、この安全の手当てをどうするのかを聞く必要があります。
- 足場は、作業する人の墜落を防ぐための措置で、施主の都合では外せない。代わりの安全措置を取るなら、業者がその方法を示す必要がある
- 足場の行には、組み立て・解体・運搬に加え、飛散防止のネットが入ることが多い
- 外壁の塗装や雨どいの交換と同じ時期にすれば、足場は1回で済む
- 棟の一部だけの小さな補修でも、足場を組むかは業者の安全の判断で決まる
足場代を減らす現実的な方法は、足場を外すことではなく、足場を使う工事をまとめることです。パナソニックの目安でも、足場は工事の種類ではなく合計の金額で示されていて、屋根と外壁を別々の年に工事すれば、その分が2回かかります。屋根の部分補修だけなら足場を省く提案をする業者もありますが、その場合は、どうやって墜落と踏み抜きを防ぐのかを具体的に聞いてから判断します。
たとえば、外壁の目地のひび割れや塗膜の傷みが気になり始めている家なら、屋根の工事と外壁の工事を同じ足場で行う見積も1案もらうと、総額と足場の行の変わり方が比べられます。外壁の目地の直し方は別の記事で整理しています。

足場は、見積の中で「金額は大きいが、安全のための措置なので削る交渉には向かない行」です。削る交渉より、ほかの工事とまとめられる時期かどうかを先に考えるほうが、結果として総額は下がります。
下地と防水紙の行が金額を分ける

屋根修理の見積で、2社の金額がいちばん大きく分かれるのは下地の行です。屋根材の下にある防水紙と野地板を、替えるのか、上から張り増すのか、触らないのかで、工事の手間も材料も大きく変わるからです。
雨は、屋根材の表面だけで止まっているわけではありません。屋根材のすき間から入った水を、その下の防水紙(下葺材)が受け止めて軒先へ流しています。防水紙の重ね方には決まりがあり、国の公共建築工事標準仕様書でも、軒先から上へ向かって張り、上下と左右を一定以上重ね、棟や谷、壁との取り合いでは増し張りや立ち上げをするとしています。
国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」13章 屋根及びとい工事(2026年10月13日に確認)。下葺は、野地面の上に軒先と平行に敷き込み、軒先から上へ向かって張る。上下(流れ方向)は100mm以上、左右(長手方向)は200mm以上重ねる。棟部は250mm以上の左右折り掛けのあと、棟頂部から左右300mm以上の増し張り。谷部は左右300mm以上を先張り。壁面との取り合いは、壁に沿って250mm以上、かつ雨押えの上端から50mm以上立ち上げる。※主に一般的な事務庁舎の新築・増築を想定した仕様で、住宅の工事にそのまま当てはまるとは限らない。
出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」
この仕様から分かるのは、防水紙は「屋根全体に1枚敷けば終わり」ではなく、棟・谷・壁際のように雨が集まる場所で手間が増える材料だということです。葺き替えでは防水紙を全面で新しくし、野地板が傷んでいれば張り替えるか、上から新しい合板を張り増します。カバー工法では、今の屋根の上に新しい防水紙を敷いてから新しい屋根材をかぶせます。部分補修では、傷んだ場所の周りだけ防水紙を差し込んで補うことになります。
たとえば、同じ化粧スレートの屋根で、A社は「既存の野地板の上に合板を張り増し、防水紙を全面に新しく」、B社は「野地板はそのまま、防水紙だけ全面に新しく」という見積を出したとします。A社が高いのは、野地板の傷みを見立てて手を入れるからです。どちらが正しいかは、屋根裏から野地板の濡れやたわみを見たかどうかで決まるので、両社に「下地の状態をどう確かめたか」を聞いてください。
下地の行は、施主には見えない場所の工事です。だからこそ、見積には「防水紙の品名」「張り替えか張り増しか」「範囲」の3つを書いてもらい、工事中に写真で見せてもらう約束をしておくと、払ったものが何だったのかを後から確かめられます。
漆喰・棟板金・瓦の部分補修の費用
漆喰の補修、棟板金の交換、瓦の差し替えといった部分補修の費用は、長さや枚数の単価で見積もられることが多く、総額は傷んだ範囲と足場の有無で決まります。単価が小さく見えても、足場が加わると総額は大きく変わります。
瓦屋根のてっぺんの棟では、瓦と瓦のすき間を葺土で埋め、その表面を漆喰で仕上げているつくりがよくあります。漆喰がはがれると中の葺土が雨で流れ、棟の瓦がずれやすくなります。公共建築工事標準仕様書でも、練り土の葺土や瓦葺き用のしっくいは既調合のものを製造所の仕様で使い、瓦を留める釘やねじはステンレス製とするなど、目に見えない部分の材料が決められています。化粧スレートや金属の屋根では、棟を包む金属の板(棟板金)と、その下で板金を留める木材(貫板)が傷みやすい場所です。
- 漆喰の補修:はがれた漆喰を取り除いて塗り直す。中の葺土が流れていれば棟の積み直しになる
- 棟の積み直し:棟の瓦をいったん外し、葺土と補強の金物を入れ直す
- 棟板金の交換:浮いた板金を外し、下の貫板が傷んでいれば一緒に替える
- 瓦の差し替え:割れた瓦を同じ形の瓦に入れ替える。同じ形が手に入るかで手間が変わる
- 雨押え・谷板金:壁際や谷の板金を替える。周りの防水紙の補修を伴うことがある
見積で確かめたいのは、単価の行に「どこからどこまで」の数量が書かれているかです。たとえば「漆喰補修一式」とだけある見積と、「漆喰補修 棟の長さ何m」とある見積では、後者のほうが範囲を確かめられます。棟板金の交換なら、貫板を替えるのか、樹脂製の材料にするのか、留め具をくぎからねじに替えるのかで金額が違うので、その違いを行に書いてもらいます。
古い瓦屋根では、もう1つ見ておきたいことがあります。台風で古い瓦屋根に多くの被害が出たことを受けて、瓦の留め付けの基準が強化され、新築では業界団体のガイドラインによる工法が義務になりました。国土交通省は、所有者が地上から確かめられる項目をチラシで示しています。
国土交通省「あなたの家の瓦、緊結されていますか?」(2026年10月13日に確認)。令和4年1月から、新築時にはガイドライン工法による留め付けを義務化し、すべての瓦が緊結の対象になった。地上からの簡易診断のチェック項目は、2001年より前に建てられ、2001年以降に屋根を改修していない瓦屋根/瓦にずれや浮き上がりがある/瓦が著しく破損している、の3つ。屋根の状況を把握するために屋根には絶対に登らないこと。
このチェックに当てはまる古い瓦屋根で、漆喰や棟の補修を繰り返しているなら、部分補修を続けるか、留め付けを今の基準に合わせて葺き直すかを、一度並べて見積もってもらう価値があります。
部分補修で済まない屋根の見分け方
カバー工法のように今の屋根の上に重ねる工事は、下地がまだ健全な屋根が前提です。部分補修で済むかどうかも、傷みが一部に限られ、下地まで及んでいないかで決まります。傷んだ下地の上にいくら新しい屋根材を重ねても、雨と重さを支える土台が弱ったままだからです。
この線引きは、屋根材メーカーの施工条件にはっきり書かれています。ケイミューは、既存の化粧スレートの上に重ねる自社のリフォーム用屋根材について、雨漏れや下地の劣化(腐朽、たわみが大きいなど)が起きている屋根への施工を禁止し、事前の調査で屋根面の波打ち、軒先の垂れ、雨漏れや結露、構造材や野地板の腐朽・たわみが見つかれば施工できないとしています。棟や谷の板金などの役物は再塗装が基本で、赤さびがあれば除去したうえで再塗装かカバー部材の取り付け、穴あきがあれば取り替えが必要で、取り替えられない部位で取り替えが要るなら葺き替えを検討する、という順番です。これは1社の1製品の条件ですが、「下地が健全でなければ重ねない」という考え方は、ほかの重ねる工法にも通じます。
- 傷みが棟や一部に限られている
- 屋根面がまっすぐで、軒先が垂れていない
- 野地板に腐れやたわみがない
- 板金のさびが表面だけ
- 雨漏れや結露が起きている
- 屋根面が波打ち、軒先が垂れている
- 野地板や構造材が腐っている、たわんでいる
- 板金に穴があき、取り替えられない
施主が自分で見られるのは、地上から見た屋根面の波打ちや軒先の垂れ、天井や押し入れの雨染み、屋根裏の点検口から見える野地板の濡れまでです。屋根には登らず、業者の調査で屋根裏の様子を写真で見せてもらいます。カバー工法を勧められたときは「下地が健全だと判断した根拠」を、葺き替えを勧められたときは「重ねられない理由」を、それぞれ写真で示してもらうのが確かです。
たとえば、色あせだけの化粧スレートで、屋根裏の野地板も乾いているなら、塗装やカバー工法の見積を比べる余地があります。反対に、雨の日に天井の染みが広がる家なら、表面を直す前に雨の入り口と下地の傷みを突き止める必要があり、部分補修の見積は二度手間になりかねません。雨漏りの原因の探し方は、別の記事で整理しています。

追加費用は契約の前に決めておく
屋根修理の追加費用で揉めるのは、屋根材をはがしてから下地の傷みが見つかったときです。野地板や棟の中の木材は、はがすまで外から見えないので、契約の時点では見積に入れようがないからです。
追加が出ること自体は、業者が後から言い出したわけではありません。屋根の上からも屋根裏からも見えない場所があり、そこが傷んでいれば直さないと新しい屋根を留められないためです。問題になるのは、その追加をいくらで、どこまで、誰の判断でやるのかが決まっていないまま工事が進むことです。
- 下地の傷みが見つかったときの、野地板の張り替えか張り増しの単価が書かれている
- 棟や谷の下の木材を替えるときの単価と、1か所あたりの範囲が書かれている
- 追加が出たら工事を止め、写真を見せて説明する手順が書かれている
- 追加の金額を書面で確かめてから進める、と書かれている
- 追加の上限(ここまでなら進めてよい)を施主が決めて伝えてある
- 石綿が見つかったときの扱いと、費用・工期の変わり方が書かれている
とくに3と4は、屋根に登れない施主にとって、見えない工事を確かめる唯一の手段です。
たとえば、葺き替えの見積が2社で同じくらいでも、A社は「野地板の張り替えは1枚あたりいくら、写真で確認のうえ施工」と書き、B社は「下地補修は現地確認後」とだけ書いていたとします。工事が終わってみるとB社のほうが高くなる、ということは起こりえます。B社にもA社と同じ書き方で単価と手順を出してもらうと、比べるべき総額がそろいます。
追加費用は、ゼロにすることより、見えるようにしておくことが大事です。見積の段階で「追加が出るとしたらどこか、その単価はいくらか」を聞き、答えを見積書の備考に書いてもらってください。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
屋根修理の見積は、足場・下地・材料・板金・処分の行がそろっているか、壊してから分かる傷みの単価と範囲が書面で決まっているかで比べやすさが変わります。同じ範囲と工法を伝えて複数の業者から見積を取ってください。屋根・外壁の業者をまとめて紹介してもらえる無料のサービスもあります。
葺き替えは手続きと石綿で費用が動く
葺き替えでは、屋根材の代金と工事費のほかに、建築確認の手続きと石綿(アスベスト)の調査が費用と工期を動かすことがあります。どちらも、屋根の上だけでは決まらない事情です。
建築確認は、2025年4月から対象が広がりました。国土交通省のお知らせでは、二階建ての木造戸建てなどで行う大規模なリフォームのうち、2025年4月以降に着手するものは、工事の前に建築確認の手続きが必要になったとしています。屋根の全面的な改修などは該当し、屋根や壁の仕上げ材のみの改修などは該当しないという線引きです。国土交通省の技術的助言では、屋根ふき材だけを替える改修や、今の屋根の上に新しい屋根をかぶせるカバー工法は、野地板に手を加えない場合、大規模の修繕・模様替に当たらないものとして扱ってよいとされています。反対に、野地板まで含めて屋根を構成するすべての材を替え、その範囲が過半になる葺き替えは、手続きの対象になりえます。
- 1工事の範囲を決める屋根材だけか、野地板まで替えるか
- 2建築確認が要るか聞く野地板まで替える範囲が過半なら確かめる
- 3石綿の調査を決めるいつ誰が調べ、含まれていたらどうするか
- 4費用と工期を見積に入れる設計・申請の費用、撤去と処分の行を分ける
建築確認が要る工事では、建築士による設計と手続きの費用、確認が下りるまでの日数が加わり、現行の法令に合っていない箇所があれば、それを合わせる工事が要る場合もあります。確認申請が要らない改修でも、国土交通省は、改修後の建物が構造や防火の面で安全であることが明らかでない場合は、壁量計算や耐震診断などで確かめるよう業界団体に求めています。重い屋根から軽い屋根に替える、あるいは重ねて重くなる工事では、建物の強さとの関係も見積の前に聞いておきます。
石綿は、古い化粧スレートなどの屋根材に含まれていることがあります。厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトによると、建物の解体・改修・リフォームの前には、施工業者(元請事業者)が石綿の事前調査を必ず行う必要があり、令和5年10月1日以降に着工する工事では、講習を修了した者などの有資格者が行うことになっています。メーカーの施工条件でも、石綿を含む既存の屋根材は石綿障害予防規則に沿って扱い、廃材は建設リサイクル法などに沿って処分するとされています。はがして処分する葺き替えでは、この扱いが処分の行の金額に表れます。
たとえば、古い化粧スレートの屋根で、カバー工法と葺き替えの見積が並んでいるなら、葺き替えの見積に「石綿の調査」「撤去と処分」「確認申請が要るか」の3行があるかを見ます。カバー工法が安く見えるのは、撤去と処分がなく、野地板に手を加えなければ手続きも要らないからで、その分、下地が健全であることが前提になります。
屋根だけでなく外壁や内装も含めた家全体の工事として考える場合の見方は、別の記事で整理しています。

出典:国土交通省「国土交通省からのお知らせ」/小樽市「大規模の修繕・模様替に係る取扱いについて」(国土交通省の技術的助言の参考資料)/国土交通省「屋根及び外壁の改修に係る設計・施工上の留意事項について」/厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」
補助金が使える屋根の工事

屋根の修理や葺き替えそのものには、国の住宅省エネ2026キャンペーンの補助は出ません。国のみらいエコ住宅2026事業(国土交通省)が対象にするのは住宅の省エネ化で、屋根で当てはまるのは「屋根・天井の断熱改修」だからです。
みらいエコ住宅2026事業のリフォームは、躯体(床・壁・天井)の断熱改修を含む、幅広いリフォーム工事が対象です。要件書では、躯体の断熱改修を外壁、屋根・天井、床の3部位に分け、登録された断熱材を使うこととしています。補助額は、部位ごとに断熱材の性能の区分と使用量で計算します。ただし、平成28年以前に新築された住宅では、まず1つの居室(トリガールーム)で外に面したすべての開口部を令和7年11月28日以降に改修し、下の組み合わせで決まる躯体の断熱改修なども行う「要件化工事」が必要です。平成4年〜平成28年に新築された住宅なら、付けた窓の最も低い性能区分がPかSで躯体の断熱改修は不要、Aなら1部位、B/Cなら2部位の断熱改修も必要です(平成3年以前の住宅では、Pなら不要、Sで1部位、Aで2部位、B/Cで3部位)。「義務基準」に適合させる組み合わせでは、高効率給湯器か高効率エアコンの設置も必須です。
- 屋根・天井の断熱改修:登録された断熱材を使い、窓の要件化工事と組むときに補助の対象
- 遮熱塗料での屋根塗装:表面で日射を反射する塗料で、断熱材による躯体の断熱改修とは別のもの
- 屋根の部分補修・葺き替え・カバー工法:省エネの工事ではないので、みらいエコ住宅2026事業の対象外
- 古い瓦屋根の耐風診断・耐風改修:国と地方が支援する仕組みがあり、実施は市区町村しだい
- 市区町村の独自の助成:屋根の工事を対象にするかは、住所と要綱で確かめる
遮熱塗料は、日本塗料工業会によると、太陽光の赤外線を反射して屋根の温度上昇を抑える塗料で、JIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」で性能が定められ、同会の登録品はカタログや容器に記載されています。夏の暑さ対策として選ぶ価値はありますが、国の事業でいう躯体の断熱改修は登録された断熱材の工事なので、「遮熱塗料で国の補助が出る」という説明は当てはまりません。市区町村が遮熱や断熱の塗装を独自に助成している場合はあるので、外壁塗装の助成の探し方とあわせて確かめます。

リフォームの上限は、平成4年〜平成28年に新築された住宅で義務基準相当なら1戸80万円、次世代省エネ基準相当なら40万円、平成3年以前に新築された住宅ではそれぞれ100万円と50万円です。申請する補助額の合計は5万円以上が必要で、同じ住宅で他の構成事業の交付決定を受けている場合は2万円以上です。工事は令和7年11月28日から交付申請を行う日までに着手したものが対象で、交付申請の受付は2026年6月30日から予算の上限に達するまで、遅くとも2026年12月31日までです。申請するのは施主ではなく、住宅省エネ2026キャンペーンに登録した事業者です。
固定資産税についても、よく聞かれます。屋根の工事で家屋の評価が変わるかは市区町村が判断するので、資産税の窓口で聞くのが確実です。省エネ改修をした住宅の固定資産税の減額という制度はありますが、東京都主税局の説明では窓の断熱改修が必須で、天井などの断熱改修は組み合わせる工事という位置づけです。屋根や天井の断熱だけでは対象にならず、工事の完了後3か月以内に申告が要ります。
たとえば、葺き替えの時期に合わせて、夏に暑い2階の寝室の天井に断熱材を入れ、同じ部屋の窓も内窓にするなら、国の補助に当たる可能性が出てきます。屋根を直すだけの計画なら、みらいエコ住宅2026事業の補助を前提に見積を組まないほうが、あとで計算が狂いません。市区町村の助成は、住所と要綱で探します。

出典:みらいエコ住宅2026事業「交付申請等の要件について(リフォーム)」/みらいエコ住宅2026事業 公式サイト/日本塗料工業会「遮熱塗料」/東京都主税局「省エネ改修工事をした住宅に対する固定資産税の減額」
補助金を使わない・急がないほうがいい場合
屋根の工事では、補助金を使うために工事を足すことや、補助金の期限や予算に合わせて急ぐことが、かえって損になる場面があります。次のような場合は、補助金を使わない、あるいは契約を急がない判断も選択肢です。
- 雨漏りが出ているのに、補助金の申請や予算の状況を待って修理を先延ばしにする場合
- 補助の対象にするためだけに、予定になかった窓や天井の断熱工事を足そうとしている場合
- 「遮熱塗料なら補助金が出る」と言われ、要綱を見ないまま塗料のグレードを上げようとしている場合
- 下地の傷みが見つかったときの単価と手順が決まらないまま、期限を理由に契約を急かされている場合
- カバー工法か葺き替えかを決めきれず、両方の見積と下地の写真を比べていない場合
雨漏りがある屋根は、放っておくと防水紙の下の野地板や柱まで水が回り、直す範囲が広がります。補助で戻る額より、遅れて増える工事のほうが大きくなりかねないので、雨漏りがあるなら応急の処置と原因の調査を先に頼みます。補助の受付は予算の上限に達するまでなので、予算の状況はページ上部の帯で確かめ、補助が受けられなかったときにも納得できる金額かを、補助なしの総額で一度確かめておくと安心です。
反対に、色あせだけで雨染みも割れもない屋根なら、急いで契約する理由は小さく、外壁の工事と時期をそろえて足場を1回にする計画を立てる時間があります。
編集部の整理では、判断の順番は「下地が健全か」「部分補修・カバー工法・葺き替えのどれが屋根に合うか」「そのうえで、断熱を組んで補助が使えるか」です。補助金は3番目で、1番目と2番目を曲げてまで合わせるものではありません。
よくある質問
20坪の家だと、屋根の葺き替えはいくらですか?
坪数と金額を結んだ一次の資料が見当たらず、同じ坪数でも屋根の形と勾配で屋根の面積が変わるので、坪数だけでは答えられません。メーカーが公開している工事別の目安で幅をつかみ、手元の見積が屋根の面積を何㎡で計算しているか、足場と下地と処分が込みかを確かめてください。
一軒家の屋根の寿命は何年ですか?いつ直せばいいですか?
屋根材の種類、日当たり、雨風の当たり方、前回の手入れで大きく変わるので、年数だけでは決まりません。雨染み、軒先の垂れ、屋根面の波打ち、棟の板金の浮きや漆喰のはがれが見えたら、直す時期を考えるサインです。古い瓦屋根なら、国土交通省のチラシにある地上からの簡易診断も参考になります。
屋根リフォームをすると固定資産税は変わりますか?
家屋の評価がどう変わるかは市区町村が判断するので、家屋がある市区町村の資産税の窓口で確かめてください。省エネ改修の固定資産税の減額は窓の断熱改修が必須で、屋根や天井の断熱だけでは対象になりません。
屋根の一部だけの補修でも、足場は要りますか?
高い場所で墜落のおそれがある作業では、足場を組むなどして作業床を設けることが事業者に求められているので、多くの場合は要ります。足場を組まない提案なら、墜落と踏み抜きをどう防ぐのかを具体的に聞いてから判断してください。
遮熱塗料で屋根を塗ると、補助金は出ますか?
国のみらいエコ住宅2026事業で屋根に関係するのは、登録された断熱材を使う屋根・天井の断熱改修で、遮熱塗料の塗装はそれとは別のものです。市区町村が遮熱や断熱の塗装を独自に助成している場合はあるので、住所と要綱で確かめてください。
工事中に追加費用を言われたら、払わないといけませんか?
はがしてから見つかる下地の傷みは、直さないと新しい屋根を留められないことがあり、追加になること自体は珍しくありません。契約の前に単価と範囲、写真で説明して書面で確かめてから進める手順を決めておけば、その場で判断を迫られずに済みます。決めていなかった場合も、写真と金額の書面を求めてから返事をしてください。
見積を見る前のおさらい
- 屋根修理の費用は、部分補修・塗装・カバー工法・葺き替えのどれかでまず決まる。公開されている目安は幅が広く、物差しとして使う
- 見積は足場・下地・材料・役物と板金・処分・諸経費の6つに分け、「含む・別途・記載なし」の印を付けて比べる
- 足場は作業する人の安全のための措置で、原則として削れない。外壁の工事と時期をそろえれば1回で済む
- 下地の行は、防水紙の品名・張り替えか張り増しか・範囲の3つを書いてもらい、写真で確かめる
- 漆喰や棟板金、瓦の差し替えは数量の書き方を見る。古い瓦屋根は留め付けの基準も含めて考える
- 雨漏れ、野地板の腐れやたわみ、軒先の垂れがあれば、重ねるカバー工法は難しくなる。傷みの範囲しだいで下地の補修や葺き替えを考える
- 開けてから増える費用は、単価・範囲・写真で説明する手順・上限を契約の前に決める
- 葺き替えは、野地板まで替える範囲で建築確認が要ることがあり、石綿の調査と処分も費用を動かす
- みらいエコ住宅2026事業の補助は屋根の修理には出ない。屋根・天井の断熱を窓の改修と組むときだけ。遮熱塗料は断熱材ではない
- 補助金のために工事を足したり急いだりしない。雨漏りがあるなら修理が先
屋根修理の見積は、屋根に登れない施主にとって、見えない場所の工事に払う約束です。総額の高い安いで決めるより、6つの行のどこにお金がかかっていて、どこが「開けてみないと分からない」のかを紙の上で見えるようにしておくほうが、家族にも説明しやすく、工事のあとで後悔しにくくなります。下地の状態で工事の大きさを決め、足場を使う工事をまとめる時期を考え、補助金は断熱を組む理由があるときにだけ上乗せとして考える。その順番で見積に向き合えば、営業の言う金額も落ち着いて確かめられます。

